社会人が異世界人を拾いました

かぷか

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松編 ③

33 結び ①

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 逃げるように列車に乗り込みソルトの城を出た俺達は安全区域まで出ると一息ついた。

「あ~全然旅行気分になれなかった」

「申し訳ありません。とら様にはご紹介できませんでしたが他にも婚儀疑似体験施設や婚儀後の魔石探し体験、夫婦喧嘩の仲直り部屋などもありますがご案内すれば良かったでしょうか?」

「そういう意味じゃない」

 ある意味観光地化できそうな家だがあと数十年は行きたくない。
 コートを脱いで癖で携帯を探したけどそういえば俺もソルトも急いで乗り込んだから荷物は全部ひとまとめに別の両に入れてしまった。特にすることもないからお酒でも飲んでゆっくりする。

「そういえば、それ何?」

「わかりません。くまなく調べましたが盗聴系はないようです。開けてみます」

 箱を開けると何枚か布が折り重なってるように見えた。
 
「とら様、どうやら軽装の部屋着のようです。危険はなさそうです。お着替えは後ろに入れてしまいましたからこれを着て寛がれてはいかがですか?もしよろしければ汗もかきましたからついでにお風呂にいかれては。その間に飲み物の準備をいたします」

「じゃあ、そうする。ナグマ城着くまでのんびりしたい」

 この時俺は何でのんびりしたいなどと言ったのだろうと後に大いなる後悔するがこの時はまだ気がついていなかった。油断とはまさに安心してから起こるものだと身に染みた。

「畏まりました。ではゆっくり帰るように護衛に伝えておきます。私もとら様のお風呂が終わりましたらはいらせていただきます」

 この乗り物は風呂までついていて便利だなと思う。本当に携帯以外何でもあるなナグマは。バスタオル一枚で出てきた俺と入れ違いでソルトがお風呂に行く。

 さっきの箱に手を伸ばし服を広げた。二枚入っていたが二枚ともだよな。一枚はもう一枚の上に羽織るフード付きローブようなものでかなり長めで床に20センチぐらい丈が余る。これは俺の身長が足りないのか元々長めに作ってあるかわからない。もう一枚はさっきより薄手の肌着のようなこれも長めの衣装だがローブよりは短い。多分、透けるぐらい薄いから重ねて着るんだと思う。

高級そうな紐を通して腰の辺りで縛る。軽くて着心地の良い肌着。ローブを羽織って用意されてたお酒を飲んだ。
 
 ライムさんとソルベさんに作って貰った衣装の中にはこんなデザインの服は一つもなかったな。あのピンク部屋とはうって変わって落ち着いた感じの色の衣装だと思った。  

 お酒もそこそこにして吸い込まれるようにベッドに横たわった。いい感じにフードが光を遮ってくれてうつぶせになっていた俺はうとうとしかけていたがソルトが風呂から出てきたのかガタンという音がして目を覚ました。

 
 これでとりあえず実家とソルトの事は解決できたな。本当、世話のかかるやつだな

 後はフィグさんに報告とお願いして…

 そんなことを考えながら深いフードからシルエットだけ映るソルトを見ていた。

「なぁ、これナグマの民族衣装?めちゃくちゃ楽だし着心地いいかも」

 返事が返ってこないソルト。そういえばさっきから一言も喋ってない。

「ソルト?」

 俺はうつ伏せから横向きになった。目の前が暗くなり影が近づく。と思ったらソルトが覆い被さってきた。

「うわ、なんだよ」

「すごくお似合いです」

「これ着やすい」

「それは良かったです」

 フードで表情が良く見えないからとろうとしたらソルトが先に手を掛けフードをゆっくりとった。

「とら様、凄く綺麗です」

「何だよ綺麗って。まぁ、模様とか色とか綺麗だけど」

 俺の頰さわりうっとりとした赤ら顔で見ている。そして一向に俺の上から退こうとしない。

「お酒飲んだのか?」

「いいえ、」

 覆い被さったまま首筋の匂いを嗅ぐソルトにビクッとなる。

「……酔ってもないのにひっつくなよ」
「そうですか…でわ」

  ソルトはすたすたと机に戻り出してあったグラスにお酒を注ぎ一気にグラスの中身を飲み干した。飲み終えるとすぐにベッドに戻ってきた。また覆い被さるとするすると俺の太もも辺りから手が侵入してきた。

