7 / 14
風雅の都
「裏」華流亞の思い
しおりを挟む
私は華流亞。たった今からこの国の王になったの。私の義姉の瀬兎は王家の人間じゃない。なのにお父様はそんな瀬兎を可愛がっていた。血の繋がりもなく、霊力も無い王家の恥晒しなのに…
お母様と一緒に瀬兎をいじめた事がある。その度に瀬兎は大泣きし、部屋に閉じこもった。正直言って哀れだった。笑えてきた。無能は何をやっても無能なのよ。
そう。ある時までは…
十年前のあの日の朝、私は瀬兎の靴と服を奪って隠した。無能なのに王家の服を着た瀬兎が目障りだったからだ。
けど瀬兎はその日は泣かず、ただ窓辺を眺めていた。そしてお昼が過ぎた後、薄い服だけに身を包んだ彼女が、宮殿を抜け出した。けど、誰も瀬兎を追いかけない。お父様も仕事が忙しかったし、女官達も、瀬兎をよく思ってなかったからだ。きっとみんな心のどこかで、帰って来なきゃ良いのに、と思っていたかも知れない。
けど、その日の夕方、瀬兎は帰ってきた。雨に濡れ、服がくっつき、足も泥に塗られて。
なのに瀬兎は笑っていた。気味が悪かった。何がそんなにおかしいのか、私には分からなかった。
その日から瀬兎は宮殿を抜け出す日が多くなっていった。どこで何をしているのかは誰も知らない。日に日に足が速くなっていく瀬兎にはもう誰も追いつけない。追いかけても途中で撒かれてしまう。でも行き先は分かった。森だ。この森には何か居る。
瀬兎を強くした何かが。でも、森に入るのは狩猟を生業とする者だけ。奴らが何を狩っているかって?それは妖だ。森の奥に住む妖を狩って生活をしている。
だけどそんな森へ、瀬兎は何をしにいっているのか。答えは簡単だった。彼女は妖に会っていたのだ。会って何をしているのかまでは知らない。けれど
「瀬兎は妖って怖くないの?」
と、聞いた事がある。すると彼女は決まってこう言う。
「怖くないわ。この国の妖は可愛いわ」
と。正直言って馬鹿だ。そんな事を言ったら妖と会っている事がバレてしまうと思わなかったのだろうか。だが、いつも瀬兎は笑っていた。まるで、何が起きても許せる。とでも言うかの様に…
瀬兎が森へ行く様になってから早五年。お父様が病で倒れた。それから二年後、自分の死を悟ったお父様は実の娘の私ではなく、三歳年上の瀬兎にこの国を任せた。この時瀬兎は十九歳。まだ成人では無いが、任せられると思ったのだろう。確かに瀬兎は優秀だった。お父様が倒れてからと言うもの、森へ行くのをピッタリ辞め、何かに取り憑かれた様に本を読み漁っていた。優秀な義姉、整う政治、この国に必要なのは私ではなく瀬兎なのだと物語っていた。
だけど、民は違った。
瀬兎の王就任の日、祝福の光を使えなかった彼女は、当然民からの信頼は無い。けど、私は知ってる。
この時の瀬兎は霊力が無いのでは無くて、わざと使っていなかった事を。そんな事は民は知らないし、彼女も教える気はない様だから、私も何も言わずにいた。どうせB級止まりだと思っていたし。
王になってから暫くして、瀬兎が民の中から護衛を選ぶと言った。私は不安だった。民の中には瀬兎の今の地位を使って国を乗っ取ろうとしている者も居たからだ。だけど不思議と、自分の王の座が脅かされるとは思わなかった。この時の私はすっかり瀬兎の素晴らしさに魅了されて、信頼し切っていたからだ。そうして、瀬兎が選んだのは二人の護衛。でもすぐに妖だと分かった。
私には『真実の水晶』。別名『新月の瞳』と言う瞳の力があったからだ。この瞳を通して視た物は、何で隠されていても、本当の姿しか映らないのだ。もちろん、彼らを選んだのは瀬兎だし、それを否定するつもりもない。
