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最果ての森・成長編
85. ティアの属性
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ちょっとおよび腰になっているティアに対し、僕はガッツポーズをして励ます。
「てぃあ、だいじょーぶ!」
試練を与えた側から励まされるのは複雑かもしれないが、その辺は大目に見てほしい。
ティアが少しの間を置いて、『ええい、ままよ!』と思い切って前足で水晶に触れる。
ティアの声が聞こえない人からしたら、なんだかよく分からない水晶に怖がりながらも前足でちょこんと触れているように見えるのかもしれない。
絵的には、それはもう、すんごく可愛い。
『魔力操作で、魔力を流す、流す、···うむむ』
ティアがちょこんと触れた足から魔力を流そうと集中している。
しばらくすると、ぽわっと水晶の中が光りだした。
「ティア、上手に流せているよ!···水色と茶色の光が大きいみたいだね。黒もなかなか大きいし···他の色もちゃんと見える。ティア、すごいじゃないか!」
『お、おお?そうか?そうなのか?』
ティアが期待に満ちた目でライを見上げる。
「ティアは水属性と土属性、その次に闇属性に適性があるようだよ。複数の属性が得意だと、複合属性にしやすいんだ。ふふ、これから楽しみだね!」
『おお!安心したのだ!ワレも強力な魔法が使えるようになりたいのだ!』
ティアの目がキラキラと輝いている。
複合属性まで使える可能性が見えて、将来への希望が胸に湧いているのかもしれない。
「私はもちろんどの属性も教えるつもりだけどね、闇属性の高度な魔法となると、私よりジルの方が得意なんだ。だからある程度から先はジルに教えてもらいたいんだけど···ジル、いいかい?」
キッチンにいたジルが、こちらへ戻って来た。
ティアは、『ジルに、教えてもらう···だと···!?』と壊れたブリキのようにギギギ、とジルを見る。
「俺は誰かに教えるのは得意ではないんだが···」
少し困った様子のジルに、ライが爽やかな笑顔を見せる。
「あ、それは分かっているよ。説明はできるだけ私がやるから大丈夫。ふふふ、魔法は出来なくても、知識だけはあるつもりだからね」
おお···笑顔だけは爽やかだ。
まあ、ジルもテムやファムと同じ感覚派だからね。ハイスペックイケメンの、天才が故の弱点だ。
僕だって魔力感知のときに、『感じろ』としか言われなかったからなあ。
「まあ、それなら···」
そう言ってジルがティアを見る。
「説明はライに聞いてくれ。俺は魔法を放つだけだ」
『お、おお···?ワレは魔法を見せてもらえるだけでもありがたいぞ?』
ジルは説明が苦手だという事実に衝撃を受けたのか、ティアが優しい言葉をかける。
完璧超人だと思っていた人に弱点があると、なんだか親しみが湧くよね。
「てぃあ、あいあとって」
「そうか」
ティアを撫でるジルの目元が優しい。
『ほう···ジルの手もなかなか···』
ティアはさっきまでぎこちない動きでジルを見上げていたのに、もうリラックスモードだ。適応能力が高いというか、素直というか、それがティアの可愛いところだ。
ティアの気持ちはよく分かる。ジルのナデナデはすごく心地良いのだ。もう、撫でマスターの称号を与えたいくらいだ。
「ふふ、ティア、ジルとも仲良くなったんだね。まだ先のことになると思うけど、今からジルとの練習が楽しみだよ」
『早くジルの高度な魔法とやらを見るために、ワレは頑張るのだ!』
目を細めてリラックスしながらシャキッした言葉を放つという器用なことをしているティアが可愛い。
「ふふ、それじゃあ魔力操作と魔力感知をもう少しやって、今日の練習を終わりにしようか」
ライの言葉で、練習を再開する。
ティアはますますやる気を見せていて、その日はライが帰ってからも自主練に励んでいた。
それからも、家に遊びに来てくれるテムとファムと遊んだり、ライに魔法を教えてもらったりしたがら楽しい日々を過ごしていた。
毎日が楽しくて、幸せだ。
そんな日々を送りながら、最近薄々感じていることがある。
···ティアが、大きくなっているような気がするのだ。
僕の赤ちゃんボディだって日々成長している。以前より物を掴みやすくなったし、発音練習のおかげか随分と喋りやすくなった。
そんな僕が、ティアの成長を感じている。つまり、成長している僕よりもティアの成長スピードが速いのだ。
現在ティアがどれくらいの成長を遂げたかというと、初めて会ったときはギリギリ僕でも抱っこできるくらいの大きさだったのに、今ではそれが難しい。
毎日ジルの料理をたくさん食べて、テムやファムと一緒に駆け回り、夜は僕と一緒にぐっすり眠る。
···成長しないわけがない。
ティアは、『ご主人を乗せて森を駆け抜けるくらい大きくなるのだ!』と張り切っている。
まだ小さいティアを可愛がりたい気持ちはあるが、もしそれくらい大きくなったら、『黙れ小僧』って言ってみてほしいなと思ったりもしている。
それに、大きなティアとか、ふわふわがよりふわっふわになるんじゃないかっていう期待もある。そうなったら、十日に一回くらいは、一日中ティアをモフりまくる日を設けてみたいという欲望が湧いてくる。