「ちょ、ちょと待てよ」

「はぃ」

「何だよ」

「酔いました」

 俺もソルトもお酒は同じぐらい強い。だから1杯を一気飲みしたところで気持ちがちょっと良くなる程度。それにこのお酒は飲みやすくアルコールも高くない気がする。いつも二人で飲むがこいつが酔ったところは見たことない。それに今みたいに一気に飲むことは絶対にない。

「そんな量じゃ酔わないだろ」

「はぃ、飲まないとまずいと思ったので」

「どういう意味んっ」

 俺はそのままソルトから無言のキスを初めてされた。軽く唇にキスをされた後もう一度キスをされた。いつもと違う。 

「な、なんだよいきなり」

「では、正直に言います。余りにも似合ってましてそのお姿が…」

「だからって」

「一瞬でも気を抜いたらまずいんです。ですから頭を冷やそうとお酒を」

「逆だろ、お酒で頭なんて冷えないだろ」

「いえ、今の私にはお酒が正気に戻れる水です」

「お前さっきから何いってんだよ」

「ですから、そのお姿はもう無理なんです」

「何が!」

「とら様、その衣装はうちの婚儀後の夜のお召し物なんです。先程、視界に入った瞬間私の頭のなかで何かが振り切れていまいまして」

 よく見るとこいつの目は俺しか見てない。なんなら頭がお花畑で目がハートになってるかのように見える。これは今までで一番ヤバイ気が!

「ま、まて。まずは落ち着け。深呼吸しろ」

「したいのですが…はぁ…はぁ…」

「許可は!許可!許可してないだろ!」

「許可なら前からとれてます。覚えていらっしゃらないんですか?ナグマに来てからずっとです。何があるかわかりませんのでいつでもさわれる許可を下さいと。解除もされていません。なので…」

「ちょ、それは、んっ」

 俺が触るなと言う前にキスをされた。

キスをされながら上着は脱がされ、下に着ていた服の紐を取られあっという間に服の隙間から地肌が半分見えた。内太ももをいやらしい手付きでさわり、微かに出る声もキスでか気消される。
 
ソルトは上半身裸の下はズボンでそこからはっきりわかるぐらい大きく勃っていた。俺の下着に手を入れ軽くモノを触ると今度は後ろの穴に指をいれた。

「あっソルト、する時は…俺が…」

「とら様…あちらにいた時に雑誌を見たのですが」

「っ…雑誌?っう」

「はぃ。そこには2種類の人種がいると書いてありました。SとMという風にわけるそうです。その中でも興味深かったのはSは至高のMであると書かれていました。Sを極めたものは究極のMになれるということです」

「はぁっ?」

「それに至ったものは最高の至福を手に入れれるそうです」

「っなにいって」

「とら様はSですが私は本当はとら様は至高のMだと思っています」

「っっつ!いいから、やめ…っつ」

「それと今まで知らなかったのですが情事での艶言の『嫌』や『やめて』というのは『良い』という意味も含まれていまして辞めてはいけなかったのです。ですから、とら様のやめてはやめろではなかったのですね。すみません勉強不足でした」

「まじで、なに言って。あぁっ」

「とはいえ、本当に嫌かどうかはとら様を見てきた私には容易いのでとら様…安心してください」

「ふざけんな!っっ!待て、こんな所で興奮するな!」

「ふふふ」

 ソルトから逃れようとしたがここは乗り物の中。外にも出れずソルトが自分の目の前まで迫っている。興奮しきったソルトは松の姿に完全に針がふりきれてしまった。いつもの暴走ソルトを遥かに凌駕した姿。松の服をするする徐々に脱がしてゆく。

