ざまぁ?結構ですわ。私はただ、この手で物語を紡ぐだけ――そう思っていたら、私の装飾写本が文化革命を起こして、元婚約者が土下座しに来ました。

aozora

文字の大きさ
6 / 14

06

しおりを挟む
 カイの灰色の瞳が、燃えるような光を宿していた。

「これを、見せるべき者たちに見せる」

 彼は窓の外に広がる、闇に沈んだ広大な領地へと視線を向けた。

「王都の愚か者どもではない。この物語の真価がわかる――我が民にだ」

 彼の言葉は、静かな工房に重く、そして熱く響いた。

「わ、我が民に……ですか?」

 セラフィナは、思わず問い返していた。自分の個人的な痛みと怒りを叩きつけただけの、この独りよがりな作品を、カイの領民に見せるという。それは、彼女の理解をはるかに超えた提案だった。

 カイは彼女の戸惑いを察したように、ゆっくりと向き直った。その眼差しは、先ほどの熱を内側にしまい込み、いつものように冷静さを取り戻していた。だが、その奥底には確かな炎が揺らめいている。

「ああ。王都の連中は、美しいものを飾り、その価値を自分の権威と結びつけることしか考えない。だが、この土地の民は違う。彼らは厳しい自然の中で生き抜き、見せかけの美しさより、魂に響く物語を求める。本物を見抜く目を持っている」

 カイは完成した見開きページに再び視線を落とした。

「この絵には力がある。それは、虐げられた者が立ち上がり、自らの価値を証明する物語の力だ。この辺境で暮らす者なら、誰もがこの乙女の姿に、自分たちの境遇を重ねるだろう」

 セラフィナは息を呑んだ。カイは、彼女がこの絵に込めた個人的な復讐心だけでなく、その先に広がる普遍的な物語性までも見抜いていたのだ。

「ですが、どうやって……?」

「方法は一つしかない」

 カイは執務室へと戻ると、待機していた側近に短く命じた。

「旅商人のイーサンを呼べ。至急だ」

 側近は、主のただならぬ気配に気づき、一礼すると素早く部屋を辞した。

 イーサンという名は、セラフィナも聞いたことがあった。砦に仕える侍女たちが、時折噂話にのぼせる人物だ。単なる行商人ではない。この広大なウォーカー辺境伯領の隅々まで足を運び、各地の産物を取引するだけでなく、王都の最新情報から村々の些細な出来事まで、あらゆるニュースを運ぶ男。人々は彼を「歩く知らせ」と呼び、その来訪を心待ちにしていた。

 実質的に、この土地の吟遊詩人の役割を担っているのが、彼だった。

 翌日の午後、イーサンはカイの砦に到着した。日に焼け、旅慣れた丈夫そうな衣服をまとった壮年の男で、その目には抜け目のない商人の光と、人の話に真摯に耳を傾ける賢者のような落ち着きが同居していた。

「辺境伯様自らお呼び出しとは、一体いかなるご用向きでございましょうか」

 彼はカイの執務室に通されると、深々と頭を下げた。辺境伯が旅の商人を名指しで呼びつけるなど、前代未聞のことだった。

「お前に見せたいものがある。そして、頼みたい仕事がある」

 カイは余計な前置きを一切せず、イーサンを工房へと案内した。

 工房には、セラフィナが緊張した面持ちで待っていた。イーサンは、銀灰色の髪を持つ見慣れぬ美しい女性の存在に少し驚いたようだったが、カイの厳粛な雰囲気に、すぐさま表情を引き締めた。

「イーサン、これを見ろ」

 カイが指し示したのは、作業台の上に置かれた一枚の絵――『緋色のインクの乙女』の最初の見開きページだった。

 イーサンは、言われるがままに作業台へと歩み寄った。そして、その絵を目にした瞬間、彼の呼吸が止まった。

「こ、これは……」

 彼の口から漏れたのは、かすれた声だった。

 それは、彼がこれまでの人生で見てきた、どんな絵画とも違っていた。

 まず、紙が違う。月光を練り込んだかのように、それ自体が淡い銀色の光沢を放っている。だが、それ以上にイーサンを驚かせたのは、描かれた絵そのものから放たれる、内なる光だった。

