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ラストファミリー 全ては家族のために
142話:世良田一家の大躍進
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まさかマツムラがアンドレ国王を愛しており、城島が実の弟にべた惚れだったとは。
ユグドリアには美園の想像を超えたスペクトラルな世界が広がっていた。
過去を回想して、また貧血を起こしそうになった美園は、慌てて深呼吸して気持ちを整える。
ちょうど総理は美園の横に立っているつかさに声をかけ始めたところだった。
「美園さんとは順調ですか?」
「はい?」
「いや、私も自分の若い頃を思いだしました。流した血を赤い糸に例えるなんて、なかなかでしたね」
嬉しそうに頬を蒸気させる総理を前にして、美園とつかさは恥ずかしさで溶けてしまいそうだった。
そう、つかさのレコーダーを通して会話は全て筒抜け。
部屋の一室で交わした会話も、倒壊寸前のオペラハウスから脱出する際の会話も、全て全世界に流失済みであった。
そんな恐ろしいことが起こっているとは知らない2人は、全世界に見守られながら恋愛リアリティショーを繰り広げていたのだ。
いまやツーといえばカー、つかさといえば美園、というくらい息のあったカップルとして10代の若者たちから支持を得ている。
そこに目を付けたのはつかさの父親・仁。
彼はマイクとカメラ片手に2人のプライベートを執拗に追いかけはじめたのだ。
「一般人の恋愛には興味ねぇって言ってたろ!」
つかさが怒鳴れば、
「お前たちはすでに有名人だ。金になるんだよ」
と、言う。
確かに一家は今回の一件で世界的な知名度を得た。
栄子はワーキングマザーとして有名雑誌の表紙を飾り、元樹はTV番組に多数出演し教育評論家を気取っている。
勇治は小学生に大人気で「みんなのお兄ちゃん」的存在として親しまれており、ケンジとタキは高齢者の自立支援をサポートするために営利団体を設立した。
犬のあんこも某有名女優の飼い犬とお見合いが決定し、すでに4匹の子宝に恵まれている。
マルチーズとマルチーズの間に生まれた子犬の半分がダックスフンドだったことから、かねてより栄子が疑っていてあんこの犬種詐称疑惑が決定打となった。
それでも相変わらずの愛嬌を振りまくあんこは一家の永遠のマスコットだ。
誠は文章の才を生かし、日記形式の本を執筆。
「裏・モデルファミリー」と題したそれはたちまちベストセラーを記録し、小学生にして有名作家の仲間入りを果たした。
美園に至っては世界で一番美しい女性のナンバー2にランクインし、女優業のオファーも殺到している。
今回の功績が認められたつかさは、仁と親子揃って今年度の報道大賞を受賞し、雑誌企画の抱かれたい男ナンバー5にも収まった。
その雑誌片手に、美園に決断を迫ってきたが、まだ操を許すつもりはない。
「恋愛は自由ですが、結婚はさせませんよ」
元樹が鼻で笑う。
「こんな奴と結婚してごらんなさい。ろくな子供が産まれない」
総理の前だというのに、元樹の言葉にかちんときたつかさが乱暴に言い返す。
「はぁ? だったら世良田家の長男はまともだってのか」
「そ、それは……」
元樹が口ごもると、勇治が激怒する。
「おい、夏美もち~たんもテレビ見てるんだ。勘違いするようなこと言うな。夏美、ち~たん、ごめんね。愛してるよ」
最終的にどちらか1人に絞れなかった勇治は、今もって夏美と千秋の両方と仲良く交流を続けている。
千秋が成長するまでは、どちらとも交際しない。
あと数年経って千秋が18歳になったとき、改めてどちらかをパートナーに選択する、という呆れた決断を下したのだ。
美園に言わせればとんでもない所業だが、夏美と千秋はそれで納得している。
本人たちがいいというのだから、外野がとやかく言う筋合いではない。
千秋と交際しているわけでもないので、犯罪も成立しない。結果的に勇治はうまく逃げ切ったのだ。
勇治自身、世間に醜態がばれたのを皮切りに心の重荷が降りたようにあますことなく、呆れた発言を繰り返すようになった。
「総理、俺は……いえ、わたくしめは一切恥じるような恋愛はしておりません。ただ純粋に、素直な気持ちで2人の女性を愛しているのです」
それを聞いた栄子が金切り声をあげる。
「バカなこと言わないで。相手は10歳よ。純粋もくそもないのよ」
「バカなこと言ってんのはどっちだ。子供の成長は早いんだ。俺は今の時期からち~たんの成長をずっと見守っていきたいんだ」
「なんだと、まだそんな呆れたことを言ってるのか」