 松ははだけた服の胸元を押さえる。

「や、待て!」

「ふふふ」

「返事しろよ!」

 なんとかならないかと知恵を振り絞った。

「そ、ソルト、首輪!な、ないだろ?」

 あっ!とした表情をしてソルトは机に置いてある首輪を持つと自分で付ける。松はその間に何とかならないかと這うようにベッドの端に逃げた。

「とら様」

 逃げたのが見つかると笑顔でソルトは松の足首を持つ。思わずベッドと同じ高さにあるカーテンを握るが半分めくれただけでズルズルと真ん中に戻された。紐を握るように渡された松は一応握るが引き寄せるべきなのか遠ざけるべきかわからなかった。

たらりと自分と松の股の間に繋がる紐がはだけた服とミスマッチで興奮するソルト。

 真っ直ぐ松を見つめ完全にスイッチが入ったソルトははぁはぁと息をした。そんな顔に松は最後の抵抗をした。

「せめてどっちがどっちって選ぶ権利無いのかよ!」

「??」

「抱くか抱かれるかだ!」

「どちらでもいいんですが最終的に一緒ですよ?」

「は?」

「とら様お気づきでないのですか?」

「なにが」

 とら様に調教してもらいたいと願う人は少なくないです。とら様は常に凛としていてナグマで襟を緩めることはないです。

その聡明なお姿が色気を際立たせてしまい魅力的だと思う人もいます。私もそうです。
現にとら様に叱られようとわざとらしく近づく輩はおりましたし、それを私が全て排除してきたんです。

 このお姿を見れば誰しもとら様に調教されたいと願うはずですが皆さんはわかっていない。これは伴侶である私だからわかること。

「太股も綺麗に見えてますよ」

 慌てて隠しても同じですよとら様。

 あちらの世界へ行ってから確信しました。とら様は気を許したものにしか見せないあるがおありなのです。

 お口でのご奉仕やお互いのぬき合いをしている時に最後までとら様の精液を出させるのですがその時のお顔がとてつもなく可愛いのです。あ、そうではなく抱く立場で後孔に指を挿入すれば普通なら怒ってしまうのですがとら様は嫌だといいつつもすごく良い顔をされて達するのでついついしてしまっていました。そして、何度かする内に気がついたのですが私の鎖骨を甘咬みするんです。自覚がないようですがとら様は気持ち良いとご自分の指など甘咬みする癖があるのです。つまりそれは後でされて気持ちいいという合図です。
 とら様は私を抱きたかったようですがそれでも構わないのですが最終的には私が抱きますから同じなんです。そしていつか来る日の為にとら様の後孔をあらかじめ受け入れれるように慣らしてたのは…内緒です。

「とら様が思っている以上にとら様は可愛いのです」

「意味わかんねぇ!」
 
「それととら様、一つお詫びしなければならない事があります」

「な、んだよ」

「実はとら様に一度煽られた時なんですが本当は抱いてないんです」

「え?」

「少し入れたんですけどどうしてもあの状態のとら様を抱きたくなくてすぐ抜いて指でいかせたんです。ですからとら様をあの時抱いてません。あの時は本当に好きになられた方と幸せな時にした方がいいと思ってましたのでできませんでした。今まで黙っていてすみません」

 結局ソルトはどこまでも松の幸せを考えていて優しかった。

「っ…」

「とら様?」

「…良かった…」

「そうですか。やっぱり思い止まって良かったです。では今日もやめますね。涙が滲んでますから別の日にしましょう」

「うっ…ソルト…」

 涙を口づけで拭うソルト。
 松はソルトの体から抱きついて離れないでいた。 
 そして顔を胸に埋め「幸せ」と言った。

 
「とら様……もしかして、よろしいのですか?」

 こくり。

 ついに抱いていい許可がおりた。
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