しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる

長月 鳥

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おっさんセクハラす

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 出て行った案内人が扉を閉めると同時に、部屋の空気が少しだけ静かになった。
 そして、黙って立っていた人形のような少女と目が合う。

 「……おい、おっさん」
 可愛らしいメイド姿のか細い声だったけれど──おっさんって。

 「え? ええと……俺?」
 「は? お前しか居ねぇだろ」
 く、口が悪い子だ。
 そして喋ると、鋭利な八重歯がちらりと見えた。
 小さな角も付いているし、小鬼かなんかの魔族なのか?

 「あたいの名前はシービー。おめぇみたいなおっさんに名乗りたくはなかったけど、魔王様の言うことは聞かなきゃなんねぇ、もう二度と言わねぇからな。覚えろよ」
 シービーって子は、そう言って口を尖らせて、そっぽを向いた。
 分かりやすい反抗期かな? まぁこれくらいの年頃の子にはよくあることかな。
 見た感じ、コイルの村のエルナと同じくらいかな……村のみんな元気でやってっかな?
 ミカちゃんが結界で守ってくれているから、大丈夫だよな……。

 「おい、聞いてんのかよ。今日からあたいがおっさんの助手だからな。分かんねぇことがあったら教えてやるからありがたく思えよ」
 いちいち指をさしてくる。距離が近い。うるさい。

 「助手……? メイドっぽい恰好だけど、そうではないの?」
 「メイド兼助手だって言ってんだろ。なんだよその顔。人の仕事バカにしてんのか?」
 メイド兼助手ってなんだよ……まぁどっちも似たようなもんか。

 「え、何? というか助手って……俺、ただの家電屋なんだけど?」
 「うっせーな、おっさんがただのおっさんだってことは知ってんだよ! 魔王さまがそう言ってんだから、オレはお前の助手なんだよ! 異論は却下! 受け入れろ! 従え!」
 すごい勢いでまくしたててくる。身長は俺の腰くらいなのに、存在感がデカい。

 「……あのー、一応確認だけど、俺に拒否権は?」
 「ねーよ。魔王命令だっつってんだろ。こっちは命令で仕方なくやってんだよ。こんな下級魔族にばっか雑用押し付けてさー……ったく」
 ふんっとそっぽを向いて、頬を膨らませる。
 ……え、なんで拗ねてんのこの子?

 「ていうかおっさんな、ちゃんと働けよな。おっさんが成果出したら、オレも昇格できるんだからよ! おっさんがヘマしたら、あたいも巻き添えなんだぞ? 責任取れよな?」
 「なにその一方的な期待とプレッシャー……」
 「うるせー、オッサンのくせにウジウジしてんじゃねぇ! あーあ、もっとイケてる研究者が来ると思ったのによ~……」
 「悪かったな、イケてなくて……」

 「いや別に。あんま期待してなかったし」
 「なんなんだ君は……」
 会話してるだけでHPが削られていく気がする。
 でもどこか、不思議と嫌な感じはしなかった。元気すぎるし、口は悪いけど、なんていうか──真っ直ぐな感じは嫌いじゃない。

 「ま、いいや。今日のところは顔合わせってことで。明日からちゃんと“助手”させてもらうからな! 覚悟しとけよ、おっさん!」
 「……あのさ、せめて名前で呼んでくれない?」
 「ん? じゃあ“電気おっさん”でいいか?」
 「むしろ遠ざかった気がする!」
 「ワガママなやつだなぁ、やっぱおっさんでいいだろ」
 「……」
 少し頭にきたけれど、なんだかシービーが楽しそうだから、まぁいいか。

 「んじゃよろしくなシービー」
 「ちょっ、触んなよ。ぶっとばすぞ」
 元気で可愛いから頭を撫でてやったら、怒られた。エルナとか、めっちゃ喜んでくれたんだけどな……ともすればセクハラか、気を付けよう。
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