 灰色の城壁は冷たく、生命の気配がない。そこから追われる乙女の姿は痛々しい。だが、彼女が向かう先の森は、まるで宝石を砕いて散りばめたかのように、鮮やかな色彩に満ちあふれていた。木々の緑、花々の赤や黄、そして小川の青。その一つ一つの色が、まるで生きているかのように、イーサンの目に直接訴えかけてくる。

 それは、陽光糸の顔料が持つ、魔法のような輝きだった。

 イーサンは、商売柄、様々な美術品を見てきた。王都の貴族が自慢する高名な画家の作品も、遠い異国の珍しい工芸品も知っている。だが、それらはすべて、外からの光を反射して輝くものだった。

 しかし、この絵は違った。まるで、絵そのものが魂を持ち、自ら光を放っているかのようだった。

 彼は身を乗り出し、絵の細部に目を凝らした。追放される乙女の、紫色の瞳。その奥に宿るのは、深い絶望だけではない。屈辱に耐え、決して折れることのない、鋼のような芯の強さが描かれていた。

 その瞳を見た瞬間、イーサンの全身に鳥肌が立った。これはただの絵ではない。一つの魂の記録だ。

 彼の脳裏に、忘れもしない光景が蘇る。王都から派遣された役人に、理不尽な税をふっかけられ、稼ぎのほとんどを奪われた時のあの悔しさ。厳しい冬を越せないかもしれないと、凍える小屋で家族と身を寄せ合った夜の祈り。この辺境の民が、長年抱え込んできた全ての感情が、この乙女の瞳の中に凝縮されているように感じられたのだ。

「……辺境伯様。この絵は……一体、どなたが?」

 イーサンが震える声で尋ねると、カイは黙って隣に立つセラフィナを示した。イーサンは、信じられないという顔で、インクの染みがついた指先を持つ華奢な女性と、目の前の圧倒的な作品を交互に見比べた。

 カイが静かに口を開いた。

「この絵には、物語がある。『緋色のインクの乙女』の物語だ。王都でその類まれなる才能を妬まれ、全てを奪われ、この辺境の地へと追いやられた一人の乙女のな」

 イーサンは、はっとした。カイの言葉が、目の前の絵と、そして隣に立つ女性の姿と、一つの線で結ばれた。

 彼はもう一度、絵の中の乙女を見た。そうだ、この物語を知っている。いや、この感情を知っている。王都から「不毛の地」と蔑まれ、重税を課せられ、厄介者たちの流刑地とされてきた、この辺境の民すべてが共有する、長年の悔しさと怒り。それが、この一枚の絵には凝縮されていた。

 イーサンの目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。

「……これは、我々の物語です、辺境伯様」

 彼は深く、深く頭を垂れた。

「これは、この土地に生きる我々全ての魂の物語でございます」

 彼は顔を上げると、燃えるような瞳でカイとセラフィナを見つめた。

「どうか! どうか、この物語を、私に語らせてはいただけないでしょうか!」

 セラフィナは驚いて、一歩後ずさった。

「語る……?」

「はい!」

 イーサンは熱っぽく続けた。

「この書物は、まだ完成していないのでしょう。だからこそ、伝説として語るのです。誰もまだその全貌を知らない、辺境伯様の砦に秘蔵された『聖なる書』の噂として。人々はまず物語を耳にし、その書物への渇望を募らせるでしょう。そして、いつかこの書物が完成した時、その価値は計り知れないものとなります!」

