102 / 129
無慈悲なゴング
命の使い方
しおりを挟む
僕は命を使うことは嫌いだ。漫画、アニメ、小説、命を使うということは必ず「死」が待っているからだ。ましてや僕には守るべき大切な人がいる。そう易々と簡単に命を捨てるわけにはいかない。臆病者だと言われてもチキンだと言われても構わない、お母さんを守れれば。そう思ってたはずだった。でもそれは違った。体裁よく逃げる手段を見つけ、全てお母さんにおっかぶせていただけなのかもしれない。僕は一度たりとも戦おうとすら、いや、ファイティングポーズを取ってさえいなかった。
「仲間がなんとかやってくれるだろう。これまでもそうだ。なんだかんだ解決してくれたじゃないか。今回の件だってザシコの婚約だろ?僕に何の関係がある……」
でもザシコは自分の事であろうが他人であろうが全力で戦っている。
今度は……
「できるかできないかじゃない、やるんだ!!」
そう自分に言いきかけせている時、そこに聞き覚えのある声と、これでもかと筋肉を見せつけるようなレインボーカラーのタンクトップ男が現れた。電話の時の男に違いなかった。
「はぁ、強い奴を倒したら強い奴が現れる、常識だろうが。なあ、おい。」
筋肉ムキムキなのにモデルウォーキングをしている気持ち悪い。しかも勝手に部屋に入ってくる。だが、明らかに強い。素人の僕でも分かる。しかも全力ではないにしてもあのザシコと神三体を退けた奴だ。勝てるはずがない。しかし、不思議と落ち着いていた。有りとあらゆることを投げ出す勇気は僕にはないが、状況が状況だ。選択肢がない事が、逆に迷いを打ち消した。
「全てを投げ出さなければならない。そしてやる事は単純明快、あぁ、楽だ」
静かに目を閉じ、カッと眼を見開き、小指から順に指を折り、拳を握り構えた。
「マコ、場所を閉じるぞ!」
ザシコは雪見の時と同じ様に梅雨細波を使って敢えて神3体と空間を切り取った。
「ありがとう。この命、自分に託してやる。『破帝 柳紫櫻(ハテイ リュウシオウ)』」
そう呟くと辺りが無作為に紫の稲光を発し、敵の腹に拳を振り上げた。一発一発が軽いのが自分でも分かる。でも一発で倒そうなんて思ってもいない。
「軽いねぇ……人間ごときがここまでやるなんて褒めてやるよ。だがな、そこまでなんだなぁ~」
豪場はまだ自分が優位になっていると思っている。奢り、放漫、自信。場合によってはとても良い精神状態を作り上げるが、今この瞬間は違う。
「……ザシコ」
僕はそう言うと、僕の後ろからザシコが梅雨を豪場に切りつけようとし、豪場は不思議な形状のナイフをザシコに切りつけようとした。その瞬間、どこからともなく菖蒲さんが現れ、指で二人の刃物を止めた。
「ん~、見てるだけでいるつもりだったけど、疼いちゃって結界から侵入してきちゃっ☆お二人さん、かなり熱いねぇ~。あ、そうそう、二木君、カッコよかったぜ。あの技、何??」
何食わぬ顔で僕の方に話しかけるが、二人はそうはいかない。
「はぁ?誰だよアンタ」
「そうじゃ菖蒲!邪魔するでない!!」
すると菖蒲さんはまるで釈迦如来像の様に眼を半開きに豪場にこう言った。
「黙れよ、今話しをしているんだ。少し場を読めよ。」
この言葉を発すると同時に、まるでこの場で動いたら瞬殺されるのが、簡単に想像できそうな、そんな空気に包まれ、豪場は冷や汗が止まらなかった。逃げようにも刃物は止められ、何しろ体が動かない。僕は何故菖蒲さんが敢えて戦いに参加しないのか少しだけわかった様な気がした。
「さて二木君、早速で悪いけど終わりにしようか」
「仲間がなんとかやってくれるだろう。これまでもそうだ。なんだかんだ解決してくれたじゃないか。今回の件だってザシコの婚約だろ?僕に何の関係がある……」
でもザシコは自分の事であろうが他人であろうが全力で戦っている。
今度は……
「できるかできないかじゃない、やるんだ!!」
そう自分に言いきかけせている時、そこに聞き覚えのある声と、これでもかと筋肉を見せつけるようなレインボーカラーのタンクトップ男が現れた。電話の時の男に違いなかった。
「はぁ、強い奴を倒したら強い奴が現れる、常識だろうが。なあ、おい。」
筋肉ムキムキなのにモデルウォーキングをしている気持ち悪い。しかも勝手に部屋に入ってくる。だが、明らかに強い。素人の僕でも分かる。しかも全力ではないにしてもあのザシコと神三体を退けた奴だ。勝てるはずがない。しかし、不思議と落ち着いていた。有りとあらゆることを投げ出す勇気は僕にはないが、状況が状況だ。選択肢がない事が、逆に迷いを打ち消した。
「全てを投げ出さなければならない。そしてやる事は単純明快、あぁ、楽だ」
静かに目を閉じ、カッと眼を見開き、小指から順に指を折り、拳を握り構えた。
「マコ、場所を閉じるぞ!」
ザシコは雪見の時と同じ様に梅雨細波を使って敢えて神3体と空間を切り取った。
「ありがとう。この命、自分に託してやる。『破帝 柳紫櫻(ハテイ リュウシオウ)』」
そう呟くと辺りが無作為に紫の稲光を発し、敵の腹に拳を振り上げた。一発一発が軽いのが自分でも分かる。でも一発で倒そうなんて思ってもいない。
「軽いねぇ……人間ごときがここまでやるなんて褒めてやるよ。だがな、そこまでなんだなぁ~」
豪場はまだ自分が優位になっていると思っている。奢り、放漫、自信。場合によってはとても良い精神状態を作り上げるが、今この瞬間は違う。
「……ザシコ」
僕はそう言うと、僕の後ろからザシコが梅雨を豪場に切りつけようとし、豪場は不思議な形状のナイフをザシコに切りつけようとした。その瞬間、どこからともなく菖蒲さんが現れ、指で二人の刃物を止めた。
「ん~、見てるだけでいるつもりだったけど、疼いちゃって結界から侵入してきちゃっ☆お二人さん、かなり熱いねぇ~。あ、そうそう、二木君、カッコよかったぜ。あの技、何??」
何食わぬ顔で僕の方に話しかけるが、二人はそうはいかない。
「はぁ?誰だよアンタ」
「そうじゃ菖蒲!邪魔するでない!!」
すると菖蒲さんはまるで釈迦如来像の様に眼を半開きに豪場にこう言った。
「黙れよ、今話しをしているんだ。少し場を読めよ。」
この言葉を発すると同時に、まるでこの場で動いたら瞬殺されるのが、簡単に想像できそうな、そんな空気に包まれ、豪場は冷や汗が止まらなかった。逃げようにも刃物は止められ、何しろ体が動かない。僕は何故菖蒲さんが敢えて戦いに参加しないのか少しだけわかった様な気がした。
「さて二木君、早速で悪いけど終わりにしようか」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/6:『とんねるあんこう』の章を追加。2025/12/13の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/5:『ひとのえ』の章を追加。2025/12/12の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/4:『こうしゅうといれ』の章を追加。2025/12/11の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/3:『かがみのむこう』の章を追加。2025/12/10の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/2:『へびくび』の章を追加。2025/12/9の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/1:『はえ』の章を追加。2025/12/8の朝4時頃より公開開始予定。
2025/11/30:『かべにかおあり』の章を追加。2025/12/7の朝8時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
神木さんちのお兄ちゃん!
雪桜
キャラ文芸
✨ キャラ文芸ランキング週間・月間1位&累計250万pt突破、ありがとうございます!
神木家の双子の妹弟・華と蓮には"絶世の美男子"と言われるほどの金髪碧眼な『兄』がいる。
美人でカッコよくて、その上優しいお兄ちゃんは、常にみんなの人気者!
だけど、そんな兄には、何故か彼女がいなかった。
幼い頃に母を亡くし、いつも母親代わりだったお兄ちゃん。もしかして、お兄ちゃんが彼女が作らないのは自分達のせい?!
そう思った華と蓮は、兄のためにも自立することを決意する。
だけど、このお兄ちゃん。実は、家族しか愛せない超拗らせた兄だった!
これは、モテまくってるくせに家族しか愛せない美人すぎるお兄ちゃんと、兄離れしたいけど、なかなか出来ない双子の妹弟が繰り広げる、甘くて優しくて、ちょっぴり切ない愛と絆のハートフルラブ(家族愛)コメディ。
果たして、家族しか愛せないお兄ちゃんに、恋人ができる日はくるのか?
これは、美人すぎるお兄ちゃんがいる神木一家の、波乱万丈な日々を綴った物語である。
***
イラストは、全て自作です。
カクヨムにて、先行連載中。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?
藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。
結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの?
もう、みんな、うるさい!
私は私。好きに生きさせてよね。
この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。
彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。
私の人生に彩りをくれる、その人。
その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。
⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。
⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる