社会人が異世界人を拾いました

かぷか

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松編 ③

17 松 ⑥ 

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 俺はある決断のため伊可神社に来ていた。普段から何か有ることに俺はこの神社に来てはおみくじを引いて帰る。きっかけは河口君とのお正月で訪れて見たことの無いおみくじを見たからだ。俺もいつか引いてみたいと思った。


 引くおみくじは末吉。微妙。

『 賭けごと  負ける
  縁談    さほどうまくいかず
  アドバイス 傍若無人になるべからず
  落とし物  見つからず       』


 だめだ、読めば読むほど嫌になる。おみくじをくくりつけた。部屋に帰り瓶を手にした。

「あ゛~ソルトめ」

 声に出したくなるほど気持ちが押さえれなかった。いや、もう半ばやけくそだった。

 意を決してナグマへ行く。

 部屋にいたソルトは相変わらずで俺の急な訪問にもすぐに対処した。河口君が気を利かせた休みがまだ有効なのかなと思った。

 何度も考えた

 何度も部屋に足を運んだ

 結果わからなかった

 それでも俺はナグマにきて一世一代の告白をしにきていた。

「フィグさん、河口君、お話が」

 松が神妙な顔で一人部屋に入って来たため二人は何かあったかと思いソファーに掛けてもらった。普段は側近のソルトを横に連れているが今は廊下に待たせていると言う松に二人は顔を見合わせると向かいに座り松の話に耳を傾けた。

「フィグさん婚姻をしてなくても婚姻に近い関係は認められますか?」

「口づけをしないのであれば可能だが。口づけを含むなら難しい。それは婚姻しているが別々に住むと言う事か?」

「どちらかと言うと婚姻の儀式をしてなくても一緒に住むの方が近いです。これは心情の問題です」

「つまり、婚姻の儀をしてなくても伴侶と言えるかどうかという事なら答えは無しだ。認められない」

「そうですか」

「ナグマでは口づけを交わしたものは伴侶と決まっている。儀式前にしたとしてもその後婚姻は儀式と共に必ずする。口づけを許されるのは生涯ただ一人だけだ」

「生涯一人か…」

「え、なら浮気とか不倫とかしたらどうなんの?」

「犯罪であり大罪」

「そしたらフィグのお父さんは?」

「犯罪者で指名手配中だ」

「あはは…」

「松君さん、そういう関係なら婚姻でもいいのではないのか?」

「そうなんですが俺にとって婚姻というのがどうしても縛られて自分を追い込んでしまうんです」

 フィグは婚姻しないが婚姻と全く変わらない事ができるかと問う松に悩んだ。元々自分も掟破りだしやまととの婚姻も異例だった。ただ、自分は伴侶として迎える前提(フィグの中では決まっていた)だが松の意見だとナグマの秩序が揺るぎかねない。かといって松がここに来た理由はそれなりの覚悟があるから来たわけで悩んだ挙げ句条件を出すことにした。

「認められないが…」

コンコン

「王、失礼します」

「クラム、少し時間がかかるから引き続き頼む」

「かしこまりました」

 バタン。
 
「松君、本当にいいの?」

「んーわからない。けど、これしか俺には方法が見つからなくて。結果はこれからになるから良かったか悪かったかはその時に決めるよ」

「俺なら無理かも」

「ソルトは知ってるのか?」

「今から伝えに行きます、もしソルトに少しでも別の人と歩む可能性があるなら俺はソルトの部屋の行き来はやめます。今回それを確かめに来ました」

「松君……」

「河口君そんな顔しないで。俺はもう決めたから」
 
 バタンと扉が閉まった。

 フィグに出された条件は

『 この条例は異世界人のみの適応とする。婚姻に関して以下の条件が守れる者のみ口づけを含む儀式をせずとも伴侶として向かいいれることが可能である。

  一、複数人との交際は認められない
  一、その者を生涯伴侶と変わらず大事にする
  一、ナグマでは正式に向かいいれるまでは二人の婚姻を公に公表をしない
  
     以上が守れるならその関係を認める』


「フィグ、どうなるんだろう」

「大丈夫だ。松君さんは堅実で正直な人だから今一度確かめにいったんだろう」

「うん」

「心配ない。松君さんは自分の気持ちを確かめにいっただけだ」

「でも、上手く行かなかったら行き来しないって」

「やまと、ナグマの男は一度婚姻したいと心に決めた相手を諦めることはない。それはソルトも同じ」

「なら、俺がフィグのプロポーズを断ってたらどーなってた?」

「受けるまで帰らせる気はなかった」

「おい!俺、ナグマで監禁されるところだったのかよ!」

「受けたらから問題ない」

「あるわ!」

「監禁はいないがもし俺がやまとに断られたとしたら俺はおそらく一生婚姻はしなかっただろうな。それぐらいナグマの男は好きになると最後まで想い続ける」

「そっか、」

「やまと、松君さんはナグマの男のようだな」

「??」

 松は部屋を出てく時にこう言って出ていった。今後ソルトと共にお世話になると思いますので宜しくお願いしますと頭を下げてでていった。

 本来ならソルトからの返事がわかってから自分達に報告に来るとはずが先に話しに来たのは確信があったから。でなければ最後の挨拶はない。ソルトの気持ちを聞かずとも自分はこれから起こる結果を知ってるからあえてにいいに来たのだった。
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