闇のきざはし ⁑ 狼の山城 と 薔薇の屋敷 の 物語 ⁑

sakura2025

文字の大きさ
23 / 34
闇のきざはし 12

22 香月の中学生時代・アウトドアアドベンチャー(野外授業)で襲われる

しおりを挟む
 ラモント・インターナショナルスクールには、通学生のみの初等科、寄宿生と通学生の混在する中等部と高等部がここエンガデンにあった。系列大学はチューリッヒに設置されていた。

 寄宿舎は、運動場をぐるりと手入れされた樹々や花々が囲み、一番外側をU字型に南を開けて,東側を高等部、西側を中等部、両方の宿舎を繋ぐように食堂、洗濯室、談話室等が建てられていた。
新学期は9月始まりだが、4月始まりの国も多いことから、4月から寄宿舎に入り、授業を受けることが出来た。4月始まりと9月始まりでコース選択が可能で、コースごとにクラス分けされた。香月も同室のウィルも4月コース。レストランやカフェは、寄宿舎内の他に校内に5か所あり、さらに購買部もあり、お弁当持参者もいて、おもいおもいの場所でランチをとっていた。

入学数日後のある日、香月は、クラスメートたち中等部1年の校舎から一番近いレストランに向かった。中等部が主に利用するレストランだが、この日は高等部の生徒で満席のようで、外まで席待ちの列が出来ていた。香月はなんとなく不穏な空気を感じて、後退りして、向きを変えた。さっと影がよぎったと思ったら、すぐ横にウィルが来ていた。ウィルは香月の手を取ると、「こっちだ」と寄宿舎食堂に連れていった。「ランチはここが一番空いているんだ。それに、中等部が多く利用するレストランは、今日はどこも高等部生徒でいっぱいだよ。たいてい、君が目当てらしい。」


 ある日のアウトドア・アドベンチャーはハイキングだった。食堂でランチボックスをつくってもらい、一面に小さな黄色の花が咲き乱れる丘でランチになった。ところどころ白い雲の浮かぶ蒼く高い空に4000メートル級の山々の雪を冠した峰々が連なる様を花々の上に寝転んで、眺めた。

 学校への戻る道は、わかりやすいこともあり、列の管理がゆるかった。

 森の小径に入ったとき、香月はいつの間にか独りで歩いていた。足元の木の根に気を取られて俯いていたので、気付いたときには、立ち塞がる人物にぶつかりそうになった。いきなり抱き寄せられた。押し戻そうと、香月と待ち伏せ人は組んず、ほぐれつ樹々にぶつかりながら小径をはずれ、傾斜を転がった。待ち伏せ人は、見かけは華奢な香月の予期せぬ抵抗にあったが、あきらめなかった。香月も負けるつもりはさらさらなかったので、二人の格闘はしばらく続いた。二人とも息があがりそうになってきたとき、落ち葉を踏んで、何者かが近づいてきた。近づく何者かを待ち伏せ人が認めたとき、叫び声を上げて、香月を放り出して逃げた。そこには、つややかにひかる黒い毛並みのオオカミが居た。香月は体を起こし、狼に「ハグしていい?」狼は「俺がこわくないのか?」と。香月は答えて「俺の大好きな友達と同じ陽だまりの匂いがする」と狼の首すじに腕をまわした。「もしかしたらシモンに頼まれたの?」狼は「ご名答。道に戻れ、校門をくぐるまで、隠れて見守ってやる」

 校門では教師たちが待ち受け、ハイキング参加者名簿でチェックしていた。帰ってきたことが未確認なのは、中等部1年の 千香月ただひとりと気付いて担任は青ざめた。香月の父親は、リヨン城をも所有する超大物セレブ。捜索隊を出す相談をはじめようとしたとき、香月が帰ってきた。教師たちは、一斉に安堵のため息をついていた。


 週末、香月は迎えのリンカーンでリヨン城に帰った。リヨン城では、香月専属執事かつ保護者代理の守人シモンに学校での事はすべて話す約束になっていた。
 香月は高等部生徒に目をつけられていること。森で待ち伏せされて襲われ、狼に助けてもらったこと。同室のウィルのこと。

 シモンは香月の兄ヘルメスが常に誘拐の危険に晒されていたことなど思い合せ、香月の父親「千天地」にこのままラモント・インターナショナルスクールを続けるかどうかを相談することにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?

perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。 その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。 彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。 ……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。 口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。 ――「光希、俺はお前が好きだ。」 次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。

【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。

N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間 ファンタジーしてます。 攻めが出てくるのは中盤から。 結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。 表紙絵 ⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101) 挿絵『0 琥』 ⇨からさね 様 X (@karasane03) 挿絵『34 森』 ⇨くすなし 様 X(@cuth_masi) ◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。

悪の策士のうまくいかなかった計画

迷路を跳ぶ狐
BL
いつか必ず返り咲く。それだけを目標に、俺はこの学園に戻ってきた。過去に、破壊と使役の魔法を研究したとして、退学になったこの学園に。 今こそ、復活の時だ。俺を切り捨てた者たちに目に物見せ、研究所を再興する。 そのために、王子と伯爵の息子を利用することを考えた俺は、長く温めた策を決行し、学園に潜り込んだ。 これから俺を陥れた連中を、騙して嵌めて蹂躙するっ! ……はず、だった……のに?? 王子は跪き、俺に向かって言った。 「あなたの破壊の魔法をどうか教えてください。教えるまでこの部屋から出しません」と。 そして、伯爵の息子は俺の手をとって言った。 「ずっと好きだった」と。 …………どうなってるんだ?

俺の推し♂が路頭に迷っていたので

木野 章
BL
️アフターストーリーは中途半端ですが、本編は完結しております(何処かでまた書き直すつもりです) どこにでも居る冴えない男 左江内 巨輝(さえない おおき)は 地下アイドルグループ『wedge stone』のメンバーである琥珀の熱烈なファンであった。 しかしある日、グループのメンバー数人が大炎上してしまい、その流れで解散となってしまった… 推しを失ってしまった左江内は抜け殻のように日々を過ごしていたのだが…???

君が僕を好きなことを知ってる

大天使ミコエル
BL
【完結】 ある日、亮太が友人から聞かされたのは、話したこともないクラスメイトの礼央が亮太を嫌っているという話だった。 けど、話してみると違和感がある。 これは、嫌っているっていうより……。 どうやら、れおくんは、俺のことが好きらしい。 ほのぼの青春BLです。 ◇◇◇◇◇ 全100話+あとがき ◇◇◇◇◇

僕のポラリス

璃々丸
BL
 陰キャでオタクなボクにも遂に春が来た!?  先生からだけで無く、クラスカースト上位の陽キャ達も、近隣に幅を効かせる不良達からも一目置かれるまるで頭上の星のようなひとだ。  しかも、オタクにまで優しい。たまたま読んでいたボクの大好きなコミック「恋色なな色どろっぷす」を指差して、「あ、ソレ面白いよね」なんて話しかけられて以来、何かと話しかけられるようになっていった。  これだけだとたまたまかな?と思うけど距離も何かと近くて・・・・・・コレ、ってボクの勘違い?それとも?  ・・・・・・なぁーんて、ボクの自意識過剰かな。  なんて、ボクの片思いから始まる甘酸っぱいお話。  みたいなBSS未満なお話。  

処理中です...