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最果ての森・成長編
84. ティアの試練
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ティアが魔力操作の練習を始めて三日目。
この二日間、ライは仕事が忙しかったようで、僕達は自主練を行っていた。
ティアは魔力操作、僕は今までに習った魔法の練習だ。魔力や威力のすり合わせ、それに発動時間の短縮などは、繰り返しの練習が必要だ。
テムとファムも遊びに来てくれて、一緒に楽しく練習した。『ご主人の仲間は、バケモノばかりなのだ···』とティアがプルプルしていた。
まあ、この二人の遊びは規格外だからね。慣れるしかないよと思いながら僕はティアを撫でた。
そして今日、ライが来てくれた。
「あれから来られなくてごめんね?ティア、魔力操作の練習は捗っているかい?」
『ううむ、ワレなりに頑張ってみたのだが···出来ているか、見てほしいのだ』
ここ二日間のテムとファムの遊びに度肝を抜かれたティアは、なんとなく自信を無くしているようだ。
「てぃあ、みてほちいって」
「ふふ、分かったよ。それじゃあティア、体内の魔力を動かしてくれるかい?」
僕がティアの言葉を伝えると、ライが優しい笑顔でそう言った。
ライは魔力視のスキルで魔力の動きを見るのだろう。
『ううむ。···こんな感じか?』
僕も魔力感知でティアの魔力を見てみる。初日よりも随分とスムーズに動かせているようだ。
「ティア、上手くなったね!まだ三日目とは思えないくらいだよ!」
ライはこういう時、本当に嬉しそうに褒めてくれる。だから褒められると頑張って良かったって思うし、これからも頑張ろうって思えるんだ。
『おお···?そうか?そうなのか?』
ティアもそう感じたのか、尻尾のフリフリが徐々に速くなっている。
「ふふ、とても良く出来ているよ。これなら次のステップへ進めそうだね」
ライがティアをよしよしと撫でる。ブンブンと振られている尻尾から、ティアの喜びが伝わってくる。
「次は、魔力感知だよ。自分の魔力はもう分かるようだから、他の人の魔力を感知してみようか」
その後も、ティアの練習は続く。
僕は時折ティアの通訳をしながら、魔力感知の範囲を広げる練習をして過ごしていた。
ライの教え方は褒めて伸ばすタイプだ。それもわざとらしい褒め方じゃなくて、出来るようになると本気で喜んでくれるから、こちらも余計に嬉しくなる。
ティアは徐々に自信を取り戻したのか、いつもの明るくて一生懸命なティアに戻っていた。
『なんとなくではあるが、分かるようになってきたのだ!···んん!?お主ら、魔力が多過ぎるのではないか···?』
ティアが再び自信なさげに耳をペタンと倒す。
「てぃあ、りゃいたち、まりょく、おおしゅぎって」
「ふふ、ティアの魔力も成長とともに増えていくし、魔物を倒せばさらに増えるよ。大丈夫、ティアは強くなれるよ」
ライの言葉に、ティアの耳がぴょこんと立つ。
『ほ、本当か!?ワレは強くなれるのか!』
ティアが嬉しそうにライの周りを駆け回る。
「ふふ、ティアは素直で可愛いね。これからも、頑張っていこうね」
『頑張るのだ!ライ、よろしく頼むのだ!』
「てぃあ、りゃい、よりょしくって」
「ふふ、こちらこそ、よろしくね」
喜びを素直に表現するティアを見て微笑んでいたライが、「あっ」と言ってバッグの中から何かを取り出す。
「今日はこれを持って来たんだ!」
そう言ってライが見せたのは、得意属性を調べる水晶の魔道具だった。
『何だ、それは?』
ティアが鼻をヒクヒクさせながら聞く。
ティアの疑問が伝わったのか、ライが得意気な顔で説明する。
「ふふ、これはね、魔力適性、つまり得意な属性を調べる魔道具なんだ。それでね、これは前にウィル君が使ったものより性能が高いんだよ!」
ほほう!
