行き交うは 夢か現か 春の宵【山姥は捜す 時空を渡り時代を世界を)

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行き交うは 夢か現か 春の宵 18

第26章 妖短刀・三日月の災難

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 短刀のままの姿で動けるのは 持ち主・為成から 呼び寄せがあったときだ。が、人の姿に変じると己の意思で どこへでも行ける。

 自分の意思で 行きたいところに行ける その楽しさに気付いてしまった。

 短刀としての歴史は長く、その上、空間の歪により 1500年の時を飛んだ年月も加算されたが、妖気が目覚めてからは 歴史と呼べないほど 短い。

 ゆえに 妖短刀としては、幼子であった。人の姿を取ったときの 座敷童とほぼ同年代と言える。



 山籠もりから街中に戻ってからは、今風の衣類を買ってもらい、為成が学校に行っている間、暇なので、神社のまわりを散歩している。

 砂浜を犬を連れた人が散歩している。こちらに向かってくる。
 マズイ 犬が「わらわ」に向かって走ってくる。散歩させている人は、紐を引っ張られ、走ってくるが、いまにも転びそうだ。咄嗟に、幼い女の子の姿を解いて 短刀にもどっていた。砂に落ちた短刀に気付かず、犬も人も 追うべき目標を失くし、キョロキョロしている。

 砂の上で、じっとしている。妖気を消し、物と化している。寄せる波が近づきつつある。波に攫われるわけには ゆかない。

 わらわ を 拾い上げた男がいる。半半妖だ。
 
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