海辺のカフェ(成功の次に訪れる突然死)

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第4章 一般人 由紀

第4章 母をシニアレジデンス見学集合場所に送り、森田由紀は 海辺のカフェへ

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 第4章 母をシニアレジデンス見学集合場所に送り、森田由紀は 海辺のカフェへ

 由紀の母親 すえ は、昭和一桁の生まれで、来年、米寿の祝いを迎える。夫を5年前に亡くし、やはり連れ合いを十年前に亡くした長女 由紀 と4年前から同居している。友人たちからは、実の娘と暮らす すえ は、いつもうらやましがられる。が、すえ に してみれば、家でくつろぐ を 通り越して ぐうたらしている娘を見ていると、これから先 とても この娘の世話にはなれないと思っている。由紀のほうでも、母が思うような介護は不可能と予測し、介護はプロに任せる割り切った方針で、母娘の意見は一致している。元気なうちに、入居施設は、自分で決定したいと、由紀同伴で、西へ東へ有料老人ホーム見学を兼ねるプチ旅行が趣味になった。
 明日は、世田谷にある 超高級シニアレジデンス 夢の里 の見学会。バスの送迎と昼食、アフタヌーンティ付き に参加する。
いつもどおり、由紀も一緒に出かけるはずだったが、由紀は他に用事ができたとかで、渋谷駅近くの送迎バス発着の集合場所まで送ってくるだけになった。
 シニアレジデンスバス見学会当日、由紀は、週刊誌掲載の 作家の通った 海辺のカフェ を訪ねてみることにした。人が亡くなったのに不謹慎とは思うが、いつもの旅より謎スパイスが加わり、うきうきした気分で出かけた。
 シニアレジデンス見学会参加のため、集合場所まで、由紀に送ってもらった すえ は、腕章をつけて待っていた担当者に、ビル内4階の会議室に案内された。部屋の入口で受付を済ませたあと、見学会タイムスケジュール等事前レクチャーがあり、それから大型バスに乗車して、現地に向かった。参加者は、母親の付き添いと思われる50歳近い女性が一番若そうで、70歳台の女性同士、老夫婦、60歳代の一人参加の男性や女性など15組26人だった。
 世田谷にあるシニアレジデンス 夢の里 は、超高級との触れ込み通り、洋館風な外観、ゴシック調家具で統一されたラウンジ、ホテルのようにコンシェルジュが迎えてくれるフロント、1階にケアセンターが併設され、花と緑の中庭を望むレストラン、地下には大浴場、美容室、ジム、2階から上の居住用個室は、広さと向きにより価格が設定され、医師が通い、看護士が常駐し、ケア付きで高級ホテルに滞在しているように暮らせる。事前に送付されてきたパンフレットから判断しても、ここに入居するには宝くじにでも当選しない限り、資金的に無理だと すえ は、思っているが、好奇心旺盛なので、手が届かなくても 見てみたい と 参加した。

 数年前までは、団体ツアーで国内旅行に出かけていた すえ だが、団体スケジュールにあわせるのが億劫になり、申し込まなくなった。かわりに、有料老人ホーム見学ミニ旅行を愉しみにしている。ほとんど由紀が一緒に来てくれ、バス見学会なら、千円程度の参加費で、ランチやお茶付、バス送迎有りだし、個人で見学するときも、最寄駅までは、施設担当者が必ず送迎してくれた。お客さまとして、大事にしてもらえ、温泉付き施設に体験宿泊すれば、旅行気分を満喫できる。下見と情報収集という実益も兼ねているので、満足度も高かった。

 母を集合場所まで送り届け、列車に乗り込んだ由紀は 日帰りとは言え、ひとりきままに行動できる解放感を味わっていた。
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