月の雫と星屑と~有栖川橙の難儀な恋愛模様~

sakura2025

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月の雫と星屑と 16

外伝 禁断の恋

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 筆者より
 エンディング設定を2つ書きました。外伝(本来は外伝ではありませんが)と表示されている、2つ目のエンディングに向けてのものです。主役が生き延びております。
 なお ひとつ目のエンディングは、第16章 エピローグ(エンディング)ですので、「第15章 家族写真」に続けてお読みください。



 外伝 禁断の恋
 
 秋月満の妻「幸(さち)」
 自分でも欲張りすぎなのは よくわかっている。
夫の「秋月 満」は 見かけの美男子だけでなく、心優しく 本当の美男子だ。大学のとき、おなじサークルに入り、付き合うようになった。満に心を寄せる学生は、まさに山のようで、なぜ 自分とだけと付きあっってくれたのか わからない。しかも結婚して 子宝にも恵まれ、共働きの我が家では、満も 家事も育児も当然のように担ってくれる。完ぺきな恋人から 完ぺきな夫になっている。不満を持つ わたしが おかしい。

 わたしは満だけを見つめている。だから わかる。わたしが 一番ではないことが。あの人には、わたしと付き合うずっと前から、心に秘めた人 がいる。表面に表さず、隠し通している あの人の一番は、誰なのだろう?

 義兄、萩兄さんも 素敵な人だ。大柄な満と小柄な義兄、黒髪の満と銀髪の義兄、年齢差も11歳ある。見てくれがこれだけ違うのに、ふたりは、双子ではないかと思うほど似ている。瞳がそっくりなのだ。

 結婚を意識して付き合うようになってから、義兄に紹介してくれた。わたしたちの交際も、結婚も、子を授かったときも とても喜んでくれた。
 作家であることは紹介してもらったときに知らされたが、こんなに有名な作家とは 家族写真撮影の直前まで 知らなかったので、驚いた。

 スタジオで、プロのカメラマンが撮影してくれた。
 友禅を纏った義兄さんと白いタキシード姿の恋人、家族写真ではなく、映画撮影だと言っても誰も疑わないくらい美しくお似合いのふたり。

 満の視線の先、義兄を見つめている。この一瞬に 満の一番が、わたしにはわかった。


 秋月満 家族写真
 兄の美しさに いまさらながら 惚れ惚れする。真正面から、兄を見つめることなんて できなかったし、チャンスもなかった。
 俺が 高二のときに、両親が事故で他界し、兄が親代わりになってくれた。当時、兄はすでに社会人だったので、生活費から 俺の学費(大学卒業まで)まで すべて兄が背負ってくれ、両親の遺産である土地付き戸建て(おれたちが育ったところでもある)も 俺の名義で相続手続きをしてくれた。
今日の家族写真撮影の数ヶ月前、週刊誌に兄の恋愛関係が抜かれるより前に、遺言書作成で兄に呼び出された。あの世行きの段取り、良すぎだろう。兄をこの世から失うかもしれない 当たり前の現実に 押し潰されそうだった。
ショックで呆然としている俺に、兄は、「年齢順から言っても 俺が先に逝くのが 順当だし、万が一に備えたいだけだ。首洗って待っているのに、すごく長生きして おまえに介護してもらうかも知れないし。」
俺が年老いた兄を介護するなんて、夢のようだ。実現すればいいのに。心底願っている。

 

 
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