別れから始まる物語(あの世の幽霊サポートあり)

sakura2025

文字の大きさ
2 / 8
別れから始まる物語3&4

事件その後  3幽霊の見守り 4ふたりの少年

しおりを挟む
 夏休みに入っていたこともあり、楓家に桜を預かってもらうことになった。佑も大喜びで、桜も同意したので、桜の母親「弥生」が 北海道まで送っていった。

 佑は 桜の身の回りの世話を積極的に引き受け、入浴の際は、ギブスとサポーターを外して、体も髪もそっと洗い、湯上りに ギブスとサポーターをつけてやり、着替えも手伝って、ある意味至福の時を過ごした。
 桜は、被害者であっても エロ中年に強姦されそうになった自分を 佑が嫌うのではないかと心配だったが、ずっと傍にいて、かいがいしく接してくれる佑に ほっとした。

 桜が拉致され暴行された事件、警察の捜査が進むにつれ、加害者側にも被害者側にも、桜の通うK学園複数生徒の関与が明らかになった。
 桜の両親である水島夫妻は、学校と転校も含めて相談していた。この事件に関連しての転校と明らかになるのは、どうしても避けたい。水島家の転居による転校がもっとも自然ではある。起こった事だけでもショックなのに、さらに好奇の目にさらされる追い打ちを避ける必要がある。ともかく夏休み中に転居先をみつけて、2学期からは新たな中学校に通えるように段取りをすすめた。完全に引っ越しするには、時間が不足していたので、転校先学区に住まいを確保して、東京との2拠点生活で当面を凌ぐことにした。転校先は、K学園校長の紹介で、北海道函館市になり、あわだだしく手続きと部分引っ越しをした。水島夫妻の勤務先もリモートワークが行き渡っていたので、急な転居でもネット環境さえ整っていれば、さして影響しないのが、なによりだった。

 リモートワークが拡がったのは、疫病禍が大きく影響しているが、実施してみると会社側にも結構メリットがあった。例えば都心の高額賃貸のオフィスを縮小し、出勤日数によるが、通勤手当は支給せず、出勤のときは出張扱いの方が経費も削減できた。転勤したくない故の離職も防げた。

 高校も 桜は函館、佑は札幌で、函館と札幌はかなり距離があり、長期の休みとか、連休とか、利用して 互いの家を行き来して、一緒に過ごした。

 高校に進学する年の春休み、ふたりは札幌で落ち合って、旭山動物園デートをした。動物園近くに宿をとり、年間パスを購入して、3日間たっぷり楽しんだ。年間パスだと、何回も出たり入ったり出来るし、年間パスの値段が1日パスの2枚分とリーズナブルだった。このとき、泊まったホテルが ふたりの お互いに初めての日 になった。一緒にシャワーを浴びて、バスローブ姿の桜を 佑が抱きしめた。
 桜 震えている?
  なんか緊張しちゃって でも 大丈夫
佑は バスローブを脱がせながら、湯上りの上気でほんのり肌を桜色に染めている「桜」の肩に口づけた。ぎこちなく始まったベッドインだったが、肌をあわせ、キスを交わし、抱き合い、名を呼び合いながら、熱くなり、固くなり、佑は桜の受け口にジェルを塗り、指を入れを繰り返して ゆっくり慣らしてから、スキンをかぶせて入っていった。桜から漏れた声で、佑はすぐに回復して、第二ラウンドに続けた。我を忘れそうになりながらも、ネットで事前リサーチしたやり方を思いだしながら、桜を傷付けないよう懸命だった。


幽霊の見守り
「微笑ましいね なごむな」
『まるっきり何の関係もない少年ふたりが愛を交わす姿、見てて面白いのか? 彼女の方は気にならないの?』
「幽霊になってすぐのころは、彼女のまわり うろうろしてたけど、もう俺のことなんかすっかり忘れて、新たな男に夢中な姿、見たくない。このふたりを見つけたのは偶然だけど、連ドラを楽しみにしているのと同じだよ。」
これを聞いて納得した。あの少年のひとりが、攫われそうになったとき、動画撮影中の男子生徒が走りだそうとしたら、「間に合わないよ。このまま車のナンバーを撮影して110番するんだ」とささやいていたし、ラブホテルでは、居つきの幽霊に集合かけて、警察の到着まで時を稼いでいたが、それにしては あの少年に怪我を負わせてしまい、幽霊効果が薄かったのはなぜかと問わずにいられなかった。
「それはさあ、幽霊からの仕掛けは、人間の脳に訴えて騙すわけだろう。お化け屋敷に入るとなると そのつもりなわけ。積極的に騙されたいわけよ。でも、エロ中年は、あの少年で、頭も心も体もいっぱいで、他の感覚が入る余地がなかったわけ。電車の中で、物凄く面白い本を読んでいるとき、本の中の世界観に入り込んで、乗り合わせている乗客の声も電車のガタンゴトンもいっさい聞こえてないし、乗り越しさえするのと同じ。幽霊からの仕掛けをまったく感知していなかったから、効き目が薄かったんだ。」
『今頃、始めてって 遅くない?』
「一線を越えるって言うだろう。ボディタッチとかキスとか相思相愛を確信していても、一線を初めて超えるときは、こわいんじゃないの?これまでの良好な関係が無しになるかもしれないっていう怖さ。抱きたいけど、欲情に突っ走って大丈夫か?それに これまでのお泊まりは、それぞれの自宅で、家族も在宅しているし、秘密を守るためにリスクを冒さなかったんだと思う。それに たぶん 大柄な方の少年佑?って呼ばれたかな?は、小柄な方の少年を抱いたら、途中で離せない ってわかってたんじゃないのかな?抱いたら、一晩中、それ以上かも。だから、二人っきりのお泊りまで我慢したんだと思うよ」少年ふたりの愛のドキュメンタリーを堪能した2体の幽霊は、連れだって、この世の山奥にある秘湯に出かけた。
 あの世にいって すんなり魂の生活にはいるもの、幽霊になるもの 妖になるもの と様々で、どこでどう分かれ道なのか、幽霊になった「ふたり(二霊)」にもわからない。


