103 / 146
近づく二人の距離
101話:美園との未来
しおりを挟む
美園はソファーに深く腰掛け、向かいに座るつかさに対し、胸のうちを話し始めた。
「誠にもしものことがあったらあたしたちどうなっちゃうんだろ、ってそのことばっかり心配している」
「どうって?」
「モデルファミリーのお金が入ったら解散ってのは規定路線だったはずなんだけど、今になって家族がバラバラになった時のこと考えると不安で仕方ない」
「余計な口挟むようだけど、もうモデルファミリーは無理だと思うぞ」
美園はちらりとつかさに視線を向け、ため息をつく。
「分かってるわよ。だけど、あたしたちがこのまま来年も家族を続けてると思う? これだけ世間に悪評が広まっちゃってるのに」
「それは俺の親父が煽った部分もある。悪い、謝る」
「もういいわよ、ママの言う通り偽装がばれるのは時間の問題だったのよ。時期がちょっと早まっただけ。誠を取り戻した後、私たちは解散よ。それを考えると哀しくなる」
美園は正直に本音を話す。自分を取り繕うこともしんどくなっていた。
誠を取り戻し日本へ帰国した後、一家はそれぞれの道を歩むことになる。
7億円も手にできず、無駄にダメージを負った状態で、世間から後ろ指をさされながら一家は離散する。
分かっていたことだが、いざその時期が近づいているとなると妙に寂しく感じるのはなぜだろうか。
日本から遠く離れたユグドリアに来たせいで、いい知れぬ寂しさに襲われ、本音という名の弱音が出る。
「私、1人ぼっちになっちゃうな」
無意識にそう呟いていた。
誰に言ったつもりでもないが、目の端でつかさがぴくんと反応したのが分かった。
重い沈黙の後、つかさがボソボソッと何かを言ったが、聞き取れなかった。
「なんて言ったの?」
「だから、俺が******」
また、後半が尻すぼみになって聞き取れない。
「だから聞こえない、って。こんな近い距離で何なのよ」
美園が呆れてため息をつくと「あ~!!」いう苛立たしげな呻き声を上げたつかさは、半ば自棄になったように大声で吠える。
「だ・か・ら! 心配しなくても、俺がずっと傍にいてやるよ!」
「――え?」
思わず顔を上げたその先、真正面からこっちを見つめるつかさの視線とかち合った。
とても冗談とは思えないほど真面目な表情をしている。
「おい、聞こえたのか」
「え……あ~、えっと」
「前に言ったこと覚えてるか? 一緒に生活する話」
「なんかそんなこと言ってたね」
モデルファミリーの賞金が手に入った後、一緒に暮らさないか。
確かつかさはそう言っていた。
ずっと美園のことを考えていたと、そんなことも言っていた気がするが、その時は賞金目当てに近づいてくるいけすかない男だと相手にしなかった。
ただ、今は違う。
こんな心細いところに取り残され、誠も誘拐され、先行きも見えない未来にほんの少し灯る希望の光。
「赤の他人のためにここまでやるかって、お前さっき言ってたけど、俺にとっちゃ赤の他人じゃない」
「――どういう意味?」
「たぶん……っていうか、お前は間違いなく俺の未来の嫁さんだし、そうなってくると世良田一家は俺にとって大事な家族になる」
「誠にもしものことがあったらあたしたちどうなっちゃうんだろ、ってそのことばっかり心配している」
「どうって?」
「モデルファミリーのお金が入ったら解散ってのは規定路線だったはずなんだけど、今になって家族がバラバラになった時のこと考えると不安で仕方ない」
「余計な口挟むようだけど、もうモデルファミリーは無理だと思うぞ」
美園はちらりとつかさに視線を向け、ため息をつく。
「分かってるわよ。だけど、あたしたちがこのまま来年も家族を続けてると思う? これだけ世間に悪評が広まっちゃってるのに」
「それは俺の親父が煽った部分もある。悪い、謝る」
「もういいわよ、ママの言う通り偽装がばれるのは時間の問題だったのよ。時期がちょっと早まっただけ。誠を取り戻した後、私たちは解散よ。それを考えると哀しくなる」
美園は正直に本音を話す。自分を取り繕うこともしんどくなっていた。
誠を取り戻し日本へ帰国した後、一家はそれぞれの道を歩むことになる。
7億円も手にできず、無駄にダメージを負った状態で、世間から後ろ指をさされながら一家は離散する。
分かっていたことだが、いざその時期が近づいているとなると妙に寂しく感じるのはなぜだろうか。
日本から遠く離れたユグドリアに来たせいで、いい知れぬ寂しさに襲われ、本音という名の弱音が出る。
「私、1人ぼっちになっちゃうな」
無意識にそう呟いていた。
誰に言ったつもりでもないが、目の端でつかさがぴくんと反応したのが分かった。
重い沈黙の後、つかさがボソボソッと何かを言ったが、聞き取れなかった。
「なんて言ったの?」
「だから、俺が******」
また、後半が尻すぼみになって聞き取れない。
「だから聞こえない、って。こんな近い距離で何なのよ」
美園が呆れてため息をつくと「あ~!!」いう苛立たしげな呻き声を上げたつかさは、半ば自棄になったように大声で吠える。
「だ・か・ら! 心配しなくても、俺がずっと傍にいてやるよ!」
「――え?」
思わず顔を上げたその先、真正面からこっちを見つめるつかさの視線とかち合った。
とても冗談とは思えないほど真面目な表情をしている。
「おい、聞こえたのか」
「え……あ~、えっと」
「前に言ったこと覚えてるか? 一緒に生活する話」
「なんかそんなこと言ってたね」
モデルファミリーの賞金が手に入った後、一緒に暮らさないか。
確かつかさはそう言っていた。
ずっと美園のことを考えていたと、そんなことも言っていた気がするが、その時は賞金目当てに近づいてくるいけすかない男だと相手にしなかった。
ただ、今は違う。
こんな心細いところに取り残され、誠も誘拐され、先行きも見えない未来にほんの少し灯る希望の光。
「赤の他人のためにここまでやるかって、お前さっき言ってたけど、俺にとっちゃ赤の他人じゃない」
「――どういう意味?」
「たぶん……っていうか、お前は間違いなく俺の未来の嫁さんだし、そうなってくると世良田一家は俺にとって大事な家族になる」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる