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最果ての森編
8. 父親
僕の前世の父親は、嫌な奴だった。
ギャンブルを好み、酒癖が悪かった。そのうえプライドが高く、気に入らないことがあると怒鳴って暴力を振るうような奴だった。
母さんはそんな父に嫌気が差して家を出たのだと思う。
僕は置いて行かれた。
新しく出来た恋人と過ごすのに、僕の存在は邪魔だったのだろう。結局その恋人とも別れて、最期は一人、部屋で亡くなっていたそうだ。
父は、母さんに見限られたということを認めなかった。プライドが許さないからだ。
母さんの墓を建てていなかったのは、意地を張っていたのだろうか。父の考えは、僕には理解できないからよく分からない。
母さんの記憶はほとんどない。
ただ、僕を産んでくれたことには感謝している。
嫌な父親と過ごす日々は辛かったけど、学校は楽しかった。友達から本を借り、その世界に浸る時間が何よりも好きだった。
自由な世界を知って、憧れた。
ワクワクして、くすりと笑えて、時々切なくて、色んな感情を抱ける世界が好きだった。
こんな世界を知れてよかった。
大げさかもしれないけど、生まれてきてよかった、と思ったんだ。
だから、これは僕を産んでくれたお礼。
つまらんプライドを捨てきれない父親の代わりにお墓を建てようと思ったんだ。
まあ、その前に僕が死んじゃったけどね。
あのお金はどうなっているだろうか。
ギャンブルや酒代に消えていないだろうか。
それだけが心残りだ。
そして僕は生まれ変わった。
白い空間で願い事をした記憶がある。
『もし生まれ変われるのなら、今度はいい父親に恵まれるといいな』って。
そしたら、『その願い、聞き届けましょう』って綺麗な声が聞こえたんだ。
この願いが、今叶うのだろうか。
「···ウィル、お前はどうしたい?」
ジルが僕に聞く。
答えなんて、決まってるよ!
「あう!」
期待を込めてジルを見る。
「そうか。···それなら、お前は俺の息子だ」
「あうあう!」
視界がぼやける。
零れそうになる涙を手で拭う。
良かった。願いが叶ったんだ。
ありがとう、リイン様。
頭を撫でる大きな手にくすぐったさを感じ、笑みがこぼれる。
「良かったねえ、ウィル君。···ブフッ!」
感動的なシーンのはずなのに、ライが急に吹き出す。
「どうしたんだ、ライ?」
テムが不思議そうに訊ねる。
「いや、だって···。ウィル君のステータスをまた見たんだ。名前がちゃんと反映されてるかなと思って。そしたら増えてたんだ、称号が」
「何が増えたのー?」
「黒龍帝の愛息子。···ふふっ」
「ブハッ」
「あははっ!愛息子かあー!ウィルくん、良かったねー!」
テムとファムも堪えきれずに笑い出す。
まじか。これは照れる。
嬉しくて口がムズムズする。
「···悪いか」
ジルがほんのり赤い顔で視線を逸らす。
僕の父親が可愛すぎて辛い。
名前:ウィル
種族:人族
年齢:1
レベル:0
スキル:成長力促進、言語理解
魔法:
耐性:
加護:リインの加護
称号:異世界からの転生者、黒龍帝の愛息子
ギャンブルを好み、酒癖が悪かった。そのうえプライドが高く、気に入らないことがあると怒鳴って暴力を振るうような奴だった。
母さんはそんな父に嫌気が差して家を出たのだと思う。
僕は置いて行かれた。
新しく出来た恋人と過ごすのに、僕の存在は邪魔だったのだろう。結局その恋人とも別れて、最期は一人、部屋で亡くなっていたそうだ。
父は、母さんに見限られたということを認めなかった。プライドが許さないからだ。
母さんの墓を建てていなかったのは、意地を張っていたのだろうか。父の考えは、僕には理解できないからよく分からない。
母さんの記憶はほとんどない。
ただ、僕を産んでくれたことには感謝している。
嫌な父親と過ごす日々は辛かったけど、学校は楽しかった。友達から本を借り、その世界に浸る時間が何よりも好きだった。
自由な世界を知って、憧れた。
ワクワクして、くすりと笑えて、時々切なくて、色んな感情を抱ける世界が好きだった。
こんな世界を知れてよかった。
大げさかもしれないけど、生まれてきてよかった、と思ったんだ。
だから、これは僕を産んでくれたお礼。
つまらんプライドを捨てきれない父親の代わりにお墓を建てようと思ったんだ。
まあ、その前に僕が死んじゃったけどね。
あのお金はどうなっているだろうか。
ギャンブルや酒代に消えていないだろうか。
それだけが心残りだ。
そして僕は生まれ変わった。
白い空間で願い事をした記憶がある。
『もし生まれ変われるのなら、今度はいい父親に恵まれるといいな』って。
そしたら、『その願い、聞き届けましょう』って綺麗な声が聞こえたんだ。
この願いが、今叶うのだろうか。
「···ウィル、お前はどうしたい?」
ジルが僕に聞く。
答えなんて、決まってるよ!
「あう!」
期待を込めてジルを見る。
「そうか。···それなら、お前は俺の息子だ」
「あうあう!」
視界がぼやける。
零れそうになる涙を手で拭う。
良かった。願いが叶ったんだ。
ありがとう、リイン様。
頭を撫でる大きな手にくすぐったさを感じ、笑みがこぼれる。
「良かったねえ、ウィル君。···ブフッ!」
感動的なシーンのはずなのに、ライが急に吹き出す。
「どうしたんだ、ライ?」
テムが不思議そうに訊ねる。
「いや、だって···。ウィル君のステータスをまた見たんだ。名前がちゃんと反映されてるかなと思って。そしたら増えてたんだ、称号が」
「何が増えたのー?」
「黒龍帝の愛息子。···ふふっ」
「ブハッ」
「あははっ!愛息子かあー!ウィルくん、良かったねー!」
テムとファムも堪えきれずに笑い出す。
まじか。これは照れる。
嬉しくて口がムズムズする。
「···悪いか」
ジルがほんのり赤い顔で視線を逸らす。
僕の父親が可愛すぎて辛い。
名前:ウィル
種族:人族
年齢:1
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スキル:成長力促進、言語理解
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加護:リインの加護
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