通りで以前見たときよりも水晶が大きいと思ったんだ。
「以前のは一番得意な属性しか分からなかったけど、これは適性のある属性が全て分かるんだ。光の大きさで、得意属性を判断するんだよ」
そう言ってライが水晶に手を触れ、魔力を流す。すると水晶の中に、複数の光が灯った。一番大きいのは緑色の光で、次に水色、その次は茶色、赤色の光だ。他の色も、小さく光っている。
「おお~!」
これはかなりすごいんじゃないか。一番得意な属性だけではなくて、二番目や三番目に得意な属性が分かれば、魔法の練習がさらにしやすくなる。
「ふふ、ウィル君も、やってみるかい?」
僕はコクコクと頷く。
好奇心でうずうずしながら、ライが差し出した水晶に魔力を流す。すると、七色の光が眩しく輝き始めた。
「わあ、やっぱりこうなるんだね!すごいよ、ウィル君!」
色とりどりに輝く水晶はとても綺麗だ。ほうっとため息をつきながら、しばし見惚れる。
『綺麗なのだ···。ひー、ふー、みー、···え、七色?確か基本属性は七つだったような···。ということは、ご主人は全ての属性が得意ということか!?』
ティアの口がポカンと開いている。
「ふふ、次はティアの番だよ。水晶に触れて、体内の魔力を流せるかい?」
ライが促すと、ティアの顔が強張る。
『こ、この流れでワレの属性を見るのか?···これは、心を強く持てということなのか···?』
あっ···。
どうやら僕は、思わぬところでティアに試練を与えてしまったようだ。
この二日間、ライは仕事が忙しかったようで、僕達は自主練を行っていた。
ティアは魔力操作、僕は今までに習った魔法の練習だ。魔力や威力のすり合わせ、それに発動時間の短縮などは、繰り返しの練習が必要だ。
テムとファムも遊びに来てくれて、一緒に楽しく練習した。『ご主人の仲間は、バケモノばかりなのだ···』とティアがプルプルしていた。
まあ、この二人の遊びは規格外だからね。慣れるしかないよと思いながら僕はティアを撫でた。
そして今日、ライが来てくれた。
「あれから来られなくてごめんね?ティア、魔力操作の練習は捗っているかい?」
『ううむ、ワレなりに頑張ってみたのだが···出来ているか、見てほしいのだ』
ここ二日間のテムとファムの遊びに度肝を抜かれたティアは、なんとなく自信を無くしているようだ。
「てぃあ、みてほちいって」
「ふふ、分かったよ。それじゃあティア、体内の魔力を動かしてくれるかい?」
僕がティアの言葉を伝えると、ライが優しい笑顔でそう言った。
ライは魔力視のスキルで魔力の動きを見るのだろう。
『ううむ。···こんな感じか?』
僕も魔力感知でティアの魔力を見てみる。初日よりも随分とスムーズに動かせているようだ。
「ティア、上手くなったね!まだ三日目とは思えないくらいだよ!」
ライはこういう時、本当に嬉しそうに褒めてくれる。だから褒められると頑張って良かったって思うし、これからも頑張ろうって思えるんだ。
『おお···?そうか?そうなのか?』
ティアもそう感じたのか、尻尾のフリフリが徐々に速くなっている。
「ふふ、とても良く出来ているよ。これなら次のステップへ進めそうだね」
ライがティアをよしよしと撫でる。ブンブンと振られている尻尾から、ティアの喜びが伝わってくる。
「次は、魔力感知だよ。自分の魔力はもう分かるようだから、他の人の魔力を感知してみようか」
その後も、ティアの練習は続く。
僕は時折ティアの通訳をしながら、魔力感知の範囲を広げる練習をして過ごしていた。
ライの教え方は褒めて伸ばすタイプだ。それもわざとらしい褒め方じゃなくて、出来るようになると本気で喜んでくれるから、こちらも余計に嬉しくなる。
ティアは徐々に自信を取り戻したのか、いつもの明るくて一生懸命なティアに戻っていた。
『なんとなくではあるが、分かるようになってきたのだ!···んん!?お主ら、魔力が多過ぎるのではないか···?』
ティアが再び自信なさげに耳をペタンと倒す。
「てぃあ、りゃいたち、まりょく、おおしゅぎって」
「ふふ、ティアの魔力も成長とともに増えていくし、魔物を倒せばさらに増えるよ。大丈夫、ティアは強くなれるよ」
ライの言葉に、ティアの耳がぴょこんと立つ。
『ほ、本当か!?ワレは強くなれるのか!』
ティアが嬉しそうにライの周りを駆け回る。
「ふふ、ティアは素直で可愛いね。これからも、頑張っていこうね」
『頑張るのだ!ライ、よろしく頼むのだ!』
「てぃあ、りゃい、よりょしくって」
「ふふ、こちらこそ、よろしくね」
喜びを素直に表現するティアを見て微笑んでいたライが、「あっ」と言ってバッグの中から何かを取り出す。
「今日はこれを持って来たんだ!」
そう言ってライが見せたのは、得意属性を調べる水晶の魔道具だった。
『何だ、それは?』
ティアが鼻をヒクヒクさせながら聞く。
ティアの疑問が伝わったのか、ライが得意気な顔で説明する。
「ふふ、これはね、魔力適性、つまり得意な属性を調べる魔道具なんだ。それでね、これは前にウィル君が使ったものより性能が高いんだよ!」
ほほう!
通りで以前見たときよりも水晶が大きいと思ったんだ。
「以前のは一番得意な属性しか分からなかったけど、これは適性のある属性が全て分かるんだ。光の大きさで、得意属性を判断するんだよ」
そう言ってライが水晶に手を触れ、魔力を流す。すると水晶の中に、複数の光が灯った。一番大きいのは緑色の光で、次に水色、その次は茶色、赤色の光だ。他の色も、小さく光っている。
「おお~!」
これはかなりすごいんじゃないか。一番得意な属性だけではなくて、二番目や三番目に得意な属性が分かれば、魔法の練習がさらにしやすくなる。
「ふふ、ウィル君も、やってみるかい?」
僕はコクコクと頷く。
好奇心でうずうずしながら、ライが差し出した水晶に魔力を流す。すると、七色の光が眩しく輝き始めた。
「わあ、やっぱりこうなるんだね!すごいよ、ウィル君!」
色とりどりに輝く水晶はとても綺麗だ。ほうっとため息をつきながら、しばし見惚れる。
『綺麗なのだ···。ひー、ふー、みー、···え、七色?確か基本属性は七つだったような···。ということは、ご主人は全ての属性が得意ということか!?』
ティアの口がポカンと開いている。
「ふふ、次はティアの番だよ。水晶に触れて、体内の魔力を流せるかい?」
ライが促すと、ティアの顔が強張る。
『こ、この流れでワレの属性を見るのか?···これは、心を強く持てということなのか···?』
あっ···。
どうやら僕は、思わぬところでティアに試練を与えてしまったようだ。
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