ふたりの少年
 この世の少年、ふたりとも近い将来に、一緒に暮らす計画なので、それに備えて家事を積極的に手伝いながら、ノウハウを学んでいた。少しだけの手伝いでも両親は喜んだ。自立するには、自分の身の回りのことを自分でこなすことは、とても大事だから。洗濯機に洗濯を任せるにしても、色落ちしそうなものは一緒に洗えないとか、例えば買ったばかりのブルージーンズを白いシャツと一緒に洗えば、白いシャツは、水色に染まる。乾燥機にかけられない衣類もあるし。そういうことが面倒だから、全部洗濯乾燥機に入れたいなら、衣類を買うときから、対応する必要がある。これは電子レンジや食洗機も同じで、食器を買うときに、電子レンジ、食洗機OKかを確認する必要がある。部屋を借りるときに、コンロがガスなのか電磁調理台なのかで鍋もやかんも選ばなければならない。アルミ製のやかんでは電磁調理台では反応しない。お湯を沸かすのに やかんで沸かすか、湯沸かしポットにするか、ティファーセにするのかも考えなくては。暮らすうえで、ほぼすべて整っている両親の家と違い、新たに住まうのは、かなりの労力がいる。桜がキッチンを手伝いながら、母から聞いた話では、母の友人で、引っ越し当日、引っ越し先の荷物の片付けがやっと済んだころには、夕方で、電気を点けようとしたら、照明器具がついていないことに気づき、愕然としたそうだ。
 離れて暮らす辛さを、同棲が実現するまでの準備期間として、なんとか耐えていた。おこずかいもお年玉も、ふたりで出かけるときに備えて、貯めていた。ふたりでオンラインゲームに参加しても、課金アイテムには手を出さなかった。リアルでふたりで会う機会の方が、ゲームで勝つより大事だったから。

 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

タトゥーの甘い檻

マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代) どのお話も単体でお楽しみいただけます。 ​「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」 ​真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。 ​それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。 「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。 アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。 ​ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。 愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。 ​「……お前のわがままには、最後まで付き合う」 ​針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。 執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

青龍将軍の新婚生活

蒼井あざらし
BL
犬猿の仲だった青辰国と涼白国は長年の争いに終止符を打ち、友好を結ぶこととなった。その友好の証として、それぞれの国を代表する二人の将軍――青龍将軍と白虎将軍の婚姻話が持ち上がる。 武勇名高い二人の将軍の婚姻は政略結婚であることが火を見るより明らかで、国民の誰もが「国境沿いで睨み合いをしていた将軍同士の結婚など上手くいくはずがない」と心の中では思っていた。 そんな国民たちの心配と期待を背負い、青辰の青龍将軍・星燐は家族に高らかに宣言し母国を旅立った。 「私は……良き伴侶となり幸せな家庭を築いて参ります!」 幼少期から伴侶となる人に尽くしたいという願望を持っていた星燐の願いは叶うのか。 中華風政略結婚ラブコメ。 ※他のサイトにも投稿しています。

君のスーツを脱がせたい

BL
 学生兼モデルをしている佐倉蘭とオーダースーツ専門店のテーラー加瀬和也は絶賛お付き合い中。  蘭の誕生日に加瀬はオーダースーツを作ることに。  加瀬のかっこよさにドキドキしてしまう蘭。  仕事、年齢、何もかも違う二人だけとお互いを想い合う二人。その行方は?  佐倉蘭 受け 23歳  加瀬和也 攻め 33歳  原作間  33歳

もう観念しなよ、呆れた顔の彼に諦めの悪い僕は財布の3万円を机の上に置いた

谷地
BL
お昼寝コース(※2時間)8000円。 就寝コースは、8時間/1万5千円・10時間/2万円・12時間/3万円~お選びいただけます。 お好みのキャストを選んで御予約下さい。はじめてに限り2000円値引きキャンペーン実施中! 液晶の中で光るポップなフォントは安っぽくぴかぴかと光っていた。 完結しました *・゚ 2025.5.10 少し修正しました。

俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした

たっこ
BL
【加筆修正済】  7話完結の短編です。  中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。  二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。 「優、迎えに来たぞ」  でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。  

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...