もっとも、彼らの強さは本物だった。瀬兎はまず応募者同士で闘わせ、勝ち抜いた八人を選び出した。これで強さは証明できる。次に頭脳。瀬兎が作った緊急時の対応の答えを書くと言う試験。私も問題を見たが、本当に必要なのか分からない問題もあった。その中で選び出した二人だ。間違いがあるはずが無い。
同時にこの時分かった。瀬兎が森へ行き会っていたのはこの二人だったのだという事。護衛に就いた二人が最初から瀬兎に馴れ馴れしかったからだ。それからというもの、瀬兎は二人を連れて、宮殿の外に行く事が多くなった。そこで視た光景が奇妙だった事を今でも覚えている。彼女の周りを囲む全ての者が妖で、その中心で彼女は笑っていた。それから瀬兎は、ある一部の民にだけ好かれていった。これが妖に好かれた王の始まり。
それからの瀬兎は目まぐるしく働いていた。妖と人間との間にあった溝も彼女により薄れ、度々あった小さな争いも無くなった。本当ならこの国には彼女が必要なのだと思う。けど瀬兎はきっと、この国に留まってはいけない人間なんだ。だから私は瀬兎にとって嫌な女を演じ続けた。彼女が早くこの国から出たいという気持ちを、忘れさせない為に。
私は生涯をかけて貴女を忘れないだろう。きっと貴女はこの馬鹿みたいな世界を壊してくれる光だから、貴女を引き止める事はしない。
今、兵を動かそうとしているのはお父様の時から政治を取仕切っている参謀だ。元はと言えば、こいつのせいで妖との間に亀裂が入ったのだ。瀬兎が作りたかった国の未来は私が引き継ぐ。こんな奴に奪われてたまるか!
私は必死になって兵を止めに入った。
「参謀。兵を動かすのをやめて頂戴」
「何故ですか?貴女を脅かす者は速やかに排除しなければ。」
「瀬兎は私の事など、眼中にも無い。時期にこの国から出て、私達の目の届かない所へ行くだろう」
そうだ。早く国から出ろ。私の目の届かない所で、やりたい事だけをやっていれば良い。
「そうは行きません。彼女は我が国の名を汚す者。生かしておけば、また新たな争いを生む事になる。」
「争いを生み出しているのはお前では無いのか?」
「なんだと!?」
あー、しまったやり過ぎた。ここまで怒らせるつもりは無かったのに…出来ればこいつとは争いたく無かった。だけど瀬兎の事を悪くいう奴は許さない。
「お前…この私を侮辱するというのか!?」
「いいえ、でも貴方に国は任せられないわ」
「…っ!ええいっ!捕らえろ!」
仮にも一国の王を個人の感情で捕らえていいのかは甚だ疑問だが、まぁ良い。私とて無策で怒らせた訳ではない。
瀬兎がずっと大切にしていた本。私が奪ってしまったけど、その中には月姫の霊術の事も書いてあった。だからそれを使わせてもらう。
『月の名は霞。目を懲らせ、私を見つけろ。霧の海から抜ける事は出来ない』
私は『真実の水晶』で月姫の術を口にした。すると辺り一面に霧が広がり視界が白くなる。けど私には視える。水晶の力は永遠だ。王家の血筋にしか受け継がれない。私はこの力を誇りに思っている。沢山の術があるから、いつか絶対使いこなしてみせる。
『現れて、鶴紗!』
自身の手で門を形どり、式神を呼ぶ。
「お呼びですか。月姫」
鶴紗は私を月姫と呼ぶ。水晶の力を宿した、唯の末裔なのに…
「奴らを捕らえて」
「承知しました」
式神は、主人に絶対服従を誓う。主人の霊力で生み出され、その者の命でないと動く事はない道具。いわば生のない存在。今の妖達も似たような物なのだろう…
「すみません月姫。これ以上は伸びません」
「それで良いわ。ありがとう」
鶴紗はツルの式神。彼女の手から伸びたツルが兵たちを捕らえている。
兵の一部だけ進行を許してしまった。けど、貴女ならこれくらいの兵は乗り越えて行けるのでしょう。私はずっと信じている。昔言えなかった分もちゃんと言わせて
「行ってらっしゃいませお姉様。良い旅を!」
兵に捕らえられた私は、外に向かって叫ぶ。そこにもう彼女は居ないのに