 それは、物語の力を知り尽くした男の、最高の戦略だった。

 カイは、イーサンの提案に満足げに頷いた。

「許す。好きなように語るがいい。ただし、書き手の名だけは伏せろ。今はまだ、謎のままでいい」

「心得ております!」

 イーサンは、生涯で最高の仕事を得た商人の顔で、再び深々と頭を下げた。

 その日から、辺境の風景は少しずつ変わり始めた。

 イーサンは、いつものように各地の村や町、交易所を巡った。だが、彼が荷を解いた後、焚き火を囲む人々や、酒場で一杯やっている鉱夫たちに語るのは、王都の流行や政治の噂ではなかった。

「聞いたかい。ウォーカー様のお膝元で、とんでもないものが生まれたらしいぜ」

 彼は声を潜め、神秘的な口調で語り始める。

「光る紙に、輝くインクで描かれた、一冊の書物だ。そこには、俺たちの気持ちをそっくりそのまま描いたような、一人の乙女の物語が綴られているんだと」

 人々は、最初は半信半疑で耳を傾けていた。だが、イーサンの巧みな語りは、聞く者の心を掴んで離さなかった。

 彼は、灰色の城で孤独に過ごした乙女の悲しみ、理不尽な婚約破棄と追放の屈辱、そして、辺境の地で新たな希望を見出すまでを、まるで見てきたかのように生き生きと語った。

 物語は、イーサンの口から口へと伝わり、辺境の風に乗って瞬く間に広がっていった。

 東の鉱山町では、落盤事故で気落ちしていた仲間を励ますため、年長の鉱夫が『緋色の乙女』の物語を語り聞かせ、それが新たな労働歌の元になったという。

 南の森の猟師たちは、「乙女を導いた森の色彩は、俺たちの森そのものだ」と胸を張った。

 西の農村では、「乙女が流した涙が、この痩せた土地をいつか豊かにしてくれる聖水になるんだ」と老婆たちが祈るように囁いた。

 誰も、まだその書物を見た者はいない。だが、人々は皆、その存在を固く信じていた。『緋色のインクの乙女』の物語は、辺境の民の心の中で、共通の神話、聖なる伝説へと姿を変えていったのだ。

 セラフィナは、工房で黙々と次のページを制作していた。インクの染みを活かして描いた『茨の薔薇』。カイがくれた『陽光糸の苔』。彼女の個人的な体験が、次々と美しい絵物語へと昇華されていく。

 時折、砦の窓から遠くの村の灯りを見つめながら、彼女は想像した。今この瞬間も、どこかで自分の物語が語られているのだと。自分の痛みが、見知らぬ人々の共感を呼び、希望になっているのだと。

 その事実は、彼女の心に、王都で失われた自己肯定感とは全く質の違う、温かく、そして力強い誇りを灯してくれていた。

 そんなある日、カイの執務室に、辺境の主だった村々から十数名の長老たちが、代表団として訪れた。

 報告を受けたカイは、眉をひそめた。イーサンが物語を広めてから数週間。何か問題でも起きたのか、と。

 執務室に通された長老たちは、一様に硬い表情をしていた。彼らはカイの前に進み出ると、何の言葉も発さずに、揃って深々と頭を垂れた。その厳粛な様子に、カイは身構えた。

 やがて、一番年嵩の長老がおずおずと顔を上げた。その皺深い顔には、緊張と、そして強い決意が浮かんでいた。

「辺境伯様。本日は、我ら辺境の民の総意として、嘆願に参りました」

「嘆願だと?」

 カイの声に、鋭さが混じる。

「いかにも。……吟遊詩人のイーサンが語っておりました『聖なる書』。光る紙に描かれたという『緋色のインクの乙女』の物語。どうか、それを、我らにもお見せ願えませんでしょうか」

