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わしと主(あるじ)の朝 2
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あのあと、気づいたのじゃが――
そう考えてたら、フライパンにのせたベーコンがじゅじゅじゅっとなるのが聞こえた。
そろそろ火を止めないといかん。
今日の朝食はカリカリに焼いたベーコンと、ふわふわのパンじゃ。
やいたベーコンを皿に移すと、わしはソーラを起こしにいく。
部屋に入り、ベッドにすやすやと眠るソーラの頬を、肉球でぺしぺしと叩く。
「こら、ソーラ。起きるのじゃ。はやく起きて朝食を食べんと、ミーフィアが来てしまうぞ」
「んんっ……」
ソーラは寝ぼけ眼をこすりながら、わしのほうに手を伸ばしてくる。
「クロト……、おはようのキス……」
わしはその口にぺちりと肉球をおみまいした。
「はようせぬか!」
「グレてやる……」
「やめい。ぬしがグレるとしゃれにならん」
Sランクの召喚士の不良女子生徒など、誰が手におえようか。
例えでなく学校崩壊しかねない。
りんりーんとドアのベルが鳴る音が聞こえる。
「ソーラちゃんー。学校いこうー!」
ミーフィアがソーラを呼ぶ声が聞こえた。
「ほれ、来てしまったぞ。はやく制服を着て、朝食をたべい」
「うん……」
ソーラは素直にうなずいて制服を着はじめた。
わしは窓から顔をだして、ミーフィアに挨拶する。
「ミーフィア、おはようじゃ。ソーラはまだ着替えてないから、ちょっとまっててくれ」
「あ、クロトさん。おはようございます!」
ミーフィアが笑顔でわしに挨拶をする。
眼鏡の向こうのさわやかな笑顔が朝に心地よい。
そしてあいかわらず、ふくよかな胸を――
ゴスッ
わしの頭に魔界から召喚した石ころが落ちた……。
「じゃあ、朝食食べてくる……」
「お、おうぅ……。しかし、石を落としたのはなぜじゃぁ……」
わしは頭をおさえしばらく痛みにもだえたあと、ソーラのあとにつづいてキッチンにもどってきた。
ソーラは席についてぱくぱくとパンとベーコンを食べてたので、牛乳をカップにいれてわたしてやる。
「んっ……」
ソーラは牛乳を受け取り、パンとベーコンを流し込むと、席をたちかけあしで玄関に向かう。
わしはその背中に、あらたまって話しかけた。
「のう、主(あるじ)よ。今日はお願いがあるのじゃ。
このまえ引き受けた墓地のアンデッド退治なんじゃが」
「だめ」
「これならわしにもできるとおもうんじゃ」
「だめ」
「だからわしに――」
「だめ」
「…………」
途中で心がおれて、言葉が続かなくなる。
失意体前屈で座り込むわしに、ソーラは玄関で靴をはきながらいった。
「クロトはおとなしくるすばん……。
じゃあ、わたしミーフィアと学校いくから……」
玄関をあけると、笑顔のミーフィアがまっていた。
「ごめん……待たせて……」
「ううん、気にしないで」
「じゃあ、いってきます、クロト……」
「いってきますね、クロトさん」
「ぉ、ぉぅ。じゃあのう……」
わしは玄関前でひざをつきながら、ちょっと涙目で手をふる。
――そう
――あのときいい感じに終わったような雰囲気だったけど。
――わしの問題ひとつも解決してなくね?
そう考えてたら、フライパンにのせたベーコンがじゅじゅじゅっとなるのが聞こえた。
そろそろ火を止めないといかん。
今日の朝食はカリカリに焼いたベーコンと、ふわふわのパンじゃ。
やいたベーコンを皿に移すと、わしはソーラを起こしにいく。
部屋に入り、ベッドにすやすやと眠るソーラの頬を、肉球でぺしぺしと叩く。
「こら、ソーラ。起きるのじゃ。はやく起きて朝食を食べんと、ミーフィアが来てしまうぞ」
「んんっ……」
ソーラは寝ぼけ眼をこすりながら、わしのほうに手を伸ばしてくる。
「クロト……、おはようのキス……」
わしはその口にぺちりと肉球をおみまいした。
「はようせぬか!」
「グレてやる……」
「やめい。ぬしがグレるとしゃれにならん」
Sランクの召喚士の不良女子生徒など、誰が手におえようか。
例えでなく学校崩壊しかねない。
りんりーんとドアのベルが鳴る音が聞こえる。
「ソーラちゃんー。学校いこうー!」
ミーフィアがソーラを呼ぶ声が聞こえた。
「ほれ、来てしまったぞ。はやく制服を着て、朝食をたべい」
「うん……」
ソーラは素直にうなずいて制服を着はじめた。
わしは窓から顔をだして、ミーフィアに挨拶する。
「ミーフィア、おはようじゃ。ソーラはまだ着替えてないから、ちょっとまっててくれ」
「あ、クロトさん。おはようございます!」
ミーフィアが笑顔でわしに挨拶をする。
眼鏡の向こうのさわやかな笑顔が朝に心地よい。
そしてあいかわらず、ふくよかな胸を――
ゴスッ
わしの頭に魔界から召喚した石ころが落ちた……。
「じゃあ、朝食食べてくる……」
「お、おうぅ……。しかし、石を落としたのはなぜじゃぁ……」
わしは頭をおさえしばらく痛みにもだえたあと、ソーラのあとにつづいてキッチンにもどってきた。
ソーラは席についてぱくぱくとパンとベーコンを食べてたので、牛乳をカップにいれてわたしてやる。
「んっ……」
ソーラは牛乳を受け取り、パンとベーコンを流し込むと、席をたちかけあしで玄関に向かう。
わしはその背中に、あらたまって話しかけた。
「のう、主(あるじ)よ。今日はお願いがあるのじゃ。
このまえ引き受けた墓地のアンデッド退治なんじゃが」
「だめ」
「これならわしにもできるとおもうんじゃ」
「だめ」
「だからわしに――」
「だめ」
「…………」
途中で心がおれて、言葉が続かなくなる。
失意体前屈で座り込むわしに、ソーラは玄関で靴をはきながらいった。
「クロトはおとなしくるすばん……。
じゃあ、わたしミーフィアと学校いくから……」
玄関をあけると、笑顔のミーフィアがまっていた。
「ごめん……待たせて……」
「ううん、気にしないで」
「じゃあ、いってきます、クロト……」
「いってきますね、クロトさん」
「ぉ、ぉぅ。じゃあのう……」
わしは玄関前でひざをつきながら、ちょっと涙目で手をふる。
――そう
――あのときいい感じに終わったような雰囲気だったけど。
――わしの問題ひとつも解決してなくね?
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