七つの不思議のその先に願い事1つ叶えましょう

桜月 翠恋

文字の大きさ
18 / 20
2章 失敗?成功?

残った人たち

しおりを挟む
-side 弥宵-


教室の隅で五月さんと二人で悠と天谷くんの喧嘩を見つめていた
隣の五月さんは私の体操服を着ているが、胸元がパツパツになっており、自分の胸と見比べる
平坦な胸と彼女の豊満な胸…

少し悲しくなる

やまとは…胸がおっきい方が好きなのかな…
五月さん含め、私以外の女子は胸が大きい

宮苑さんはスタイルがいいし…
山本さんも大きめだった


少しモヤモヤしながらも隣で怯えたように私にすがりつく五月さんへ視線を戻す

五月さんに問題があると教師達は思っていたらしい
幼い行動をするのは彼女の心の問題だと

けれど、同じサークルに集まって話をしている私達は気づいていた

五月さんより天谷くんに問題が多いことを

だけど、まさかこんな所で事件が起きるなんて…
目の前で私や五月さんの為に天谷くんに食って掛かる悠を見つめていると隣の五月さんが私の服の裾を引っ張った


「やよちゃん……私の、せいかな?」


流石の五月さんも自分のことを名前で呼ぶ余裕なんてないらしい


「大丈夫」

「えへへ、やさしいね…やよちゃんが私の姉妹だったら良かったのに…」


その言葉にふと思い出す。
確か五月さんには双子の姉の梨奈さんがいるとか
同じ学校に通ってないみたいだし、やっぱり寂しいのかな


「ありがとう、でもそんなこと言ったら本当のお姉さんに失礼でしょ?」


笑いながら返すと、五月さんはどこか悲しげに笑った
何か不味いことを言ったのだろうか…
不安に思っていると、私の言葉が聞こえていたのか天谷くんは私に近づいてニッコリと微笑んだ

ゾクリと身震いをしそうになるくらいの完璧な笑みで


「佐賀宮さん、あまりに僕の瑠梨をいじめないでくれるかな?」

「私はいじめてなんか」

「梨奈はね、昔死んでしまったんだ。自業自得の事故でね」

天谷くんの言葉に五月さんの体がビクリと跳ねる
それにカチンときて、五月さんの手を握りしめ、天谷くんに食ってかかってしまう

こんなこと、してる場合じゃないのに


「あら、私より貴方のほうが五月さんを傷つけてるわよね?」

「……あ?」

「五月さん、貴方の恋人なんでしょ?彼女何でしょ!なのに!なのになんでそんなこと言って彼女を傷つけるのよ!苦しめるのよ!」

「ちょ、弥宵!落ち着けって!」

「悠は黙っててよ!」

「君こそさぁ、好きな人にはキツくあたるの、好きだよね?」


天谷くんの言葉に私の頭は更に沸騰する


「っ!誰のことをっ」


私が天谷くんの胸ぐらを掴むのと同時にアノ音が響いた

“チリン“……“チリンチリン“


鈴の音と共に子どもの足音が近づいてくる
その場の全員が口を閉ざす

恐怖で動けなくなった私をみた天谷くんの口角が僅かに上がった気がした

そして無言で天谷くんは私の腕を掴んだ


「な、何っ」

「佐賀宮さん、君さ………“邪魔“だよ」

「え…」


ぐいっと力いっぱい引っ張られ、扉の方へと連れて行かれそうになり、私は全力で抵抗する


「いや、やめてっ!」

「やめろ!天谷!!」


悠の腕に引かれ、私は悠の腕の中へと迎えられる
騒いだせいか、扉の前で足音が止まる

チリンチリンという音と共に扉がガリガリと引っかかれる


「悠……」

「…ははっ、やべーかもなぁ」


悠が私の腕を掴んで逃げる準備をするので、私も走り出す準備を整える

“キィイ“

背後から聞こえた音に振り返ると掃除道具入れのロッカーへ天谷くんが五月さんの口を抑えながらロッカーへ入る所だった

「五月さんっ!」

「じゃ、バイバァイ、頑張ってね」


ニッコリと微笑みかけた天谷くんはそのままロッカーへと消えていった


「…クソ、行くぞ、弥宵」

「大丈夫なの?悠…」

「さぁな!」


そうして教室の扉がカラカラと音をたてて開いた……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...