鬼人の姉と弓使いの俺

うめまつ

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71,皮が剥げた

予想外にめっちゃショック受けてる。

眉を下げて今にも泣きそう。

「……ダチが、出来たと思ったのに」

「ダチです。よろしくお願いします」

「だよな?!な?!」

俺の手を掴んでブンブン振ってる。

友達いないってマジかも。

「ふふーん」

機嫌を良くして鼻歌。

「マミヤ達とも仲良くしてくださいよ。二人とも俺には友人なんですから」

「え、こいつらと?」

「はぁ?」

ブルクスはめっちゃ嫌そう。

「人間関係の練習にいいかもね。仲良くしようよ」

マミヤは大人。

にこやかに手を振った。

むすくれてるホッパーに笑いかける。

付き合いの基本として名前で呼べと三人で説教した。

バニーもそのくらい普通にやれよと口を挟む。

「呼んでいいの?」

「は?」

嬉しそう。

「ハーレム君やらくそチビよりまともです」

「おう、ラ、ラオ」

「今度からそう呼んでください」

なぜ照れる。

「お前、本当に対人が下手なだけか。ラオにデロデロすぎん?」

「うるせぇ、単細胞。俺は繊細なんだ」

「ムカつく。ラオ、こいつ無理じゃね?分かってねぇよ」

「ホッパーさん、他の方をそういう呼び方されると付き合い辛くなります」

「う、……ブルクス。……その、わ、わりぃ」

じろじろ見てたら素直に謝った。

「ホッパーが生まれ変わった!ぶはは!」

「やめてやれよ。からかうな」

「あてっ!」

顔の赤いホッパーさんに気を使ってマミヤがブルクスを止めた。

「まあいっか。俺もダチってことでよろしく」

ブルクスの手におずおずと手を握り返す。

俺もとマミヤも手を出した。

「……ダチ。……三人も」

「付き合いにくい時ははっきり言う。じゃないと分かんないんだろ?」

「……ああ、頼む」

「実家のこと、二度と言うなよ。俺も気にしてんだから。でも悪かったね、うちの守銭奴の被害」

「あ、……俺も、その。……悪い」

分からないって顔してたらブルクスに肩を引かれた。

「俺達の実家、王都のデカイ商会。結構えげつないの。ホッパーのうちとは商売敵だったけど潰しちゃったから恨まれててさ」

こそこそと耳元で囁く。

「そういう関係ですか」

「金で人を叩くような家だから合わなくて出たんだ。俺とグラナラの母ちゃんはその一族の身請けの愛人。一族に居場所なくって。マミヤは直系だけど後妻で来たお貴族様のくそババアに追い出された。腹違いの弟を継がすって」

「話しすぎですよ」

「いいよ、俺らダチなんだろ?いい加減その敬語もやめろよ?」

がしがしと頭を混ぜられた。

「了解」

「はは、やっとラオと仲良くなれた気がする」

嬉しそうな顔に俺もつられて笑った。

俺とブルクスの間にホッパーさんが割り込んだ。

「ブルクス!ラオは俺のダチだ!」

「みんな、ダチでいいだろ?」

拗ねるホッパーをマミヤがあしらう。

「ラオがいい。初めてのダチだから。怒らねぇし、楽な会話は初めてだ」

「突っかかるからだよ」

「別に俺は普通にしてんのに。回りが勝手に怒るんだ」

「ラオと同じこと言ってるなぁ」

バニーが笑ってる。

「へ?」

「勝手に回りが下半身になるんだろ?二人とも無自覚のアホってことだ」

ぐうの音も出ねぇわ。

何?俺って無自覚でそういうタイプなわけ?

