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20.共通点は甘い物が好き
しおりを挟む「あ、の...おにーちゃん!」
酒を買った後は適当に歩き回って休憩がてら軽食を提供する店のテラスに座っていたらこの間ぶつかった少年に呼び止められた、最近は子供と接する事が無いから話しかけられれば自然と笑みが溢れる。
「君はこの間の...こんにちは、今日もおつかいかな?えっと...」
「あぅ、こんにちは!ぼくはケニィ・ベリーですっ!このあいだは、ありがとうございましたっ」
「私はサナン・ヘストレードです、よろしくね」
頬をピンク色に染めて微笑む少年を見るだけで花が飛ぶような癒し効果がある、ちょうど焼き菓子を店員が運んできたから隣の席へと促すとおずおずと身を縮こませてちょこんと座った。
「わぁぁ、ほんとにたべていいんですか!?」
「もちろん、全部美味しいけどオススメはこれだよ」
色とりどりの焼き菓子の中から一つ指差せばお菓子と私の顔を交互に見たあと小さな手を使ってぱくっ!と食べれば気に入ったのか何も言わずに急いで食べ切ってしまった。無くなった時の残念そうな顔を見ていたら面白くてつい笑ってしまいケニィは顔を赤くして俯いてしまう、まだ残ってる焼き菓子を勧めて自分も一緒に食べればあっという間にお茶も無くなり、会話もお互いが喋りたい事を自然と話すようになっていた。
「私は弟がいないからケニィみたいな兄弟がいたら楽しかっただろうな」
「ひとりっこなんですか?」
「いいや、兄がいるよ。忙しい人だから最近は会ってないなぁ」
「あれ?じゃあこのまえいっしょにいたキラキラのおにーちゃん...」
「バルトロメオの事かな?彼は友達で...ケニィ?」
バルトの金髪をキラキラと言ったのかな?とくすくす笑ってケニィを見れば先程まで楽しそうにしていたのに、突然そわそわし始めて慌てている。
「あぅぅぅ~~、いけない、忘れてた...」
「もしかしてお手伝いの途中だった?引き留めてごめんね?」
「ちがうの!おにーちゃんにはなさないと!あのね、このまえのおねーちゃんがいってたの...つぎは...なまえ...えっとぉ...?」
ケニィと会った時は【聖女】がいた
つまりおねーちゃんとはシライ殿の事だよな、と何かを思い出そうとしている少年の言葉を待つ。
「さっきおにーちゃんがいってた、バルトロメオさん?のつぎは...デールデ?デルアデ??」
「もしかして、ディアルデ?」
「そう!それですっ!つぎはディアルデだっていってて、ぼく、つたえたほうがいいのかなっておもって...ちょっとだけ、おねーちゃんがこわかったから...」
ケニィなりに何か異変を感じての事だったのだろう、一生懸命彼なりに言葉を探しながら伝えたせいか少々疲れたようだったからお茶を渡して一息つかせた。たった一回会っただけなのに心配でいつ現れるかも分からない私を探して、待っていたのだ。
「ありがとうケニィ、ディアルデに会っておねーちゃんが言ってた事を伝えてみるよ。もしかしたら二人の間で約束してるかもしれないしね?」
「あぅ、そうですよね...ぼくのかんちがいかもしれないですよね」
「どうなったかちゃんとケニィに教えるからね、今度は私から会いに行くから待っててくれる?」
「は、はいっ!まちます!うれしいですっ」
「ふふ、ケニィは薬局にお使いに行くでしょう?会いたい時は店主に手紙を預けておくから待っててね」
「はいっ!じゃあぼく、もういきますね!」
小走りで離れて行くが、何回か振り返って大きく手を振ってくれるからこちらも振り返して見えなくなるまで眺めていた。
シライ殿の言う次は、とは何の事なのだろうか?
ケニィの感じた異変が私にも伝染したかのように胸騒ぎがする、飲み干したティーカップと焼き菓子を残したまま早々に店を後にした。
どうか、エメロード邸にいるアルデとバルトの身に平穏な時間が流れている事を願って
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