 予想外の言葉に、カイはわずかに目を見開いた。長老は、カイの反応を窺うように、言葉を続ける。

「我らは、その物語に救われました。王都に虐げられ、忘れ去られた存在だと思っていた我らの魂に、あの物語は光をくれました。あれは、我々の物語でございます」

 他の長老たちも、皆、力強く頷いている。

 そして、代表の長老は、もう一歩前に進み出ると、震える声で言った。

「つきましては……もし、もしもお聞き届けいただけるのであれば……。その聖なる書の写しを、我らの村のためにお分けいただくことは叶いましょうか。無論、我らの村が持つ全てを捧げても構いませぬ。どうか、村の守り神として、お授けいただきたいのです!」

 その言葉は、もはや嘆願ではなかった。心の底からの、渇望の叫びだった。

 それが、セラフィナの芸術に対して、初めて明確な形で示された「需要」だった。

 王都で「非生産的」「役立たずなガラクタ」と罵られた彼女の作品が、今、人々に渇望され、金銭を払ってでも手に入れたいと願われる「価値あるもの」として、ここに誕生したのだ。

 長老たちが、感極まった様子で執務室を辞した後、部屋にはカイと、同席していたセラフィナの二人だけが残された。

 セラフィナは、まだ呆然と立ち尽くしていた。今の出来事が、まるで現実のこととは思えなかった。

 静寂を破ったのは、カイの低い声だった。

「……見たか、セラフィナ」

 セラフィナがゆっくりと顔を上げると、カイの灰色の瞳が、見たこともないほど穏やかな光をたたえて彼女を見つめていた。

「これが、君の芸術の力だ。王都で『役立たずなガラクタ』と蔑まれたものが、ここでは人々の魂を救う宝になっている」

 その言葉は、どんな慰めよりも、どんな賞賛よりも、まっすぐにセラフィナの心の奥深くまで染み渡った。

 彼女の紫色の瞳から、大粒の涙がぽろりとこぼれ落ちた。それは、悲しみや悔しさの涙ではなかった。初めて、自分の存在が、自分の生み出したものが、誰かの役に立ったのだという、震えるような喜びの涙だった。

「……ありがとうございます……」

 かろうじて絞り出した声は、ひどくかすれていた。

 カイは黙って一歩近づくと、その震える肩を大きな手でそっと支えた。不器用だが、確かな温もりが伝わってくる。

「礼を言うのは俺の方だ」

 彼は満足と、そして巨大な可能性への興奮がない交ぜになった獰猛な笑みを浮かべた。

「君のおかげで、辺境は変わる。だが……」

 カイは長老たちの去った扉に目をやり、思案するように呟いた。

「問題が一つある。彼らは『写し』を欲しがっていた。しかし、あの一枚を作るのに、どれほどの時間がかかる? この熱狂に応えるだけの数を生み出す手段がなければ、すべては絵に描いた餅で終わる」

 彼はセラフィナに向き直った。その目は、新たな課題を見つけた革新者の光を宿していた。

「セラフィナ。数を増やす方法はないのか?」

 その問いは、彼女の芸術を、次なるステージへと導くための、新たな挑戦の始まりだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

救国の代償で白髪になった聖女、一度のミスを理由に「無能の戦犯」として追放される ~隣国の覇王に拾われ、愛され、奇跡の力を見せつける~

スカッと文庫
ファンタジー
聖女アリシアは、百年に一度の大氾濫から国を守るため、禁忌の魔力全解放を行い、単身で数万の魔物を殲滅した。その代償として、彼女の美しい金髪は真っ白な「白雪色」に染まり、魔力は一時的に枯渇してしまう。 しかし、その功績はすべて現場にいなかった「偽聖女セシリア」に奪われ、アリシアは「結界を一部損壊させた戦犯」「魔力を失った役立たず」として、婚約者の王太子ギルバートから国外追放を言い渡される。 「失敗したゴミに、この国の空気は吸わせない」 泥の中に捨てられたアリシア。しかし、彼女を拾ったのは、敵対国として恐れられていた帝国の「武徳皇帝」ラグナールだった。彼はアリシアの白髪が「高純度の神聖魔力による変質」であることを瞬時に見抜き、彼女を帝国の宝として迎える。 数ヶ月後。アリシアが帝国の守護聖女として輝きを取り戻した頃、王国では「一度きりの奇跡」だったセシリアの魔力が尽き、本当の滅亡が始まっていた。 「今さら結界が解けたと泣きつかれても、もう私の魔力は一滴も残っていません」

