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冒険の始まり
ビードリールの街
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至るところから楽器の音がする
でもどれも不協和音にはなっていなくて
全てがお互いの音を活かしてるように思えた
街並みは優しい色合いで夕陽を思わせるオレンジの壁
大都市、とまでは行かないけれどそこそこの広さだと思う
「あれ、あれなんですか!」
大きな笛のようなものや、ピアノのようなもの
いろんな楽器に子供のようにはしゃいでしまう
本などでは読んでいるし、なんなら2度目の人生。1度目よりは勉強はしたつもりだ
それでもやっぱり目で見ると全部が素敵で…
「こら、一人で離れるな」
「ご、ごめんなさい」
ぐいっと手を繋がれ、少しドキッと胸が跳ねる
不思議な感覚に首を傾げつつ、優しい温もりに手をそのままにして、二人で歩き出す
「とりあえず倒したスライムの魔獣結晶がいっぱいあるし、換金しに行くか」
「ギルド、ですね。ここのはどんな雰囲気なのでしょうか」
「多分どこも一緒。魔法で部屋広げてんの」
「それでも外装や内装は違うでしょう?」
「さぁ?俺も他の待ちに来たのは初めてだからな」
「箱入り息子、だったんですよね」
「箱入り娘の(元)令嬢がからかうなっつーの」
コツン、とデコピンされ、繋いでない方の手で額を抑える
ギルドへの道のりはやっぱりさかえてる街なだけあって、少し遠い
「やめてください!!」
路地の方から女性の声がして、その瞬間私の手を振りほどき、シアンがそちらへ走り出した
ツキン…
僅かに胸に痛みを感じたが、走ってシアンを追いかける
「シアン、どこですか!」
速度上昇をかけてたせいか、シアンのほうがやっぱり早くて見失ってしまう
路地裏なだけあって、人通りもなく暗い…
ゾクリ、と悪寒が走る
刃が目の前に迫るビジョンを思い出し、恐怖で動けなくなる
怖い…
歩けない…
シアンと居た時はこんなことなかったのに…
「シアン…シアン…っ、どこ…」
ゆっくりと足を前に進める
こんなのでシアンを守るなんてできるの…?
そんなことが頭をよぎった瞬間
「きゃーっ…!!」
さっきの女性の悲鳴が聞こえた
アッチだ、シアンもそこに居る
確信を持ち、そっちへ向かって走り出す
そう、今はひとりじゃない、怖くない
そして路地を抜けた先には、三つ編みの女性とシアンが立っていた
その足元には刃物を持ってる男が気絶していた
「ありがとうございました」
「いや、悲鳴が聞こえたから、普通は助けるだろ」
「お礼をさせてください!」
ぎゅっとシアンの手を握る女性
彼女の瞳が薄っすらと赤みがかっているのが私の位置からでも見えた
彼女も瞳の持ち主だ
そう考えた途端、もしかしたら彼女も旅に…
なんて変なことを考えてしまった
「あ、アリア」
「連れの方、ですか?」
「あぁ、一緒に旅をしてるんだ」
「そうなんですね」
女性の鋭い目が私を捉える
シアンは傍から見たら整った顔立ち……
モテないわけがない
そんなシアンが女性といたら、嫉妬する人は現れるだろうけれど
妹や他の人から向けられたことのある視線に、少し息が詰まりそうになる
「私、宿に先に行ってますね」
「あ、おい。俺も行くって」
「またあとで」
ペコッと礼をしその場を立ち去る
気まずいよね、やっぱり…
そしてフラフラと街を歩きながら宿を探して
やっと一つ安めの宿を見つけた
シアンは別のところで休んでいるだろうか?
