海辺のカフェ(成功の次に訪れる突然死)

sakura2025

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第3章 有名人突然死

第3章 突然死

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 第3章 突然死

 終点の車内アナウンスが流れる中、次々と乗客が降りてゆく。入口近く窓際席に男性が一人うつむいて座っている。声をかけようかと迷ったふうな視線を投げかけながらも乗客たちは足を止めることはなかった。
 カシミヤのコートが黒の深みを品良く際立たせている。車掌は、終着駅恒例、残っている乗客に声をかける。が、返事がないので、そっとコートに手を触れながら、再度呼びかける。男性客が前倒しになり、思わず車掌は支えた。この乗客が死亡していると気づくまで、わずかな間であったと思うが、あとで考えてもよくわからなかった。それほど思いがけない予想外の出来事であった。

 JR函館本線終着函館駅で発見された男性遺体の件は、翌々日の朝刊に掲載された。乗客の手荷物の中に明海出版社差出封筒があり、宛名から男性の身元が判明した。「日本小説大賞受賞作家 成瀬元就氏 逝く」の見出しのもと、警察コメントとして「外傷は見受けられず、事件性の有無について調査中」と報じられた。


 寝転んで新聞を広げ、三面記事から読む。森田由紀の休日の愉しみのひとつだ。この習慣を由紀の母 すえ は快く思っていない。目の前で、娘が、というより、いい歳をした大の大人が、テレビを見るにも、新聞を読むにも、朝夕四六時中ごろごろ寝転がっている姿は正視に耐えない。由紀が定年退職を迎え、毎日が日曜日になり、正視に耐えない光景が連日となってしまった。小言もいいたくなる。

 由紀は母の小言から逃れ、自分の部屋でパソコンにむかっていた。新聞報道の日本小説大賞受賞作家が死亡したという記事がなんとなく気になり、ネットで検索をかけた。「突然死」のキーワードからは、小説家 成瀬元就 だけでなく、フランス人モデル マリー・キャンベル、写真家 パク・ヨウエン など世界的著名人の死亡記事にたどりついた。いずれも活躍の真っ只中、突然、原因不明で死亡している。単なる偶然だろうか?共通するのは、有名人と原因不明の突然死だが、関連性はないのだろうか?
毎日が日曜日の由紀は、漠然とした疑念ではあるが、気にかかり、図書館で調べてみることにした。まず、ファッション誌「パリス」にマリー・キャンベルのグラビアを見つけた。スペイン、セビーリャのカテドラルで撮影されたものだ。中世にタイムスリップしたかのような大聖堂の風情がモデルの憂いを含んだ華やかさを引き立てていた。カメラマンは、パク・ヨエンだった。次に週刊エクスの最新号で「有名作家の謎の突然死を扱った」記事を見つけた。双方の記事のコピーを手に入れて帰宅した。
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