蔑まれた令嬢の幸せ -少女は幸せを探して旅をする-

桜月 翠恋

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旅立ち

旅の準備の終わりは心配症なお父様?

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次の日、私とシアンは最終調整のためにお互いの部屋で荷物をマジックバックの中に詰めていた


「えっと…ポーションはどこに入れたっけ…」


買った袋をガサガサと探り、それぞれのものを指定されている位置へ入れていく


「あら…?」


ふと一か所空いている部分に気づき、何を入れるところなのかシアンに聞こうと立ち上がる

それと同時にすごい音と揺れが私を襲う


「な、なにっ…!?」


慌てて音の原因であろうリビングへ向かう


「こっの!!クソ親父!!!!」


シアンさんが壁に向かってダイさんを投げ飛ばした音のようで
ダイさんはひっくり返っていた

それにしても、ダイさんは筋骨隆々の大男?なのに細身のシアンさんはどうやって投げたんだろう?

首を傾げつつも、今の惨状に気づき慌ててダイさんに駆け寄る


「な、何があったんですか?」

「クソ親父が、俺の武器を隠しやがった」

「武器?」


ダイさんの方を見ると少し罰が悪そうに頬をかいていた


「だって…ほら、やっぱり息子が旅ってなると寂しいもんだぜ?」

「だとしてもここまで準備してそんなことするか?」

「心配なんだよ、瞳のこともあるし、お前は…」

「平気だって。アリアもいるんだし」


そう言ってぐいっと引き寄せられる
毎回唐突なのであせってしまう


「私ができることは必ずします。もし、シアンが危ない目にあっていたら命に変えても守ります。そしてこの家に必ず返します」

「いや、そこは二人で帰ってくる、でいいだろ」


コツン、と額にデコピンをされる
自分のことまで気遣ってくれるシアンに少し顔をほころばせながら、ダイさんに回復の魔法を使う


「へぇ……回復力がえげつないなぁ」

「魔力量ヤバかったもんな、アリア」

「…そういえばシアンのステータスとかスキルってなんなんですか?」

「あー……いや、おれは……その」


言いにくそうに口ごもり、シアンはそっぽを向く
そんなに人に言いたくないスキルなのだろうか?
聞いてはいけないことだっただろうかと少し申し訳なく思っていると


「シアンは魔力が高いんだが、な」

「俺は魔力は高いけれど魔法が使えないんだ」

「魔法が、使えない?」

「あぁ、レベルのせいなのかもしれないが、もともとのスキルが殆ど無いんだ」


悲しそうに笑うシアンに聞いてはいけないことだった、と反省をする


「だから心配なんだよ!筋力だけが強化されててこうやってすぐぶっ飛ばすんだからさぁ…」

「うっせぇ!クソ親父!俺の武器返せ!」

「…まぁ、嬢ちゃんがいるし、大丈夫だよな」


ヘラっと笑いをこぼすダイさんに、微笑みかける


「任せてください」

「てか、俺に稽古つけてた親父が心配してどうするんだよ」

「父親だからな…少しは心配させてくれ」


ぽん、とシアンの頭を撫でるダイさんの顔はきっと私にしか見えなかったけれどすごく優しい顔をしていた

きっとこれが本当に子供を思う父親の顔なのだろうと感じた

妹は…あの家で笑えているだろうか…とふと思い出してしまった
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