お母様と一緒に瀬兎をいじめた事がある。その度に瀬兎は大泣きし、部屋に閉じこもった。正直言って哀れだった。笑えてきた。無能は何をやっても無能なのよ。
そう。ある時までは…
十年前のあの日の朝、私は瀬兎の靴と服を奪って隠した。無能なのに王家の服を着た瀬兎が目障りだったからだ。
けど瀬兎はその日は泣かず、ただ窓辺を眺めていた。そしてお昼が過ぎた後、薄い服だけに身を包んだ彼女が、宮殿を抜け出した。けど、誰も瀬兎を追いかけない。お父様も仕事が忙しかったし、女官達も、瀬兎をよく思ってなかったからだ。きっとみんな心のどこかで、帰って来なきゃ良いのに、と思っていたかも知れない。
けど、その日の夕方、瀬兎は帰ってきた。雨に濡れ、服がくっつき、足も泥に塗られて。
なのに瀬兎は笑っていた。気味が悪かった。何がそんなにおかしいのか、私には分からなかった。
その日から瀬兎は宮殿を抜け出す日が多くなっていった。どこで何をしているのかは誰も知らない。日に日に足が速くなっていく瀬兎にはもう誰も追いつけない。追いかけても途中で撒かれてしまう。でも行き先は分かった。森だ。この森には何か居る。
瀬兎を強くした何かが。でも、森に入るのは狩猟を生業とする者だけ。奴らが何を狩っているかって?それは妖だ。森の奥に住む妖を狩って生活をしている。
だけどそんな森へ、瀬兎は何をしにいっているのか。答えは簡単だった。彼女は妖に会っていたのだ。会って何をしているのかまでは知らない。けれど
「瀬兎は妖って怖くないの?」
と、聞いた事がある。すると彼女は決まってこう言う。
「怖くないわ。この国の妖は可愛いわ」
と。正直言って馬鹿だ。そんな事を言ったら妖と会っている事がバレてしまうと思わなかったのだろうか。だが、いつも瀬兎は笑っていた。まるで、何が起きても許せる。とでも言うかの様に…
瀬兎が森へ行く様になってから早五年。お父様が病で倒れた。それから二年後、自分の死を悟ったお父様は実の娘の私ではなく、三歳年上の瀬兎にこの国を任せた。この時瀬兎は十九歳。まだ成人では無いが、任せられると思ったのだろう。確かに瀬兎は優秀だった。お父様が倒れてからと言うもの、森へ行くのをピッタリ辞め、何かに取り憑かれた様に本を読み漁っていた。優秀な義姉、整う政治、この国に必要なのは私ではなく瀬兎なのだと物語っていた。
だけど、民は違った。
瀬兎の王就任の日、祝福の光を使えなかった彼女は、当然民からの信頼は無い。けど、私は知ってる。
この時の瀬兎は霊力が無いのでは無くて、わざと使っていなかった事を。そんな事は民は知らないし、彼女も教える気はない様だから、私も何も言わずにいた。どうせB級止まりだと思っていたし。
王になってから暫くして、瀬兎が民の中から護衛を選ぶと言った。私は不安だった。民の中には瀬兎の今の地位を使って国を乗っ取ろうとしている者も居たからだ。だけど不思議と、自分の王の座が脅かされるとは思わなかった。この時の私はすっかり瀬兎の素晴らしさに魅了されて、信頼し切っていたからだ。そうして、瀬兎が選んだのは二人の護衛。でもすぐに妖だと分かった。
私には『真実の水晶』。別名『新月の瞳』と言う瞳の力があったからだ。この瞳を通して視た物は、何で隠されていても、本当の姿しか映らないのだ。もちろん、彼らを選んだのは瀬兎だし、それを否定するつもりもない。
もっとも、彼らの強さは本物だった。瀬兎はまず応募者同士で闘わせ、勝ち抜いた八人を選び出した。これで強さは証明できる。次に頭脳。瀬兎が作った緊急時の対応の答えを書くと言う試験。私も問題を見たが、本当に必要なのか分からない問題もあった。その中で選び出した二人だ。間違いがあるはずが無い。
