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最終決戦
135話:崩壊
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仁の機転により正義が勝ち、悪が滅びたかに思えたが、マツムラはまだ最後の悪あがきを続ける。
「まだだ、まだ終わっていない。きっちりと国民に説明するのだ。私が成し遂げようとしたことの偉大さを。この国を守るために貢献した私の偉業は認められてしかるべきだ」
そう言って、マツムラは周りを見渡すが、誰も彼に賛同するものはいない。
マツムラは目を血走らせて、トワを見た。
けれど、トワも黙って首を振る。
「もう、終わりにしようマツムラ」
――終焉。
長年に渡って彼が計画してきた国家創造は、今この瞬間、打ち砕かれたも同然だった。
それもどこの馬の骨かも分からないほど、くだらない一家とその仲間たちに。
「私の……私の夢が。理想が!」
マツムラの顔が大きく歪む。
明らかに様子は一変していた。
優位に立つものが覗かせる傲慢で尊大な笑みを浮かべていた男は、いまや完全に死に体だった。
目が泳ぐ。息が荒い。
「一人では逝かぬ。一人では逝かぬぞ」
彼は胸の隠しポケットからスイッチのようなものを取り出し操作するが「クソッ!」と唾を吐く。
「だから言ったろ。起爆装置は操作不能だ」
勇治は得意顔で目を細める。
しかし、マツムラはすぐに別の操作を始める。
――ピッ。
小さな電子音が鳴ったすぐ後、ゴゴゴゴゴッ、という地鳴りのような音と共に地面が揺れ始めた。
「地震か!」
つかさはよろめいて倒れそうになりながら、美園を支える。
「しまった! まだ他にも仕込んでやがったのか」
勇治は舌打ちする。
「おい、ここは崩れるぞ。逃げろ!」
ミシリ。
壁に大きな亀裂が走る。
「きやぁあああ」
悲鳴をあげた栄子の側に元樹が駆け寄る。
「栄子、大丈夫だ。俺がついてる」
「……あなた」
元樹は栄子を支えながら、そばにいた勇治に声をかける。
「俺は栄子を連れて行くから、勇治は誠を頼む」
「ほい来た!」
言うや否や、勇治は誠を肩の上にかつぎあげ、先頭きって走り出す。
途中、入り口のところでカメラを回している仁に気づき、その首根っこを掴む。
「おいおっさん。こんなことしてる場合じゃねぇだろ。戦場カメラマンでもあるまいし、死んだら元も子もねぇ」
そう言われ、仁は素直に部屋を抜け出した。
この時、一度も息子のことを気にかける仕草すら見せなかったことが、のちほど起こる「親子断絶、73日間冷戦」のきっかけとなるのだが、今はおいておこう。
仁の後に続こうとする勇治の肩の上で、誠が暴れる。
「待って、トワが!」
「こっちは大丈夫よ。あたしたちに任せて」
背後を振り返ると、トワの手を美園がひき、城島の体をつかさが支えていた。
元樹は悔しそうに顔を歪めるが、渾身の思いを込めて声を張り上げる。
「おい、つかさ。美園はお前に任せたぞ。嫁入り前の大事な娘だ。もし怪我でもさせてみろ。そん時は…………」
「そん時は責任とります!」
はい?
そん時はぶっ殺す、と続けようとしていた元樹は、つかさの意外な言葉に勢いをそがれ、またそれの深い意味を理解する状況ではないだけに、
「よ、よろしく頼む」
と返した。
美園は真っ赤だった。
その様子を見て、栄子は「あらあらいつの間に」と、目を丸くして微笑んだ。
ガガガガッ!
再び地面が大きく揺れる。
「走れ!」
誰かが叫んだ。
それに合わせてみな一斉に走り出した。
「まだだ、まだ終わっていない。きっちりと国民に説明するのだ。私が成し遂げようとしたことの偉大さを。この国を守るために貢献した私の偉業は認められてしかるべきだ」
そう言って、マツムラは周りを見渡すが、誰も彼に賛同するものはいない。
マツムラは目を血走らせて、トワを見た。
けれど、トワも黙って首を振る。
「もう、終わりにしようマツムラ」
――終焉。
長年に渡って彼が計画してきた国家創造は、今この瞬間、打ち砕かれたも同然だった。
それもどこの馬の骨かも分からないほど、くだらない一家とその仲間たちに。
「私の……私の夢が。理想が!」
マツムラの顔が大きく歪む。
明らかに様子は一変していた。
優位に立つものが覗かせる傲慢で尊大な笑みを浮かべていた男は、いまや完全に死に体だった。
目が泳ぐ。息が荒い。
「一人では逝かぬ。一人では逝かぬぞ」
彼は胸の隠しポケットからスイッチのようなものを取り出し操作するが「クソッ!」と唾を吐く。
「だから言ったろ。起爆装置は操作不能だ」
勇治は得意顔で目を細める。
しかし、マツムラはすぐに別の操作を始める。
――ピッ。
小さな電子音が鳴ったすぐ後、ゴゴゴゴゴッ、という地鳴りのような音と共に地面が揺れ始めた。
「地震か!」
つかさはよろめいて倒れそうになりながら、美園を支える。
「しまった! まだ他にも仕込んでやがったのか」
勇治は舌打ちする。
「おい、ここは崩れるぞ。逃げろ!」
ミシリ。
壁に大きな亀裂が走る。
「きやぁあああ」
悲鳴をあげた栄子の側に元樹が駆け寄る。
「栄子、大丈夫だ。俺がついてる」
「……あなた」
元樹は栄子を支えながら、そばにいた勇治に声をかける。
「俺は栄子を連れて行くから、勇治は誠を頼む」
「ほい来た!」
言うや否や、勇治は誠を肩の上にかつぎあげ、先頭きって走り出す。
途中、入り口のところでカメラを回している仁に気づき、その首根っこを掴む。
「おいおっさん。こんなことしてる場合じゃねぇだろ。戦場カメラマンでもあるまいし、死んだら元も子もねぇ」
そう言われ、仁は素直に部屋を抜け出した。
この時、一度も息子のことを気にかける仕草すら見せなかったことが、のちほど起こる「親子断絶、73日間冷戦」のきっかけとなるのだが、今はおいておこう。
仁の後に続こうとする勇治の肩の上で、誠が暴れる。
「待って、トワが!」
「こっちは大丈夫よ。あたしたちに任せて」
背後を振り返ると、トワの手を美園がひき、城島の体をつかさが支えていた。
元樹は悔しそうに顔を歪めるが、渾身の思いを込めて声を張り上げる。
「おい、つかさ。美園はお前に任せたぞ。嫁入り前の大事な娘だ。もし怪我でもさせてみろ。そん時は…………」
「そん時は責任とります!」
はい?
そん時はぶっ殺す、と続けようとしていた元樹は、つかさの意外な言葉に勢いをそがれ、またそれの深い意味を理解する状況ではないだけに、
「よ、よろしく頼む」
と返した。
美園は真っ赤だった。
その様子を見て、栄子は「あらあらいつの間に」と、目を丸くして微笑んだ。
ガガガガッ!
再び地面が大きく揺れる。
「走れ!」
誰かが叫んだ。
それに合わせてみな一斉に走り出した。
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