モデルファミリー <完結済み>

MARU助

文字の大きさ
67 / 146
裏モデルファミリー

65話:裏モデルファミリー

しおりを挟む
 世良田一家の誰もが誠と連絡する方法を思いつかないでいるのに、つかさにだけはそれができるという。
 一家は訝しげな表情で目配せをした。

 つかさはもう一度、目で世良田一家に「どうする?」と問うた。

「どうするって……どういう事だ?」

 半ば半信半疑の元樹が、困惑した表情でつかさを見る。

 その視線を知ってから知らずか、どこか余裕を持った動きで立ち上がったつかさは、持ってきていたリュックサックの中から小型のノートパソコンを取り出し、画面を立ち上げる。
 遠目からその様子を伺っていた美園だが、何かの可能性を感じてつかさの元に歩み寄り、後ろから画面を覗き込んだ。

 それに同調するように栄子も走りよってきて後ろに並び、勇治もそれにならう。
 元樹だけは黙ってつかさの前に腰を降ろし、事の顛末を見守っていた。ケンジとタキは静かに湯飲みを置き、目を瞑った。

 カチャカチャ、とキーボードを叩く音。
 しばらくすると一つの画面が表示される。
 真っ黒な画面の中に浮かんだ歪な書体の赤文字。
 美園は眉根を寄せてその言葉を読む。

「裏……モデル…ファミリー?」

 嫌な予感がした。
 勇治も横でごくりと唾を飲み込む。

「これはある人物がネット上で公開している日記だ。タイトルが【裏・モデルファミリー】。内容はだいたい想像つくだろ?」

 つかさは一度だけ美園たちを振り返って、画面に目を戻す。
 そして彼の指がつぅ~、とポインタを下へ移動させると、日記と写真が現れた。

 そこには何かを見て微笑んでいる勇治の顔、わりと男前に映っている。
 そして2枚目の写真。勇治は千秋の頭を触って、鼻の下を伸ばしてにやついている。

 日記の文章はこうだ。

《勇治は千秋ちゃんとのままごと遊びにご満悦。ごっこ遊びの中で2人は一緒にお風呂に入って体を洗いっこしている。勇治の目つきがどんどん厭らしくなる》

 ――――――。

 はい、アウト。
 美園は心の中で十字を切った。すでに勇治は白目を向いて昇天している。

「な、何なのこの日記は。一体誰がこんな……」

 そう言いかけて、栄子の視線が画面に釘付けになる。
 次の日記は元樹が主役だった。ネクタイをはちまきのように頭に巻きつけてピースサイン。これも何やら嫌な予感がする。
 栄子の妙な間に気づいたのだろう、元樹は慌てて立ち上がって画面を覗き込み、

「こ、これは違う。な、なんだってこんな写真が」

 と、画面を閉じようとするが、恐ろしいほどの力で栄子に腕を押さえつけられる。

 2枚目の写真。元樹がはきちれんばかりの胸をしたキャバ嬢らしき女の子の膝枕で爆睡中。
 3枚目、同じくさっきの女の子のおっぱいの隙間に人差し指をチョン、でピースサイン。

 空気が凍り付く。
 元樹がリンリンちゃんとかいうキャバ嬢に夢中だとは知っていたが、まさかこんなに若い娘だとは家族の誰も想像していなかった。

「不潔」

 一切元樹に顔を向けず、美園は呟いた。
 元樹も一切画面から目を離さず、その言葉を神妙に受け止めた。
 これほどまでに確信をついた一撃は久しぶりだ。どう見ても不潔だ。いや、変態だ。
 あの親にしてこの子あり、と証明された元樹と勇治を脇にのけ、美園たちは残りの日記に目を通していった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...