私の宝石を探して

ひちゅ

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21.聖女、心のままに

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「御主人様は多忙のためお会いになられません」


いい加減にして!って大声で言いたい
やっとエアヘッセ兄弟の住んでる家まで来たのに毎日メイドが言う言葉は来ない・来れない・会わないばかり!!
大きい家の中は自由にしていいって言われてるけど、鍵がかかってる部屋には立ち入り禁止って事でしょ!?それぐらい分かるんだから...。

「はぁ...バルトロメオめっちゃかっこよかった...」

王宮から移動するときに迎えに来てくれてたのはキレイな金髪に真っ直ぐこちらを見ていたエアヘッセ兄弟の弟だった、一目惚れってやつなのか分からないけどずーっと彼とするデートとかキスとか妄想が止まらない。
なのに、この家に来てから一度も会えなくてちょっと...すごい最悪...。
今日もかよって思いながら薔薇の花が咲き乱れる庭でお茶とケーキを頬張る。こっちの世界ではニュアと呼ばれている花で女の子は絶対好きでしょって思うような場所。
住んでみて分かったけどマイジュエルってゲームの世界と私が住んでた世界で違うのは名前だけみたい。植物や食べ物、動物は一緒なのに呼び方が違うからちょっと驚いた。まぁ日本語と英語が違うのと同じって考えとけばいいかなって感じ。

「はぁ~あ~、家が大きすぎてバルトロメオが何処にいるか分からないし、メイドさんとか突然出てきて部屋に戻されたりするし...。退屈でしんど~!外に遊びに行けるように頼もうかなぁ...ん?」

なにやらガサガサ音がする、え、怖いんですけど
こういう時に限ってメイドさん見当たらないし、どうしよう、と思いつつも好奇心が勝って少し遠くの方から周ってのぞいてみればエアヘッセ兄弟の兄がいるー!!!

(きたー!!これはいわゆる出会いイベントってやつじゃない!?ヤバイ...私やっぱり聖女だわ...バルトロメオも好きだけど兄のディアルデもやっぱかっけぇぇぇ!!!)

どうやら薔薇もといニュアの花を自らハサミで切り取っているようだ。赤く、綺麗に咲いてるものを厳選しているようで真剣な顔は彼の男らしさは爆上がり。女の子ぜったい惚れる。
これは絶対にミス出来ないぞ、バルトロメオに会えない今!兄のディアルデの好感度を上げとかないと!もしかしたらディアルデの好感度が後々バルトロメオに関係してくるかもだし!
落ち着け~わたし、と思いながらわざとカサっと音を出せば騎士団長の彼はすぐに気付きこちらを警戒し始めた。

「あ、あの...ごめんなさい、邪魔をするつもりではなかったのです...」

口元に手を当てて少し瞳をうるっとさせてみた
実際うるっとしているのか分からないけど!
わたし女の子です、優しくしてアピールしてみる
まさかここに聖女がいると思わなかったようで驚いた様子を見せながら持っていた薔薇を纏めていた。

「これは聖女殿、邪魔などではありませんよ。私はもう用は済んだのでお構いなく、では。」

えっ、ちょっ、どーいうことー!?!?
立ち去ってしまうの!?
もしかして可愛らしいのじゃなくてじゃじゃ馬アピールの方が正解だったのか!?
これは間違えたやつや...このままだったら好感度マイナスのまま終わってしまう。

(本当はバルトロメオに3回分ぜんぶ使いたかったけど、こうなったら聖女の特権を使うしかない)

マイジュエルの聖女に与えられるちから

手の甲にあるピンクダイヤモンドのコアの特別な力をつかって攻略する相手の好感度を無条件で引き上げる!

「ま、待ってっ!ディアルデさまっ!」

振り向いた彼にピンクダイヤの輝きを見せれば目を見開き視線を外す事ができずに硬直している。
正直これで良かったのか謎だけど、そう思っていたら立ち去ろうとしていた彼が戻ってきて目の前に膝をつき、持っていた薔薇を私に差し出してきた。

「聖女殿、内緒にしていたのにバレてしまいました...この薔薇を貴方に差し上げるつもりで摘み取っていたのです。受け取ってくれますか?」

もう冗談ぬきで死ぬかと思った
イケメン男前兄の微笑みと薔薇のコンビネーションは今日1番だわ...受け取ります!喜んで受け取ります!
両手で大事そうに抱えてお礼を伝えた後はそのまま立ち去ってしまったのが残念...このピンクダイヤの力はあくまで一時的なもので一生続くものでは無い、でも記憶には残る。選択をミスった時の救済措置バンザイ。

残りはあと2回

兄のディアルデを見たらバルトロメオ一択と考えていたけど迷ってきちゃったよー!!
あと2回、慎重に使わないと
そう考えてケーキが置いてあるテーブルに戻って一人妄想にいそしんだ。



ニュアの花が咲き誇る庭園の隅で
しゃがみ込む人物に気付かないまま




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