145 / 146
ラストファミリー 全ては家族のために
143話:変わらぬ一家
しおりを挟む
背の高い勇治に胸倉を掴まれながら、ネクタイを締めあげられる元樹。
つま先立ちになって苦しさから逃れようと、バレリーナのように前後左右へちょろちょろと動き回る。
「ぐっ、お前父親を窒息死させる気か……」
「ああ、そうだよ。親父みたいに女を乗り換えまくる奴に、人のこと説教する資格はないんだよ!」
「何を言ってる。リンリンちゃんとはお互いに話し合って別々の道を歩むことになったんだよ」
「はぁ、自分の知名度を利用してリンリンちゃんに取り入ろうとして店に迷惑かけて出禁になったんだろうが」
「そ、それはッ、ぐふぅ」
元樹は勇治の思わぬ反撃に相当メンタルを削り取られた。
その情報を今初めて知った栄子と美園は、冷たい目で元樹を見ていた。
「なんだ、なんなんだそのネタは、どこで掴みやがった」
そう言って八ッとしたようにつかさを見る。
つかさは惚けたように小さく口笛を吹いて、遠くを見つめる。
「つ~か~さ~! お前はどういうつもりだ。これ以上俺たち一家をむちゃくちゃにしてどうする気だ。何が座敷童子だ、疫病神じゃねぇか」
それを聞いたつかさは、心外だという表情で元樹を睨みつける。
「元樹さん、いくら何でもそれはひどすぎでしょ。俺のこと家族同然だって言ってくれたじゃないですか」
「バカヤロー! んなもん言葉のアヤに決まってんだろうが。誰がお前みたいなクソ坊主を家族だと思うんだ」
「いい加減にしてくださいよ。それ以上言うなら、元樹さんとグラビアタレントあみりんとの関係について俺の握ってる情報いろいろ暴露しますよ」
その瞬間、カメラの向こうで仁の目がきらりと光る。
離れた場所で様子を静観していた栄子の眉もピクリと動く。
それに気づいた元樹は、真っ青な顔でつかさに訴える。
「クソ坊主と勇治! お前らに家長に対する敬意ってもんはないのか?」
2人が二重奏のように答える。
「あるか、ボケ」
「ないです」
和やかな授賞式会場は、男たちの暴走によって阿鼻叫喚の大騒ぎ。
総理はなんとか一家の怒りを鎮めようと「落ち着いてください」と右往左往するが、誰の耳にも入っていない。
みかねた美園が元樹たちの間に割って入る。
「お兄ちゃんもお父さんもいい加減にして。テレビ中継が入ってるのよ。ユグドリアで城島先輩が見てるかもしれない。恥ずかしすぎるよ」
美園が止めに入ると、勇治はさらに激昂する。
「はぁ? 恥ずかしいのはどっちだ。胸にパッド6つも入れやがって。有名人になってから数が増えてんじゃねぇか、見栄っ張り女」
「何ですって!」
思わずつかさがぷっと吹きだす。
それを見た美園は、すかさずつかさの脳天に頭突きを食らわした。
「いでっ! 何しやがんだ!」
「その胸を触りたいっていってきたのはどこのどいつよ!」
「何だと!」
今度は元樹がぶち切れる。
「貴様、まさか俺の大事な娘に!」
「何もしてないって。させてもらえないんだよ。だけど、俺らは恋人同士。いつかは俺のものになるんだからな」
「この野郎。恥ずかしげもなくクソみたいなこと吐きやって。お前みたいな奴に栄誉笑のメダルなんぞふさわしくない」
勇治に胸倉を掴まれながらも、元樹は鬼の形相でつかさににりじより首のメダルに手をかけようとする。
「俺は皆さんと一緒に今回の事件に立ち向かった功労者だ。それを言うなら家で待ってただけのケンジさんとタキさんの方が無関係だろ。しかも犬にまで」
ケンジとタキの耳にも会話は聞こえていたが、2人はあくまで慎ましく微笑んでいた。
しかし、これだけは絶対に手放すまいと首にかけられたメダルをしっかり握りしめている。
ケンジとタキに並んで無関係と名指しされたあんこは、それを知ってか知らずか、自分のメダルの紐を引きちぎり、口の中でハムハムしはじめた。
「あ、メダル……」
総理はそれを見て青冷める。
あんこはふと顔を上げ、自分を見ている品のいい老人に向け、ニヤリと笑みを漏らした(ように総理には見えた)。
あんこは誠の腕から飛び出し「きゃぃ~ん」という鳴き声と共に尻尾を振りながら総理に飛びつく。
総理は勢いあまって直立にぶっ倒れ、会場は大騒ぎ。
