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消えた妹 後編
12話
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天堂家の家で里佳子の霊を目にしたことで、俺は最悪の事態を想定していた。
里佳子の霊は一志の部屋で見た家族写真の頃の姿だったため、すぐに本人だと分かった。小学生くらいの幼い姿をした少女の霊、一志の話を加味して考えてみるに、あまりいい意味を持たないように思えた。
しかし、実際に都筑の家に行き、彼と会話をするうちにもっと別の疑念が過ってきたのだ。
本当に里佳子を誘拐したのは都筑なのかと。
そもそも初めは一志の話を鵜呑みにし、都筑を犯人扱いしていたため、彼が数カ月出張に出かけると聞き、彼女はもう死んでいると判断した。
しかし、よくよく考えればそうそう殺人事件なんて起こるはずがない。
最近、物騒な事件に遭遇する確率が高かったため、ついついミステリー小説のような展開を想像してしまったのだ。
普通に考えれば家出の可能性が高いだろうし、事故に遭った可能性もある。もし誘拐だとしても、都筑以外の誰かが関わっている可能性だってある。
その誰かとは一体……そう考えていくうちに一志の里佳子に対する異常な愛情を知ったところで、俺の考えがひとつに収束していったのだ。
思い過ごしの確率が高いが、もしかしたら里佳子は一志が監禁しているのではないだろうかと。
おそらく里佳子と都筑の間には淡い恋愛感情があったはずだ。
里佳子の一方的な片思いということも考えられるが、少なくとも都筑も里佳子に対して同情的だった。
里佳子が自分の側から離れていく、あれだけ妹に対し愛情を持つ男、想像を超えた不安に包まれただろう。
「私に依頼をしてきたのは、警察が動き出した時のための心象づくりですか?」
「どういう意味です?」
「警察に頼んでもだめ、探偵に頼んでもだめ。必死になった兄はとうとう怪しいお祓い屋にまで妹の捜索願いを出した。誰が聞いても気の毒な兄そのものです。そんな人が妹を監禁しているなんて思いもよりませんよね」
「何を言ってるんです」
一志は小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
俺は相手の態度を気にも留めず、自分の推理を話し続ける。
「家の中で犬を放し飼いにしているのも、外からの侵入者を防ぐためではなく、中から外へ出ようとする人間を捕まえるためのものでしょう」
「バカなことを言わないでください。あなたおかしいですよ」
そう、俺はおかしいのかもしれない。
全て俺の憶測だ。何か確証があるわけでもなし、下手をすれば相手の機嫌を損ね今回の報酬を取り損ねる可能性もあった。
だが、このままでは里佳子があまりにも可哀そうだ。
実の兄に一方的な愛情を向けられ、自由に外へ飛び立つこともできない。本当に大好きな相手の側へ行くことができないのだ。
俺の勝手な想像かもしれないが、一刻も早く里佳子をこの卑劣な兄の側から切り離し、都筑の元へ向かわせる責任があると感じていた。
「私がおかしいかどうかは警察が判断するでしょう」
「どういう意味です?」
「さっき嘘の通報をしておいたんです。家の中で女の悲鳴が聞こえたと。今頃警察があの家を調べているんじゃないでしょうか」
「椿さ……あなた何てことを!」
一志は真っ青な顔をして俺に向き直った。
「俺の考えが間違えかどうかは警察が証明してくれます。違っていたらどうぞ俺を訴えてください。金欠なんで裁判で負けたとしても微々たる金しか払えないですけど」
俺はできるだけ平静を装いながら、相手の出方を待った。
万が一俺に飛び掛かって来たなら、すぐさま外に飛び出そう。
そう思って、ドアノブにグッと力を入れた時、一志が深く背もたれに沈み込んだ。
里佳子の霊は一志の部屋で見た家族写真の頃の姿だったため、すぐに本人だと分かった。小学生くらいの幼い姿をした少女の霊、一志の話を加味して考えてみるに、あまりいい意味を持たないように思えた。
しかし、実際に都筑の家に行き、彼と会話をするうちにもっと別の疑念が過ってきたのだ。
本当に里佳子を誘拐したのは都筑なのかと。
そもそも初めは一志の話を鵜呑みにし、都筑を犯人扱いしていたため、彼が数カ月出張に出かけると聞き、彼女はもう死んでいると判断した。
しかし、よくよく考えればそうそう殺人事件なんて起こるはずがない。
最近、物騒な事件に遭遇する確率が高かったため、ついついミステリー小説のような展開を想像してしまったのだ。
普通に考えれば家出の可能性が高いだろうし、事故に遭った可能性もある。もし誘拐だとしても、都筑以外の誰かが関わっている可能性だってある。
その誰かとは一体……そう考えていくうちに一志の里佳子に対する異常な愛情を知ったところで、俺の考えがひとつに収束していったのだ。
思い過ごしの確率が高いが、もしかしたら里佳子は一志が監禁しているのではないだろうかと。
おそらく里佳子と都筑の間には淡い恋愛感情があったはずだ。
里佳子の一方的な片思いということも考えられるが、少なくとも都筑も里佳子に対して同情的だった。
里佳子が自分の側から離れていく、あれだけ妹に対し愛情を持つ男、想像を超えた不安に包まれただろう。
「私に依頼をしてきたのは、警察が動き出した時のための心象づくりですか?」
「どういう意味です?」
「警察に頼んでもだめ、探偵に頼んでもだめ。必死になった兄はとうとう怪しいお祓い屋にまで妹の捜索願いを出した。誰が聞いても気の毒な兄そのものです。そんな人が妹を監禁しているなんて思いもよりませんよね」
「何を言ってるんです」
一志は小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
俺は相手の態度を気にも留めず、自分の推理を話し続ける。
「家の中で犬を放し飼いにしているのも、外からの侵入者を防ぐためではなく、中から外へ出ようとする人間を捕まえるためのものでしょう」
「バカなことを言わないでください。あなたおかしいですよ」
そう、俺はおかしいのかもしれない。
全て俺の憶測だ。何か確証があるわけでもなし、下手をすれば相手の機嫌を損ね今回の報酬を取り損ねる可能性もあった。
だが、このままでは里佳子があまりにも可哀そうだ。
実の兄に一方的な愛情を向けられ、自由に外へ飛び立つこともできない。本当に大好きな相手の側へ行くことができないのだ。
俺の勝手な想像かもしれないが、一刻も早く里佳子をこの卑劣な兄の側から切り離し、都筑の元へ向かわせる責任があると感じていた。
「私がおかしいかどうかは警察が判断するでしょう」
「どういう意味です?」
「さっき嘘の通報をしておいたんです。家の中で女の悲鳴が聞こえたと。今頃警察があの家を調べているんじゃないでしょうか」
「椿さ……あなた何てことを!」
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「俺の考えが間違えかどうかは警察が証明してくれます。違っていたらどうぞ俺を訴えてください。金欠なんで裁判で負けたとしても微々たる金しか払えないですけど」
俺はできるだけ平静を装いながら、相手の出方を待った。
万が一俺に飛び掛かって来たなら、すぐさま外に飛び出そう。
そう思って、ドアノブにグッと力を入れた時、一志が深く背もたれに沈み込んだ。
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