七つの不思議のその先に願い事1つ叶えましょう

桜月 翠恋

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2章 失敗?成功?

校舎裏へと

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-side 沙彩-

神崎くんと校舎裏へと向かうために廊下を歩いていると廊下の奥からよく見知った幼馴染が歩いてきた


「カイ」

「沙彩!あと神崎くん、無事だったんだね~」

「お前こそ無事だったんだな。良かった。…山本も無事か?」

「うん、大丈夫だよ!二人も外に出てたんだね」


四人となると動きづらいかもしれないけれど、少しだけ安心してしまう

「とりあえず行きましょう」

私がそう促すと三人は頷いて歩き出した
二人はまだ他の怪異や人、あの子どもとも会っていないらしい

安心すると同時に、七不思議との対面に心臓がバクバクしてしまう

他愛もない会話をしていれば校舎裏へとついた

校舎裏の隅にある段差に小さな女の子がしゃがみ込んでいた
彼女が【校舎裏の少女】なのだろう


「さあさあ!行ってみよー!」


カイが真っ先に少女に向かって歩き出す…
その瞬間、何故か頭に変な映像が浮かぶ

それは目の前の幼馴染…カイが血まみれになって倒れている映像…
私とカイ以外にいるのは…森野くん…?

変な映像に頭がグラリと揺れる感覚がするが、首を横に振りカイの後ろへついて行く


「ねーねー、君~」


カイの呼びかけに顔を上げた少女

その顔面を見て、私と山本さんは小さく声を漏らす

顔を上げた少女の顔面は何かに叩きつけられたようにぐちゃぐちゃになっている

かろうじて口であったとわかる場所から血を溢れさせながら声が発される


『ぉにぃぢゃんたち、ダァれ?』


少女が言葉を発する度にゴポゴポと肉片と少女自身の歯であろう白い物体が口であった空洞から溢れだす

血の鉄臭い匂いがあたりに立ち込め、僅かに眉をひそめてしまう


「僕達はねぇ、君のお願い事を叶えに来たんだ」


カイは嫌悪感を出すこともなく、優しくいつもの調子で微笑んだ

少女はその言葉にフラフラと立ち上がりこちらへ手を伸ばす

よく見れば顔面以外も悲惨な状態だった

指先は切り傷などがあり、何本かの指は曲がっては行けない方向へ折り曲げられている

膝のあたりからは白い骨とその骨が見えているあたりに脂肪の粒のようなものが見える

可愛らしい花がらのワンピースは彼女自身の血で赤黒く染まっている

そして少女は再び声を発する


『アノね、いっじょに、あソンでほしぃの…』


どこか悲しげな声に胸が締め付けられる
山本さんがそっと少女に駆け寄り、少女の手を強く握った


「まっ……」


止める間もなく山本さんは少女に話しかけた

嫌な予感が止まらない
冷や汗が止まらない


「いいよ。遊ぼう?お姉ちゃんが遊んであげる」


少女は山本さんの言葉に喜んでいるようだった
なごやかな空気が流れ、不安は杞憂だったか、と伸ばしかけていた手を引っ込めた

少女はキャッキャと年相応の女の子のようにはしゃいでいる

それでも何故か拭えない不安に山本さんの方へ近づこうとした

『おねェぢゃ、が、アゾんでクレるノォ?』


少女の声が低くなる
それに山本さんが返事をする瞬間、カイが山本さんの方へ走り出していた
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