黒服の男やSPらが大慌てで総理を介抱している。
つま先立ちになって苦しさから逃れようと、バレリーナのように前後左右へちょろちょろと動き回る。
「ぐっ、お前父親を窒息死させる気か……」
「ああ、そうだよ。親父みたいに女を乗り換えまくる奴に、人のこと説教する資格はないんだよ!」
「何を言ってる。リンリンちゃんとはお互いに話し合って別々の道を歩むことになったんだよ」
「はぁ、自分の知名度を利用してリンリンちゃんに取り入ろうとして店に迷惑かけて出禁になったんだろうが」
「そ、それはッ、ぐふぅ」
元樹は勇治の思わぬ反撃に相当メンタルを削り取られた。
その情報を今初めて知った栄子と美園は、冷たい目で元樹を見ていた。
「なんだ、なんなんだそのネタは、どこで掴みやがった」
そう言って八ッとしたようにつかさを見る。
つかさは惚けたように小さく口笛を吹いて、遠くを見つめる。
「つ~か~さ~! お前はどういうつもりだ。これ以上俺たち一家をむちゃくちゃにしてどうする気だ。何が座敷童子だ、疫病神じゃねぇか」
それを聞いたつかさは、心外だという表情で元樹を睨みつける。
「元樹さん、いくら何でもそれはひどすぎでしょ。俺のこと家族同然だって言ってくれたじゃないですか」
「バカヤロー! んなもん言葉のアヤに決まってんだろうが。誰がお前みたいなクソ坊主を家族だと思うんだ」
「いい加減にしてくださいよ。それ以上言うなら、元樹さんとグラビアタレントあみりんとの関係について俺の握ってる情報いろいろ暴露しますよ」
その瞬間、カメラの向こうで仁の目がきらりと光る。
離れた場所で様子を静観していた栄子の眉もピクリと動く。
それに気づいた元樹は、真っ青な顔でつかさに訴える。
「クソ坊主と勇治! お前らに家長に対する敬意ってもんはないのか?」
2人が二重奏のように答える。
「あるか、ボケ」
「ないです」
和やかな授賞式会場は、男たちの暴走によって阿鼻叫喚の大騒ぎ。
総理はなんとか一家の怒りを鎮めようと「落ち着いてください」と右往左往するが、誰の耳にも入っていない。
みかねた美園が元樹たちの間に割って入る。
「お兄ちゃんもお父さんもいい加減にして。テレビ中継が入ってるのよ。ユグドリアで城島先輩が見てるかもしれない。恥ずかしすぎるよ」
美園が止めに入ると、勇治はさらに激昂する。
「はぁ? 恥ずかしいのはどっちだ。胸にパッド6つも入れやがって。有名人になってから数が増えてんじゃねぇか、見栄っ張り女」
「何ですって!」
思わずつかさがぷっと吹きだす。
それを見た美園は、すかさずつかさの脳天に頭突きを食らわした。
「いでっ! 何しやがんだ!」
「その胸を触りたいっていってきたのはどこのどいつよ!」
「何だと!」
今度は元樹がぶち切れる。
「貴様、まさか俺の大事な娘に!」
「何もしてないって。させてもらえないんだよ。だけど、俺らは恋人同士。いつかは俺のものになるんだからな」
「この野郎。恥ずかしげもなくクソみたいなこと吐きやって。お前みたいな奴に栄誉笑のメダルなんぞふさわしくない」
勇治に胸倉を掴まれながらも、元樹は鬼の形相でつかさににりじより首のメダルに手をかけようとする。
「俺は皆さんと一緒に今回の事件に立ち向かった功労者だ。それを言うなら家で待ってただけのケンジさんとタキさんの方が無関係だろ。しかも犬にまで」
ケンジとタキの耳にも会話は聞こえていたが、2人はあくまで慎ましく微笑んでいた。
しかし、これだけは絶対に手放すまいと首にかけられたメダルをしっかり握りしめている。
ケンジとタキに並んで無関係と名指しされたあんこは、それを知ってか知らずか、自分のメダルの紐を引きちぎり、口の中でハムハムしはじめた。
「あ、メダル……」
総理はそれを見て青冷める。
あんこはふと顔を上げ、自分を見ている品のいい老人に向け、ニヤリと笑みを漏らした(ように総理には見えた)。
あんこは誠の腕から飛び出し「きゃぃ~ん」という鳴き声と共に尻尾を振りながら総理に飛びつく。
総理は勢いあまって直立にぶっ倒れ、会場は大騒ぎ。
黒服の男やSPらが大慌てで総理を介抱している。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる