聖女を隷属させてこき使う国は捨てちゃいます!

SHEILA

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神殿 2

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神官は仕事用の笑顔を顔に張り付けた。

「鑑定でございますか。そういたしますと鑑定の結果に関わらず、お願いする寄付金が少し多くなってしまいますが…」

神官は品定めをする。
服装から貴族と思われるが、趣味が洗練されていないし、性格にも問題がありそうだ。
厄介ごとのニオイがプンプンする。

「ああ、問題ない。娘が癒しの魔法が使えるのは確実だ。昨日我妻が魔獣に襲われ、肩や背中や脇腹の肉を食いちぎられたが、これが一瞬で治した。妻の体には傷一つ残っておらん。」

「は?」

神官は男の言葉を反芻する。
そして心の中で素早く計算をする。
この男の言うことが本当であれば、治癒どころか再生の魔法が使えるということだ。
「聖女」である可能性が跳ね上がる。
今まで見つけた癒しの魔法や結界の魔法が使える少女たちは、すべて神殿に入れて「聖女」として覚醒するのを見守っている状況だが、再生の魔法が使える者はいない。

「それではこちらへ。」

神官は、他の神官たちに怪しまれないよう、ハロルドとブルネッタとララを小さな祈祷室に案内する。
小さいと言っても、2~30人が入って祈祷ができるくらいの広さがある。

「私はこの神殿の神官で、サミュエルと申します。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。」

ハロルドが尊大な態度で答える。

「私はハロルド・ボーデンロ男爵だ。妻のブルネッタに、娘のララだ。娘は私たち夫婦にまったく似ていないが、正真正銘、私たち2人の娘だ。」

サミュエルは「あの有名なバーバラ・ボーデンロの両親か。なるほど。」と思った。
神官や神官見習いは神学の家庭教師として派遣されることも多く、かの令嬢の悪評は、派遣先の他の教養の家庭教師からの情報提供により、神殿内に浸透していた。

「ご高名なボーデンロ男爵様でございましたか。お会いできて光栄でございます。ララ男爵令嬢様の鑑定でございますが、鑑定の前に、ララ男爵令嬢様のお力をお見せいただきたく存じます。」

「貴様!私の言うことを疑っておるのか!!」

「いえ、疑っているのではありません。それが本当であれば、それほどの力をお持ちであると言うことでございましたら、本日は私に、お嬢様が使える魔法を見せていただきたいのです。」

「鑑定はできないと言うことか!!」

ハロルドが憤る。
サミュエルは、態とハロルドを挑発するような、まどろっこしい物言いをしたのだ。
御しやすそうで何よりだと、サミュエルはほくそ笑む。

「そうではございません。先ほどのボーデンロ男爵様のお話を伺って、もしララ男爵令嬢様が私が考えている魔法もお使いになることができるとなりますと、ララ様には「聖女」である可能性が出て参ります。そうなりますと、今日、この神殿で鑑定をお受けになるよりも、王城で、国王様の立会いの下、王宮の鑑定士の鑑定を受けられた方が良いのではと思ったのですが……どうしても今日神殿で鑑定を受けたいとおっしゃられるのであれば、直ぐに鑑定士の手配をいたしますので、このままこちらでお待ちください。」

丁寧に礼をして、部屋を出ようとすると、期待していた言葉がかかる。

「待て。その話、詳しく。」

サミュエルの頭の中には、自分の輝かしい未来が描かれていた。
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