一応、と魔法で伝言をシアンのもとへ飛ばす
そして宿の部屋で一人で布団に飛び込む
「……魔石でも作ろうかな…」
魔力が残っているので、少しでも資金の足しにしようと魔石を作る
明日は少しだけ街を探索しよう
魔石を売ったお金で少しは買い物ができると思う…
そして夜中になってもシアンから連絡は来なかった……
でもどれも不協和音にはなっていなくて
全てがお互いの音を活かしてるように思えた
街並みは優しい色合いで夕陽を思わせるオレンジの壁
大都市、とまでは行かないけれどそこそこの広さだと思う
「あれ、あれなんですか!」
大きな笛のようなものや、ピアノのようなもの
いろんな楽器に子供のようにはしゃいでしまう
本などでは読んでいるし、なんなら2度目の人生。1度目よりは勉強はしたつもりだ
それでもやっぱり目で見ると全部が素敵で…
「こら、一人で離れるな」
「ご、ごめんなさい」
ぐいっと手を繋がれ、少しドキッと胸が跳ねる
不思議な感覚に首を傾げつつ、優しい温もりに手をそのままにして、二人で歩き出す
「とりあえず倒したスライムの魔獣結晶がいっぱいあるし、換金しに行くか」
「ギルド、ですね。ここのはどんな雰囲気なのでしょうか」
「多分どこも一緒。魔法で部屋広げてんの」
「それでも外装や内装は違うでしょう?」
「さぁ?俺も他の待ちに来たのは初めてだからな」
「箱入り息子、だったんですよね」
「箱入り娘の(元)令嬢がからかうなっつーの」
コツン、とデコピンされ、繋いでない方の手で額を抑える
ギルドへの道のりはやっぱりさかえてる街なだけあって、少し遠い
「やめてください!!」
路地の方から女性の声がして、その瞬間私の手を振りほどき、シアンがそちらへ走り出した
ツキン…
僅かに胸に痛みを感じたが、走ってシアンを追いかける
「シアン、どこですか!」
速度上昇をかけてたせいか、シアンのほうがやっぱり早くて見失ってしまう
路地裏なだけあって、人通りもなく暗い…
ゾクリ、と悪寒が走る
刃が目の前に迫るビジョンを思い出し、恐怖で動けなくなる
怖い…
歩けない…
シアンと居た時はこんなことなかったのに…
「シアン…シアン…っ、どこ…」
ゆっくりと足を前に進める
こんなのでシアンを守るなんてできるの…?
そんなことが頭をよぎった瞬間
「きゃーっ…!!」
さっきの女性の悲鳴が聞こえた
アッチだ、シアンもそこに居る
確信を持ち、そっちへ向かって走り出す
そう、今はひとりじゃない、怖くない
そして路地を抜けた先には、三つ編みの女性とシアンが立っていた
その足元には刃物を持ってる男が気絶していた
「ありがとうございました」
「いや、悲鳴が聞こえたから、普通は助けるだろ」
「お礼をさせてください!」
ぎゅっとシアンの手を握る女性
彼女の瞳が薄っすらと赤みがかっているのが私の位置からでも見えた
彼女も瞳の持ち主だ
そう考えた途端、もしかしたら彼女も旅に…
なんて変なことを考えてしまった
「あ、アリア」
「連れの方、ですか?」
「あぁ、一緒に旅をしてるんだ」
「そうなんですね」
女性の鋭い目が私を捉える
シアンは傍から見たら整った顔立ち……
モテないわけがない
そんなシアンが女性といたら、嫉妬する人は現れるだろうけれど
妹や他の人から向けられたことのある視線に、少し息が詰まりそうになる
「私、宿に先に行ってますね」
「あ、おい。俺も行くって」
「またあとで」
ペコッと礼をしその場を立ち去る
気まずいよね、やっぱり…
そしてフラフラと街を歩きながら宿を探して
やっと一つ安めの宿を見つけた
シアンは別のところで休んでいるだろうか?
一応、と魔法で伝言をシアンのもとへ飛ばす
そして宿の部屋で一人で布団に飛び込む
「……魔石でも作ろうかな…」
魔力が残っているので、少しでも資金の足しにしようと魔石を作る
明日は少しだけ街を探索しよう
魔石を売ったお金で少しは買い物ができると思う…
そして夜中になってもシアンから連絡は来なかった……
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