同時にこの時分かった。瀬兎が森へ行き会っていたのはこの二人だったのだという事。護衛に就いた二人が最初から瀬兎に馴れ馴れしかったからだ。それからというもの、瀬兎は二人を連れて、宮殿の外に行く事が多くなった。そこで視た光景が奇妙だった事を今でも覚えている。彼女の周りを囲む全ての者が妖で、その中心で彼女は笑っていた。それから瀬兎は、ある一部の民にだけ好かれていった。これが妖に好かれた王の始まり。
それからの瀬兎は目まぐるしく働いていた。妖と人間との間にあった溝も彼女により薄れ、度々あった小さな争いも無くなった。本当ならこの国には彼女が必要なのだと思う。けど瀬兎はきっと、この国に留まってはいけない人間なんだ。だから私は瀬兎にとって嫌な女を演じ続けた。彼女が早くこの国から出たいという気持ちを、忘れさせない為に。
私は生涯をかけて貴女を忘れないだろう。きっと貴女はこの馬鹿みたいな世界を壊してくれる光だから、貴女を引き止める事はしない。
今、兵を動かそうとしているのはお父様の時から政治を取仕切っている参謀だ。元はと言えば、こいつのせいで妖との間に亀裂が入ったのだ。瀬兎が作りたかった国の未来は私が引き継ぐ。こんな奴に奪われてたまるか!
私は必死になって兵を止めに入った。
「参謀。兵を動かすのをやめて頂戴」
「何故ですか?貴女を脅かす者は速やかに排除しなければ。」
「瀬兎は私の事など、眼中にも無い。時期にこの国から出て、私達の目の届かない所へ行くだろう」
そうだ。早く国から出ろ。私の目の届かない所で、やりたい事だけをやっていれば良い。
「そうは行きません。彼女は我が国の名を汚す者。生かしておけば、また新たな争いを生む事になる。」
「争いを生み出しているのはお前では無いのか?」
「なんだと!?」
あー、しまったやり過ぎた。ここまで怒らせるつもりは無かったのに…出来ればこいつとは争いたく無かった。だけど瀬兎の事を悪くいう奴は許さない。
「お前…この私を侮辱するというのか!?」
「いいえ、でも貴方に国は任せられないわ」
「…っ!ええいっ!捕らえろ!」
仮にも一国の王を個人の感情で捕らえていいのかは甚だ疑問だが、まぁ良い。私とて無策で怒らせた訳ではない。
瀬兎がずっと大切にしていた本。私が奪ってしまったけど、その中には月姫の霊術の事も書いてあった。だからそれを使わせてもらう。
『月の名は霞。目を懲らせ、私を見つけろ。霧の海から抜ける事は出来ない』
私は『真実の水晶』で月姫の術を口にした。すると辺り一面に霧が広がり視界が白くなる。けど私には視える。水晶の力は永遠だ。王家の血筋にしか受け継がれない。私はこの力を誇りに思っている。沢山の術があるから、いつか絶対使いこなしてみせる。
『現れて、鶴紗!』
自身の手で門を形どり、式神を呼ぶ。
「お呼びですか。月姫」
鶴紗は私を月姫と呼ぶ。水晶の力を宿した、唯の末裔なのに…
「奴らを捕らえて」
「承知しました」
式神は、主人に絶対服従を誓う。主人の霊力で生み出され、その者の命でないと動く事はない道具。いわば生のない存在。今の妖達も似たような物なのだろう…
「すみません月姫。これ以上は伸びません」
「それで良いわ。ありがとう」
鶴紗はツルの式神。彼女の手から伸びたツルが兵たちを捕らえている。
兵の一部だけ進行を許してしまった。けど、貴女ならこれくらいの兵は乗り越えて行けるのでしょう。私はずっと信じている。昔言えなかった分もちゃんと言わせて
「行ってらっしゃいませお姉様。良い旅を!」
兵に捕らえられた私は、外に向かって叫ぶ。そこにもう彼女は居ないのに
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】
積み上がった伏線の回収目前!!
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる