横須賀シャルシャル

始動編

青春

豪霧竜ニ、高校三年生。大学受験に滑り止めにしか合格せず、あと一年勉強したら今の第一志望校が滑り止めになる位になるだろうと根拠のない自信を持つ。だが、「絶対に？」と聞かれると「いやぁ……」と弱気になる位の根拠である。

夕月由真、高校三年生。ミディアムヘアの控え目な女子高生。頭が良すぎるが故に考えてることがよく分からない。大学受験に東大を含め、全て合格するものの、豪霧が浪人するのなら大学で留年するよりも費用がかからないという理由で宅浪を選ぶ事に。母には過去地元のヤンキー達をボコボコにした事をダシに、父親にはコレクションの艦隊フィギュアを人質に宅浪をする権利を取得する。

「はぁ、もう高校生活も終わりかぁ。」

「そうだね～。もう制服登校も終わりかぁ。」

「いいじゃん、卒業しても着て歩いててもばれなくね？」

「ん～、そう言う問題じゃないんだなぁ。卒業した後制服着て歩いてるところを私の知り合いに見られたら『どうしたんだろう？留年したのかな』とか『なんでまだ制服着てるんだ？』ってなるじゃない？」

「いいじゃん、可愛いし。」

「えっ……あ………うん……う～ん」

真由は突然の「可愛い」発言に、頭の中が真っ白になってしまった。

「それにさぁ、スカートはそのままでも上を変えれば組み合わせなんて幾らでもあるからいいよねぇ。」

「そ・・・うだね（ちっ、スカートの方か！！）」

「とにかく俺は学ランなんて早く脱ぎたいね。詰襟の所に汗疹ができて痒いんだ、やってられんよ。ジャケットでネクタイ緩々にしてチャラつきたかったぜ！！」

「でもさ、竜ニ君。ブレザー着てても中身が変わらないと思うからチャラついたりしなかったと思うよ！（きゃー！言ってやったわ！人生で言ってみたかった言葉『ありのままの君が好き！』）
」

「ギクッ………おう………（キター……人生でなんとなく言われたくない言葉『だってお前じゃ無理だよ。だってお前じゃん』）」

生暖かい空気とヒンヤリした空気が混在する中、

「……もう教室入ろうぜ……」

「え？う、うん」

二人は宿敵（リア充）の巣窟に戻るのであった。