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執着心 前編
4話
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満緒に案内され、本堂の裏にある母屋の廊下へ腰を降ろした。
こっちの家屋が生活拠点らしい。
目の前に建つ本堂が大きいため、住まいの方がこじんまりと感じるが、古式ゆかしい日本住宅で風情がある。適度な光も差し込んでおり薄暗さはないため、古い木造家屋にありがちな湿った雰囲気も一切しない。
昼寝をするのに適度な気温と、気持ちの良い風のせいで思わず欠伸が出てしまう。
それを見た、満緒がお茶を出しながらクスリと笑う。
「あ、これは失礼しました」
俺は慌てて居ずまいを正す。
「いえいえ、どうぞのんびりしてください。お祓い屋っていうくらいだから陰陽師みたいな人を想像してたんですけど、普通の格好なんですね」
「ええ、まぁ。というか、陰陽師の恰好で道を歩いてたら職務質問されますよ」
「あははははっ」
満緒が面白そうに笑うので、俺も笑みを返す。
「満緒さんこそ、寺の小僧だとお聞きしていたんですがスウェットを着て髪を染めて、ちょっとイメージが違いますね」
「ああ。今時坊主なんてはやらないっしょ。ハゲはモテないですし」
「はぁ」
「俺はここの住職の息子なんで寺の仕事も手伝ってますけど、本当は東京とかに出てキャバクラとかに通いたいです」
バカ正直な奴だが、意外とこの手のタイプは嫌いじゃない。
年は俺のちょっと下、24歳だったはずだ。遊びたい年頃なのは理解できる。時々口調がくだけてしまうのが気になるが、本人に悪気はないようだ。俺が大人の対応を取ればいいことだ。
「それじゃあ満緒さん、早速依頼の話に移りたいんですが、動物の霊を供養してほしいってことでしたね」
「ええ。実は最近飼ってたペットが亡くなって、そいつが今でも俺の周りに出てくるんですよ」
俺はさっき本堂で見かけた丸っこい生き物を思い出す。
「もしかして狸かな?」
「――え?」
満緒は驚いたように目を見開き言葉に詰まる。けれど、すぐに尊敬したような表情で俺を見る。
「やべっ、俺ちょっと疑ってたんです。お祓い屋なんて職業、怪しすぎだし。変な布団とか売りつけられるんじゃないかって警戒してて。ネットで検索した時にお宅のHPが上位にあったので、恐る恐る頼んでみたんですけど。初回料金も安かったら騙されてもいっか、って」
馬鹿め、ネット対策にいくらの金をつぎ込んでいると思ってるんだ。
わざわざSEOに強い企業にHP作成を依頼し、あちこちの掲示板でサクラの書き込みも行っている。初回料金を安くしているのはその後でがっつりいただくための作戦だ。
まんまとひっかかりやがって。
こっちの家屋が生活拠点らしい。
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昼寝をするのに適度な気温と、気持ちの良い風のせいで思わず欠伸が出てしまう。
それを見た、満緒がお茶を出しながらクスリと笑う。
「あ、これは失礼しました」
俺は慌てて居ずまいを正す。
「いえいえ、どうぞのんびりしてください。お祓い屋っていうくらいだから陰陽師みたいな人を想像してたんですけど、普通の格好なんですね」
「ええ、まぁ。というか、陰陽師の恰好で道を歩いてたら職務質問されますよ」
「あははははっ」
満緒が面白そうに笑うので、俺も笑みを返す。
「満緒さんこそ、寺の小僧だとお聞きしていたんですがスウェットを着て髪を染めて、ちょっとイメージが違いますね」
「ああ。今時坊主なんてはやらないっしょ。ハゲはモテないですし」
「はぁ」
「俺はここの住職の息子なんで寺の仕事も手伝ってますけど、本当は東京とかに出てキャバクラとかに通いたいです」
バカ正直な奴だが、意外とこの手のタイプは嫌いじゃない。
年は俺のちょっと下、24歳だったはずだ。遊びたい年頃なのは理解できる。時々口調がくだけてしまうのが気になるが、本人に悪気はないようだ。俺が大人の対応を取ればいいことだ。
「それじゃあ満緒さん、早速依頼の話に移りたいんですが、動物の霊を供養してほしいってことでしたね」
「ええ。実は最近飼ってたペットが亡くなって、そいつが今でも俺の周りに出てくるんですよ」
俺はさっき本堂で見かけた丸っこい生き物を思い出す。
「もしかして狸かな?」
「――え?」
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