ドルメンの館

かぷか

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スワロフという男

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 昨日は抱かれてしまった事より急に部屋を出ていったスワロフの方が気になった。あの後一人残された仁緒はスワロフの部屋を出て部屋に戻った。

 急に態度が変わり冷たくなったり喜んだりするスワロフがわからなかった。愛人にしてやるとか相思相愛とか。部屋にいるとつい考えてしまうので庭へ行くことにした。

 相変わらず館の外にはでれないが広い庭には沢山の花が咲いていて心を癒し良い気分転換になった。

悪魔の館にしては綺麗な花ばかりで手入れもしてあるし噴水まである。

「いつ帰れるんだろ…」

「帰れませんよ」

ぎょっとして振り向くとモノゴがいた。

「えっと…モノゴさん」

「特別にモノでいいですよ、主印の方ですし」

「モノさん…俺は、付けられてない」

「そうですか。それよりそんなに帰りたいですか?」

「帰りたい」

「スワロフ様は貴方を歓迎してますよ。勿論我々もです」

「どこがですか!」

「種族が違うんですから歓迎の仕方も違いますよ。視野が狭いんですね」

「死にかけたんです!監禁されたんです!犯された!犯罪ですよ!」

「どう、捉えられていただいても構いませんが貴方は生きてますし、我々は歓迎しています。帰ると言うのはもう少し考えてからの方が良いかと思います」

「どういう意味ですか」

「スワロフ様は悪い人ではないです」

 モノゴはそう言うとどっかに消えてしまった。噴水の近くにあるベンチに腰かけ流れる水を見ながら考えていた。

 歓迎のレベルが違いすぎる。
 俺には全然歓迎になってない。

 はぁ~いい加減ここから出れないから生活する事考えた方がいいのかな。

考えていたらいつの間にか視線を感じた。噴水の後ろから何かがじっとこちらを見つめて光る。目を凝らしてみるとゆっくりと姿を現した。

「ひぃ!!」

 思わずベンチの上に上がった。
 
 忘れもしない、仁緒を噛みちぎろうとした大きな犬だ。2mはあるだろうか。紺色と黒色の混じる毛の犬はこちらに近づいていた。

逃げようと思ったがあんな大きな犬に勝てる訳もない。ジリジリと汗がでるが身動きしない方が得策と考えた。ベンチの上で直立不動になると犬がベンチに前足をかけ仁緒を見た。

「ごめん~」

 どこから声がしたがわからない。

「ねぇってば、ごめん」

 声の近くには犬しかいない。

「もしかして、しゃべった?」

「そうだけど」

 犬が、犬がしゃべった!

 普通なら感動とか嬉しくなるかもだけど俺には全然嬉しくない!

「怖いんですけど」

「いいよ、これ以上近づかないし。スワロフ様にも言われてるから」

「そうですか…た、確かディーだよね?」

「そう!」

 スワロフに言われていた、ディーを怒らないでやってくれと。命令がうまく伝わってなかったとも言っていたのを思い出した。

「前は何て言われたの?」

「逃げたら離すなって」

 そうか、俺が逃げようと思ってやったのか…離すなと言われれば確かに犬なら離さない。

「今回は?」

「守れって」

 全然違う命令になっている。そもそも守られるような危険な場所なんだろうか…

「そっか、怒ってないよ。ちょっとまだ全然怖いだけ」

「そっか、良かった」

 ディーはベンチから足を下ろし地べたに座った。仁緒はそろりとベンチから降りて座り直した。まだ、怖いけどスワロフがどんな人物か聞くいい機会だと思った。

「スワロフさん…どんな人?」

「優しいよ、ご飯くれる。おやつも。後は強いよ~」

「そっか」

 収穫のない答えだった。

「後は?」

「うーん、客人と戦ってる」

 客人と戦うってなんだ。名前はよくでるがわからないな。

「客人って?」

「客人は客人だよ」

 あまりディーに詳しい話しは聞けなかった。今日はこの当たりで戻って今後の生活をどうするか考えようかと思い部屋に向かった。

 部屋に向かうもディーがずっとついてくる。監視も兼ねているように見えた。付かず離れずで部屋まできた。部屋の中まで一緒に入るとご丁寧にドアまで閉めた。

「ニオといろって言われてるから」

「そう」

 ドアを開けたらまた噛まれるのではと思い部屋から一歩も出れなかった。

 部屋の棚には見たこともない古めかしい本が並んでいた。一冊手に取るも全くわからない文字が書いてあった。たまに模様のような挿し絵が入っていたり数字が羅列していたり別のページには不規則に書かれていたりと理解できなかった。

 わからないが見てるだけでも時間は潰れるのでその本をゆっくり眺めていた。

「時間を潰すにも苦労しそうだな」

そんな愚痴が出始めるとドアをノックされた。返事をすると今度はオクタが部屋に入ってきた。

 がさつで言葉使いの荒いイメージだがノックをして返事を待ってから入って来たのは意外だった。

「オクタさん…」

「飯だ。好きなだけ食え」

「ありがとうございます」

 オクタは仁緒の顔を見て顎に手を当てながら話してきた。

「全く、名前を俺に教えりゃ良かったものを。モノにしなかっただけでも十分か」

「何か違うんですか?」

「そりゃそうだろ、自分の物かそうじゃないかじゃ全然違う」

「オクタさんに知られていたらどうなってましたか?」

「そりゃ~祝いの歓迎をしてすぐに主印付けて部屋に閉じ込める。他の奴には見せねぇよ。箱に閉じ込めておくのも悪くないな」

箱に閉じ込める……

「……じゃあ、モノさんだったら?」

「あ?モノ?あいつと話したのか?」

「あ、はい」

「あいつめ~おい!俺をオクタって呼べわかったな!」

「わかりました」

「あ~で、何だ?モノなら吊るすんじゃね?飾ったりするの好きだから。あいつの歓迎は趣味悪いからな」

吊るす……

「そ、そうですか」

「まぁ、スワロフ様だから言うことねぇが良かったな」

全然良くない。どれも。
歓迎の仕方が何かよくわからないが怖すぎる。

オクタはご飯を食べ終わったらスワロフの所に行けと言って出ていった。  
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