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近づく二人の距離
102話:美園の気持ち
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『お前は間違いなく俺の未来の嫁さんだし、そうなってくると世良田一家は俺にとって大事な家族になる』
思いもよらぬつかさの発言に、美園の心拍数が跳ね上がり、体中を一気に血が駆け巡っていった。
美園の様子を冷静に観察しながら、つかさは淡々とした口調で話し続ける。
「俺が一緒に暮らさないかって言ったのはそういう意味も含めてだよ。もちろんお前が大学を卒業してからでもいい」
「…………」
「ただ、返事だけは先に聞かせといてほしい。なんだかんだでお前も男に人気があるから、こっちも冷や冷やするんだ」
「…………」
「どうだ、俺の家にこないか?」
「………ッ!」
よく恥ずかしげもなくそんなことを、そう口にしたかった美園だが恥ずかしさで喉から声が出てこない。
もごもごと口ごもる美園を前に、つかさは立ち上がってソファーを回り込んでくる。
そして美園の正面に立つと、
「おい、聞こえてるのか?」
苛立たし気に問いかける。
それでも美園は顔を上げようとしない。
何も反応せず、座ったままでいる美園を頭上から見下ろしたつかさは、さらに語気を強めて問いかける。
「おい、返事しろよ。さっき言ったこと聞こえたか、って聞いてんだ」
「……ま…まぁ、聞こえたような」
ここでようやく口を開いた美園だが、その返答はつかさが期待しているようなものではなかった。
つかさはほんの少しムッとした表情をして、美園を見つめた。
美園は気のない素振りで口を尖らしているが、実は全神経は目の前に立つつかさに向いている。それを悟られないように必死に冷静さを装っていたのだ。
けれど、つかさから見れば美園が無関心を貫いているように思え、その態度が妙に癪に触った。
「で、どうなんだ」
「どうって?」
美園の心臓が早鐘を打っている。
「だから……その、なんだ。どう思ってるかってことだよ」
「だから何をよ」
一向に美園がこちらを向こうとせずに、話を逸らそうとしていることに業を煮やしたつかさは、美園の腕を強引に掴んでこちらを振り向かせた。
「おい! 人が真剣に話してるんだからこっちを……」
そう言いかけて、美園の表情を見るなり目を丸くする。
美園はすぐにつかさの腕を振りほどいて、顔を逸らす。別に怒ってる訳ではない。それはつかさにも伝わっただろう。
――ガチャリ
まるで計ったとしか思えないタイミングで、勇治が扉を開けて、中を覗き込んできた。
「おい、そろそろ行くってよ」
かったるそうな口調だが、美園とつかさの微妙な空気感を感じ取って眉根を寄せる。
「ん? なんだお前ら。この部屋冷房効いてなかったか」
「ごほんっ……そ、そんなことないわよ」
咳払いして美園が答えると、勇治は首を傾げて2人を指差す。
「じゃあなんで2人とも顔が真っ赤なんだ」
そう言われたつかさは、慌てて右手で顔を覆う。
美園は更に顔を赤くすると、無言で兄を睨みつけ、足早に部屋を出て行った。
その後を追うように、つかさも勇治と扉の隙間を無言ですり抜けて行く。
勇治は不思議そうに2人の後ろ姿を見送りながら、誰もいなくなった部屋で唐突に満面の笑みを浮かべた。
「まだまだ青いねぇ」
思いもよらぬつかさの発言に、美園の心拍数が跳ね上がり、体中を一気に血が駆け巡っていった。
美園の様子を冷静に観察しながら、つかさは淡々とした口調で話し続ける。
「俺が一緒に暮らさないかって言ったのはそういう意味も含めてだよ。もちろんお前が大学を卒業してからでもいい」
「…………」
「ただ、返事だけは先に聞かせといてほしい。なんだかんだでお前も男に人気があるから、こっちも冷や冷やするんだ」
「…………」
「どうだ、俺の家にこないか?」
「………ッ!」
よく恥ずかしげもなくそんなことを、そう口にしたかった美園だが恥ずかしさで喉から声が出てこない。
もごもごと口ごもる美園を前に、つかさは立ち上がってソファーを回り込んでくる。
そして美園の正面に立つと、
「おい、聞こえてるのか?」
苛立たし気に問いかける。
それでも美園は顔を上げようとしない。
何も反応せず、座ったままでいる美園を頭上から見下ろしたつかさは、さらに語気を強めて問いかける。
「おい、返事しろよ。さっき言ったこと聞こえたか、って聞いてんだ」
「……ま…まぁ、聞こえたような」
ここでようやく口を開いた美園だが、その返答はつかさが期待しているようなものではなかった。
つかさはほんの少しムッとした表情をして、美園を見つめた。
美園は気のない素振りで口を尖らしているが、実は全神経は目の前に立つつかさに向いている。それを悟られないように必死に冷静さを装っていたのだ。
けれど、つかさから見れば美園が無関心を貫いているように思え、その態度が妙に癪に触った。
「で、どうなんだ」
「どうって?」
美園の心臓が早鐘を打っている。
「だから……その、なんだ。どう思ってるかってことだよ」
「だから何をよ」
一向に美園がこちらを向こうとせずに、話を逸らそうとしていることに業を煮やしたつかさは、美園の腕を強引に掴んでこちらを振り向かせた。
「おい! 人が真剣に話してるんだからこっちを……」
そう言いかけて、美園の表情を見るなり目を丸くする。
美園はすぐにつかさの腕を振りほどいて、顔を逸らす。別に怒ってる訳ではない。それはつかさにも伝わっただろう。
――ガチャリ
まるで計ったとしか思えないタイミングで、勇治が扉を開けて、中を覗き込んできた。
「おい、そろそろ行くってよ」
かったるそうな口調だが、美園とつかさの微妙な空気感を感じ取って眉根を寄せる。
「ん? なんだお前ら。この部屋冷房効いてなかったか」
「ごほんっ……そ、そんなことないわよ」
咳払いして美園が答えると、勇治は首を傾げて2人を指差す。
「じゃあなんで2人とも顔が真っ赤なんだ」
そう言われたつかさは、慌てて右手で顔を覆う。
美園は更に顔を赤くすると、無言で兄を睨みつけ、足早に部屋を出て行った。
その後を追うように、つかさも勇治と扉の隙間を無言ですり抜けて行く。
勇治は不思議そうに2人の後ろ姿を見送りながら、誰もいなくなった部屋で唐突に満面の笑みを浮かべた。
「まだまだ青いねぇ」
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