ドルメンの館

かぷか

文字の大きさ
15 / 24
スワロフという男

5

しおりを挟む
 スワロフの部屋の前に着きノックをした。返事が返ってきたので中へ入る。押し倒された時とは違い落ち着いていて椅子に座りながら本を読んでいた。本を閉じると立ち上がり仁緒の前に来て手をとりテーブルと椅子のある場所まで誘導した。

 お茶を入れるから座ってと言われたが全然飲みたくない。綺麗なティーカップに注がれるのをぼーっと見ていた。

「ディーとは仲良くできそう?」

 まだ全然怖いけど。噛み殺されそうになった相手にそうそう心は開けない。トラウマものだ。

「まだ、少し怖いです」

「いい子だから、嫌わないで」

「はい…」

 少し話をしようと言ってこの館について話してくれた。代々悪魔が受け継がれてきたこの館は家主が入れ替わる仕組みになっているらしい。

 スワロフも初めから住んでいる訳ではなく前の人から譲り受け契約して住んでいる。自分も次の人に譲り渡すまではこの家の主だといっていた。

ちなみに契約の破棄は知っているが教えられないから聞いても無駄だと先に釘を刺された。

「スワロフさんは数百年もの間ここに住んでるんですね」

「そうだよ」

「悪魔は何をするんですか?」

「うーん、一番はこの館の維持で後は買い出しとか。主印の子の相手とか」

「買い出しって近くに店があるんですか!」

「あるよ、でもニオにはまだちょっと危ないからそのうちね。準備が整ってから」

てことは、助け求められるじゃん!
これを聞いた俺は新たな目標ができた。街まで行き助けを求めたら家に帰る!やる気がでてきた。

 でも、待てよ

「家から出れないんじゃ?」

「まぁ、そうなんだけど。俺といれば出れるよ」

「なら、」

「そんな単純じゃないんだよ。契約ってやつは」

 よくわからないが結局は駄目って事か… 
 店がある事がわかっただけでもよしとするか

「主印の子達って何人かいるんですか?」

「いるよ~どの子も可愛くて」

 いわゆるハーレムってやつですか。なら、俺は辞退させていただきたい。そんなにいるならそれで補えばいいし。
 良くある初物が好きだっていうやつかね。だとしたらそんな扱いされたくない。一緒に住むだけでいいって言ったのはこいつだ。

「ならその子達に相手してもらえばいいじゃないですか」

「うーん、別にそれでもいいんだけど」

 なんてやつ……

「ニオは一人しかいないから」

「……。」

 そうだけど、他の奴も一人しかいないんじゃないのか?俺だけってことはない。

「ねぇ、俺もオクタみたいに呼びすてで呼んでよ」

「いいなら、いいですけど」

「呼んで」

「す、スワロフ」

「ニオ~!これで相思相愛か?」

「違います、呼び出したのは館の話ですか?」

 何を言ってるんだこいつは。呼び捨てにしただけでそんな風にならないし、俺は好きにはならない。

「これだけど」

「は?」

「呼び捨てにしてほしくて」

「もう!何なんですか!部屋に帰ります!」

バタンとドアを締め仁緒は出ていった。
何故でていったかわからないスワロフ。

「モノ、オクタ」

「「はい」」

「どうしたらニオは俺に惚れる」

 唐突な質問だが二人には納得できる質問だった。

「呪文が効かないですからね。さっさと主印でやればいいんじゃないですか?」

「同感だ。やっちまえばいいだろ?」

「ニオにこれ以上嫌われたくない。主印は付けられたくないと言ってたから知られたくない。俺に死んで欲しくないと言ったから相思相愛だと思ったが違うみたいだ。愛人にしてやると言ったら断られたし普通に抱いたら泣いて嫌がられた」

「「……。」」

「いつもの事じゃないですか。ですが、呪文が効かないのはやっかいですね。何故ですかね」

「わからん」

「「……。」」


「わかってる!!笑えばいいだろ!!」

「「ハハハハハ!」」

「笑うな!!」

「笑えばいいとおっしゃったのはスワロフ様ですよ」
「しかし、純愛とは信じがたいがスワロフ様の呪文が使えないのはそれしかないな」

「良い方法はないか、相思相愛になりたい」

「感情を素直に伝えたらいいんじゃないですか?」
「俺もそう思う。まどろっこしいのは良くねぇな」

「確かに」

「で、その本は役にたちますか?」

「今回は全てハズレだ。次は違う本を試す」

 二人はスワロフが恋愛本を一生懸命読んでいる事を知っている。それほど上手くいきたいのだなと思う反面、恋愛本ほど当てにならない物は無いと知っていた。それを教えなかったのは悪魔だからとしか言いようがない。


「ニオ~!」

「何」

「ニオ、俺はニオが好きだ」

「そうですか、俺は別に好きじゃないです」

全然、二人のアドバイスがいかない
やはり、本の方がいいか

また一冊、恋愛本が増えるスワロフの棚だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

処理中です...