【完結】優雅に踊ってくださいまし

きつね
恋愛
とある国のとある夜会で起きた事件。 この国の王子ジルベルトは、大切な夜会で長年の婚約者クリスティーナに婚約の破棄を叫んだ。傍らに愛らしい少女シエナを置いて…。 完璧令嬢として多くの子息と令嬢に慕われてきたクリスティーナ。周囲はクリスティーナが泣き崩れるのでは無いかと心配した。 が、そんな心配はどこ吹く風。クリスティーナは淑女の仮面を脱ぎ捨て、全力の反撃をする事にした。 -ーさぁ、わたくしを楽しませて下さいな。 #よくある婚約破棄のよくある話。ただし御令嬢はめっちゃ喋ります。言いたい放題です。1話目はほぼ説明回。 #鬱展開が無いため、過激さはありません。 #ひたすら主人公(と周囲)が楽しみながら仕返しするお話です。きっつーいのをお求めの方には合わないかも知れません。

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

下級兵士は断罪された追放令嬢を護送する。

やすぴこ
恋愛
「ジョセフィーヌ!! 貴様を断罪する!!」  王立学園で行われたプロムナード開催式の場で、公爵令嬢ジョセフィーヌは婚約者から婚約破棄と共に数々の罪を断罪される。  愛していた者からの慈悲無き宣告、親しかった者からの嫌悪、信じていた者からの侮蔑。  弁解の機会も与えられず、その場で悪名高い国外れの修道院送りが決定した。  このお話はそんな事情で王都を追放された悪役令嬢の素性を知らぬまま、修道院まで護送する下級兵士の恋物語である。 この度なろう、アルファ、カクヨムで同時完結しました。 (なろう版だけ諸事情で18話と19話が一本となっておりますが、内容は同じです)

婚約破棄されて追放された私、今は隣国で充実な生活送っていますわよ? それがなにか?

鶯埜 餡
恋愛
 バドス王国の侯爵令嬢アメリアは無実の罪で王太子との婚約破棄、そして国外追放された。  今ですか?  めちゃくちゃ充実してますけど、なにか?

【完結】仕事を放棄した結果、私は幸せになれました。

キーノ
恋愛
 わたくしは乙女ゲームの悪役令嬢みたいですわ。悪役令嬢に転生したと言った方がラノベあるある的に良いでしょうか。  ですが、ゲーム内でヒロイン達が語られる用な悪事を働いたことなどありません。王子に嫉妬? そのような無駄な事に時間をかまけている時間はわたくしにはありませんでしたのに。  だってわたくし、週4回は王太子妃教育に王妃教育、週3回で王妃様とのお茶会。お茶会や教育が終わったら王太子妃の公務、王子殿下がサボっているお陰で回ってくる公務に、王子の管轄する領の嘆願書の整頓やら収益やら税の計算やらで、わたくし、ちっとも自由時間がありませんでしたのよ。  こんなに忙しい私が、最後は冤罪にて処刑ですって? 学園にすら通えて無いのに、すべてのルートで私は処刑されてしまうと解った今、わたくしは全ての仕事を放棄して、冤罪で処刑されるその時まで、推しと穏やかに過ごしますわ。 ※さくっと読める悪役令嬢モノです。 2月14~15日に全話、投稿完了。 感想、誤字、脱字など受け付けます。  沢山のエールにお気に入り登録、ありがとうございます。現在執筆中の新作の励みになります。初期作品のほうも見てもらえて感無量です! 恋愛23位にまで上げて頂き、感謝いたします。

処理中です...