つまり何が言いたいかと言うと、ティアはどの大きさでも可愛いのだ。
「てぃあ、だいじょーぶ!」
試練を与えた側から励まされるのは複雑かもしれないが、その辺は大目に見てほしい。
ティアが少しの間を置いて、『ええい、ままよ!』と思い切って前足で水晶に触れる。
ティアの声が聞こえない人からしたら、なんだかよく分からない水晶に怖がりながらも前足でちょこんと触れているように見えるのかもしれない。
絵的には、それはもう、すんごく可愛い。
『魔力操作で、魔力を流す、流す、···うむむ』
ティアがちょこんと触れた足から魔力を流そうと集中している。
しばらくすると、ぽわっと水晶の中が光りだした。
「ティア、上手に流せているよ!···水色と茶色の光が大きいみたいだね。黒もなかなか大きいし···他の色もちゃんと見える。ティア、すごいじゃないか!」
『お、おお?そうか?そうなのか?』
ティアが期待に満ちた目でライを見上げる。
「ティアは水属性と土属性、その次に闇属性に適性があるようだよ。複数の属性が得意だと、複合属性にしやすいんだ。ふふ、これから楽しみだね!」
『おお!安心したのだ!ワレも強力な魔法が使えるようになりたいのだ!』
ティアの目がキラキラと輝いている。
複合属性まで使える可能性が見えて、将来への希望が胸に湧いているのかもしれない。
「私はもちろんどの属性も教えるつもりだけどね、闇属性の高度な魔法となると、私よりジルの方が得意なんだ。だからある程度から先はジルに教えてもらいたいんだけど···ジル、いいかい?」
キッチンにいたジルが、こちらへ戻って来た。
ティアは、『ジルに、教えてもらう···だと···!?』と壊れたブリキのようにギギギ、とジルを見る。
「俺は誰かに教えるのは得意ではないんだが···」
少し困った様子のジルに、ライが爽やかな笑顔を見せる。
「あ、それは分かっているよ。説明はできるだけ私がやるから大丈夫。ふふふ、魔法は出来なくても、知識だけはあるつもりだからね」
おお···笑顔だけは爽やかだ。
まあ、ジルもテムやファムと同じ感覚派だからね。ハイスペックイケメンの、天才が故の弱点だ。
僕だって魔力感知のときに、『感じろ』としか言われなかったからなあ。
「まあ、それなら···」
そう言ってジルがティアを見る。
「説明はライに聞いてくれ。俺は魔法を放つだけだ」
『お、おお···?ワレは魔法を見せてもらえるだけでもありがたいぞ?』
ジルは説明が苦手だという事実に衝撃を受けたのか、ティアが優しい言葉をかける。
完璧超人だと思っていた人に弱点があると、なんだか親しみが湧くよね。
「てぃあ、あいあとって」
「そうか」
ティアを撫でるジルの目元が優しい。
『ほう···ジルの手もなかなか···』
ティアはさっきまでぎこちない動きでジルを見上げていたのに、もうリラックスモードだ。適応能力が高いというか、素直というか、それがティアの可愛いところだ。
ティアの気持ちはよく分かる。ジルのナデナデはすごく心地良いのだ。もう、撫でマスターの称号を与えたいくらいだ。
「ふふ、ティア、ジルとも仲良くなったんだね。まだ先のことになると思うけど、今からジルとの練習が楽しみだよ」
『早くジルの高度な魔法とやらを見るために、ワレは頑張るのだ!』
目を細めてリラックスしながらシャキッした言葉を放つという器用なことをしているティアが可愛い。
「ふふ、それじゃあ魔力操作と魔力感知をもう少しやって、今日の練習を終わりにしようか」
ライの言葉で、練習を再開する。
ティアはますますやる気を見せていて、その日はライが帰ってからも自主練に励んでいた。
それからも、家に遊びに来てくれるテムとファムと遊んだり、ライに魔法を教えてもらったりしたがら楽しい日々を過ごしていた。
毎日が楽しくて、幸せだ。
そんな日々を送りながら、最近薄々感じていることがある。
···ティアが、大きくなっているような気がするのだ。
僕の赤ちゃんボディだって日々成長している。以前より物を掴みやすくなったし、発音練習のおかげか随分と喋りやすくなった。
そんな僕が、ティアの成長を感じている。つまり、成長している僕よりもティアの成長スピードが速いのだ。
現在ティアがどれくらいの成長を遂げたかというと、初めて会ったときはギリギリ僕でも抱っこできるくらいの大きさだったのに、今ではそれが難しい。
毎日ジルの料理をたくさん食べて、テムやファムと一緒に駆け回り、夜は僕と一緒にぐっすり眠る。
···成長しないわけがない。
ティアは、『ご主人を乗せて森を駆け抜けるくらい大きくなるのだ!』と張り切っている。
まだ小さいティアを可愛がりたい気持ちはあるが、もしそれくらい大きくなったら、『黙れ小僧』って言ってみてほしいなと思ったりもしている。
それに、大きなティアとか、ふわふわがよりふわっふわになるんじゃないかっていう期待もある。そうなったら、十日に一回くらいは、一日中ティアをモフりまくる日を設けてみたいという欲望が湧いてくる。
つまり何が言いたいかと言うと、ティアはどの大きさでも可愛いのだ。
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