瞬間湯沸かし器のように、瞬時に激高した元樹が勇治の胸倉を掴む。
勇治もそれに応戦するように、元樹の胸倉を掴んで締め上げる。
ユグドリアには美園の想像を超えたスペクトラルな世界が広がっていた。
過去を回想して、また貧血を起こしそうになった美園は、慌てて深呼吸して気持ちを整える。
ちょうど総理は美園の横に立っているつかさに声をかけ始めたところだった。
「美園さんとは順調ですか?」
「はい?」
「いや、私も自分の若い頃を思いだしました。流した血を赤い糸に例えるなんて、なかなかでしたね」
嬉しそうに頬を蒸気させる総理を前にして、美園とつかさは恥ずかしさで溶けてしまいそうだった。
そう、つかさのレコーダーを通して会話は全て筒抜け。
部屋の一室で交わした会話も、倒壊寸前のオペラハウスから脱出する際の会話も、全て全世界に流失済みであった。
そんな恐ろしいことが起こっているとは知らない2人は、全世界に見守られながら恋愛リアリティショーを繰り広げていたのだ。
いまやツーといえばカー、つかさといえば美園、というくらい息のあったカップルとして10代の若者たちから支持を得ている。
そこに目を付けたのはつかさの父親・仁。
彼はマイクとカメラ片手に2人のプライベートを執拗に追いかけはじめたのだ。
「一般人の恋愛には興味ねぇって言ってたろ!」
つかさが怒鳴れば、
「お前たちはすでに有名人だ。金になるんだよ」
と、言う。
確かに一家は今回の一件で世界的な知名度を得た。
栄子はワーキングマザーとして有名雑誌の表紙を飾り、元樹はTV番組に多数出演し教育評論家を気取っている。
勇治は小学生に大人気で「みんなのお兄ちゃん」的存在として親しまれており、ケンジとタキは高齢者の自立支援をサポートするために営利団体を設立した。
犬のあんこも某有名女優の飼い犬とお見合いが決定し、すでに4匹の子宝に恵まれている。
マルチーズとマルチーズの間に生まれた子犬の半分がダックスフンドだったことから、かねてより栄子が疑っていてあんこの犬種詐称疑惑が決定打となった。
それでも相変わらずの愛嬌を振りまくあんこは一家の永遠のマスコットだ。
誠は文章の才を生かし、日記形式の本を執筆。
「裏・モデルファミリー」と題したそれはたちまちベストセラーを記録し、小学生にして有名作家の仲間入りを果たした。
美園に至っては世界で一番美しい女性のナンバー2にランクインし、女優業のオファーも殺到している。
今回の功績が認められたつかさは、仁と親子揃って今年度の報道大賞を受賞し、雑誌企画の抱かれたい男ナンバー5にも収まった。
その雑誌片手に、美園に決断を迫ってきたが、まだ操を許すつもりはない。
「恋愛は自由ですが、結婚はさせませんよ」
元樹が鼻で笑う。
「こんな奴と結婚してごらんなさい。ろくな子供が産まれない」
総理の前だというのに、元樹の言葉にかちんときたつかさが乱暴に言い返す。
「はぁ? だったら世良田家の長男はまともだってのか」
「そ、それは……」
元樹が口ごもると、勇治が激怒する。
「おい、夏美もち~たんもテレビ見てるんだ。勘違いするようなこと言うな。夏美、ち~たん、ごめんね。愛してるよ」
最終的にどちらか1人に絞れなかった勇治は、今もって夏美と千秋の両方と仲良く交流を続けている。
千秋が成長するまでは、どちらとも交際しない。
あと数年経って千秋が18歳になったとき、改めてどちらかをパートナーに選択する、という呆れた決断を下したのだ。
美園に言わせればとんでもない所業だが、夏美と千秋はそれで納得している。
本人たちがいいというのだから、外野がとやかく言う筋合いではない。
千秋と交際しているわけでもないので、犯罪も成立しない。結果的に勇治はうまく逃げ切ったのだ。
勇治自身、世間に醜態がばれたのを皮切りに心の重荷が降りたようにあますことなく、呆れた発言を繰り返すようになった。
「総理、俺は……いえ、わたくしめは一切恥じるような恋愛はしておりません。ただ純粋に、素直な気持ちで2人の女性を愛しているのです」
それを聞いた栄子が金切り声をあげる。
「バカなこと言わないで。相手は10歳よ。純粋もくそもないのよ」
「バカなこと言ってんのはどっちだ。子供の成長は早いんだ。俺は今の時期からち~たんの成長をずっと見守っていきたいんだ」
「なんだと、まだそんな呆れたことを言ってるのか」
瞬間湯沸かし器のように、瞬時に激高した元樹が勇治の胸倉を掴む。
勇治もそれに応戦するように、元樹の胸倉を掴んで締め上げる。
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