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行き交うは 夢か現か 春の宵 18
第33章 銀月と映画
しおりを挟む広く掃除の行き届いた座敷、副床の間で 妖長刀:銀月は 黒漆真塗の刀掛けから 静かに様子をうかがっている。
この時代の都の喧騒に耐えかね、ヒトガタを解いて 刀に戻ってしまったが、おかげで 疲弊とイライラが取れて、清浄鋭利な気 に 戻ることができた。
この座敷は、昼間もほとんど人気がない。そのせいか、夜になっても 行燈に灯がともることがなかった。真っ暗ではないが、誰か 人を見分けられるほどの ひかりは無く、かなりの暗闇となる。これなら ヒトカタをとっても 怪しまれないように思える。
多勢この座敷に向かってくる。
「監督、満月とはいえ 月のひかりだけでは 足りないですよね?」
『座敷に 月の道 が 出来るから それに影響がでないように 座敷は行燈とか設置して、周りはスタッフの手元足元程度に調整して』
多数の人々が 闇に隠れるように周りを囲んでいる。
満月が煌煌と座敷に差し込んでいる。座敷の真ん中で、侍姿の人が、正座して 銀月を 鞘から抜き月の光に翳した。
銀波のごとく刀紋がきらめく。
銀月はわずかに 刀を握る侍姿に妖気を流し、侍姿がうっとりと銀月の妖気に囚われたとき 侍姿の気を吸い取った。
この時代に飛ばされたとき 眠っていた妖気が目覚めた。そしてヒトカタにヘンゲするために、為成から 妖気を補填してもらっていた。満月の今夜、おのれをもつ人から 気 を吸い取ることができた。気は 妖気を増幅させる。
「カット」
「すごい、いいよ! この世のもととは思えない美しい刀に魅入られた絵 撮れました」
欲しかった画像が撮れた監督は、この屋敷の主に 御礼を述べて 引き上げていった。
この屋敷の主は、刀剣収集で有名だった。映画撮影に 真剣を貸して欲しいと頼んたところ、持ち出し禁止だが、屋敷内で撮影するなら と 許可をもらっっていた。
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