「……俺、どうすりゃいいの?」

「……俺も。……怒らせるつもりじゃないのに」

「ホッパーはマシじゃん。俺は貞操の危機だ」

「蹴散らせばいいじゃん。俺は友達出来ねぇんだぞ。勝手に嫌われてボッチだ」

「……それは同情するけど、蹴散らすって俺の体格で?」

「……さっきもヤバかったもんな。お前、よく冒険者になろうって思ったよ。男娼顔のチビなのに」

「失礼にもほどがあるわ。このくそが」

母親似のこの顔を侮辱された気がして余計ムカつく。

「あれ?誉めたのに」

「誉めてねぇよ」

「……顔がいいって言いたかったのか?」

マミヤが首を捻りながら呟く。

「そう、それ」

「さっきのが?本気か?下手くそ過ぎない?」

「ホッパーってアホなんだな」

「思ったより馬鹿だ、こいつ。紹介するの早まったかも」

「え、マジ?そんなひどい?」

「くそだな。ひどすぎる」

バニーの一言にがっくりと項垂れた。

反省しろよと四人で説教だ。

叱るけどホッパーは図太い。

なんで怒られてるんだと不思議そうだったし、もういいじゃんと話を変えたがった。

諦めてサウナに行くことにした。

もうひとつの方。

テントの垂れ幕を上げると巨体が丸まってた。

「ここにいたんですか、ドリアドスさん」

「ん?お前らか。バニーも、あれ?ホッパーじゃん?いたのか?」

「うっす」

テント式のサウナに行ったらデカイ蜥蜴がとぐろを巻いていた。

「そっち座れ。……あー、……温くて気持ちいい」

幸せそう。

俺達に気を使って起き上がり、隅に寄ってくれた。

でもぎゅうぎゅう。

バニーと仕事の話を詰めて終わればまた、くたーっと伸びた。

「本当に寒さに弱いんですね」

「……爬虫類だからなぁ。……冬は嫌だぁ」

ぐでんぐでん。

「冬場の仕事はどうするんですか?」

「……減らす。……動きたくねえ」

個人依頼と新人のサポートに絞るらしい。

「オルカに保温の護符を頼んだけど、やっぱり寒いし嫌だわ。冬眠してぇ」

「ドラゴニュートも冬眠あるんでしょ?ドリアドスさんも?」

「うちの家系はない。するのは血が濃い奴だけ。他の奴らも冬眠するのはまれだ。ブリザード家系の奴なら俺より暑さに弱いし。全部、家系に左右されるかな。んー、体が痒い。脱皮が近いしめんどいわぁ」

うへぁ、と抜けたため息。

背もたれに寝そべって手を広げてる。

「あ、」

バリッ、バリバリと隣から音。

見るとドリアドスさんの全身にヒビ。

皮が捲れて盛大に剥げてた。

「うおおおお!」

異様な光景にビビって叫んだ。

「あー、脱皮が早まった。風呂に入りすぎたかな」

バリバリむしって剥いでるけど、こえぇわ。

手の形に半透明な皮膚が抜けた。

マミヤ達も初めて見たらしくて立ち上がって固まってる。

バニーだけは慣れた感じ。

久々に見たと軽く言うだけだった。

「しゃーねぇ、ロブんところ行ってくる。ギルドで合流するわ」

ボリボリ掻くと皮がめりめりと破れてくる。

「……うっす」

「……了解です」

「あ、ラオは来いよ。ロブに呼ばれてたんだから」

「え、俺ですか?」

「来い。あいつらのオモチャになってろ」

「嫌ですよ、遊ばれるのは」

「どーせ、使用人が呼びに来るよ。行くぞ」

背中を押されてテントを出た。

ホッパーが寂しそうにしてたけどマミヤが相手してやってた。

「ホッパーと上手く付き合ってるんだな」

「俺とダチだそうです」

「そうか。あいつ、根は悪くないけど気難しくて愛想が悪い。俺は嫌いじゃないんだけど。いかんせん、他の奴らに糞ほど態度が悪い。叱るけど治らねぇ。あいつも困ってたんだ。まあ、出来るだけ良くしてやってくれや」

ドリアドスさんには扱いやすい性格らしい。
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