29 / 46
Ep.2
第29話 兎は異世界転生の夢を見るか
しおりを挟む
バタンと乱暴に部屋の扉を閉めたアカリは、ツインテールを留めていたヘアゴムを思い切り床に投げ捨てた。それでも溜まったストレスは治まらず、感情のままに勢いよく壁を蹴りつける。
「ああウザい! どいつもこいつも、何で私に都合よく動いてくれないんだッ!」
カイビトス公国ではこんなこと一度も無かったのに。リューグ王国に来てからどうも調子がおかしい。
「はぁ……」
少し落ち着いたアカリは大きなため息を吐いた。
水霊の窓を開いてアイテムストレージを表示。床に転がったヘアゴム二つを収納し、続けて装備リストの魔法少女衣装一式とストレージに入っている部屋着を選択。〈装備変更〉をタップすると身体が光に包まれ、一瞬にして着替えが完了する。
綿素材のゆったりとした白いTシャツとキュロットショートパンツのセットアップの上に髪と同じピンク色のパーカーを羽織ったラフな恰好になったアカリは、改めて用意された部屋を見回す。
テレビで見る高級ホテルのスイートルームのような一室は、家具や装飾も豪華絢爛で床のカーペットなんて足を取られそうなほどにふかふかだ。そんな部屋の中央に置かれているのは、一際存在感を放つキングサイズのベッド。
「何かすっごい寝心地良さそう」
とりあえず一回仰向けに寝転がってみる。
すると、まるで身体が優しく包み込まれているみたいな今まで味わったことのない感覚を覚えた。マットレスは柔らかいのに沈み込みすぎず、程よく背中を支えてくれる。
「あ~、これ楽だ……」
あっちの世界の家で使っていた、ぺたんこになった煎餅布団とはまるで違う。
もう動きたくない。寝支度どころか荷物の整理すらしていないというのに、完全に起き上がる気力を無くしてしまった。
今日は長旅で疲れたし、どうせ明日もやることないし。まあいっか。
頭の中で言い訳をしているうちにも段々瞼が重くなってきて、いつしかアカリは深い眠りに落ちていた。
二〇二一年八月五日、香川県三豊市。
カーテンを閉め切っているために昼間なのに薄暗い部屋の中。私、兎田御影はパソコンの前に座っていた。海に沈みゆく世界を舞台にしたRPGゲームのテスターに選ばれ、ここ最近はずっとこうして遊んでいる。
私には親がいない。正確に言えば母親はいるけれど、半年近く帰ってきていない。
だから徹夜でゲームをしていようが、パパ活で小遣い稼ぎをしていようが誰に怒られることもない。
『無観客の静かな会場に今、日本期待の金メダル候補、亀有凪沙選手が姿を現しました。地元は香川県。家族や友人に生の演技を見てもらうことは叶いませんでしたが、きっと画面の向こうから熱い声援を送ってくれていることでしょう』
雑音が欲しくて適当に点けていたテレビが、音量も上げていないのに急にうるさくなる。
何事かと視線を向けると、いつの間にか変なスポーツ中継になっていた。
「あぁ、オリンピックか……」
世界中が熱狂しているとされる自称平和の祭典。だけどそんなものに、私は興味も関心も無い。
このアナウンサーさっきから声大きくて嫌だから別のチャンネルに変えよう。
そう思って部屋のどこかに置いたはずのリモコンを探しながら、ふと気付く。
『一本目、亀有選手見事にノースプラッシュを決めて見せました!』
亀有ってどこかで聞いた名前だな……?
プールから上がってきた顔を見て、ようやくピンと来る。
ああそうだ、隣のクラスの生徒だ。運動も勉強も出来て、友達も多くて先生からも信頼されていて。
私が一番嫌いな人。
二年生になってすぐくらいからは高校にも行かなくなってしまった。だからこんな奴の存在をすっかり忘れていた。本当は思い出したくもなかったのだが。
「高い所から水に飛び込むだけで日本中から褒め称えられて、お金まで貰えるんでしょ? 馬っ鹿みたいだよね」
テレビに向かって毒突きながらも、私は結局チャンネルを変えるのをやめた。
こいつがダサい失敗をして大恥をかくところを見たいと思ったから。
でも、結果は期待外れのものだった。
『さあ得点が出ます。優勝は……亀有凪沙選手! 日本の期待の星、見事金メダル獲得です!』
一つもミスらないのかよ。しかも金メダルだし。
やっぱりアンタなんて大嫌い。
私は舌打ちをしてテレビを消した。
「はぁ、コンビニでも行こ……」
最悪なものを見てしまった気晴らしに飲み物でも買ってくるかと、部屋着の上にピンク色のパーカーを羽織って玄関を出る。
最も近所にあるコンビニは、川の狭間みたいな何か変なところにある。パーカーのポケットに両手を突っ込んだままのんびりと歩いて行き、短い橋を渡ってコンビニの前へ。
いざ店内に入ろうとして、ぴたりと足が止まる。
コンビニの向こう側、丁字路の信号の奥には長い橋が見える。
「あそこから飛び込んだら、私も金色のメダル貰えるかな……」
無意識のうちに、吸い寄せられるように長い橋の方へと歩みを進める。
そして橋の真ん中あたりで立ち止まると、自然と欄干の上に登っていた。
通行人はおろか車の一台も通らない。だから今この場に、私の邪魔をする者は誰もいない。
「……あははっ、あははははッ!」
これでやっと、陰から出られる。輝くメダルが照らす、明るい世界に行けるんだ。
そう思うと笑いが止まらなくなった。
焦点の定まらない燻んだ灰色の瞳で川を見下ろした私は、一切の躊躇いなく橋からぴょんと飛び降りた。
意識が戻った時、私は見知らぬ砂浜で横になっていた。
まさか瀬戸内海の無人島に生きたまま流れ着いてしまったのだろうか?
むくりと起き上がると、視界にピンク色の何かがちらついた。
「? ゴミでも付いてんのかな……?」
指で摘まんでみる。するとなぜか髪の毛に触れている時のような感覚が頭に伝わってきた。
全然取れないし、意味が分からない。何だこれは。
目で見た方が早いとスマホを取り出して、インカメラで自分の顔を映す。だが、画面に映し出された顔を見て、私は余計に混乱してしまった。
「…………は?」
スマホには眉を顰める自分の姿が映し出されるはずなのに、そこで眉を顰めているのは全くの別人で。
ピンク色のサラサラのロングヘアーとキラキラ輝く赤い瞳が特徴的な童顔巨乳の少女が、私と同じ表情で同じ服装をして同じ座り方をしていた。
これが自分の身体だと理解するまでには結構な時間を要した。
でも理解さえしたら驚くほどすんなりと受け入れられた。
体を慣らすようにふらふらと歩き回りながら、状況を整理する。
「私、死んだのかな? にしては生きてる感すごいんだけど」
太陽の日差しの熱、頬を撫でる潮風の心地よさ、寄せては返す波の音。五感に伝わってくる情報がどれもリアルで、ここが死後の世界とはどうも信じられない。
「だとしたら異世界転生、とか……? って、そんなの現実にある訳ないもんね」
アニメやラノベではよく見かける展開だが、あれは架空の話だ。もっと真面目に考えよう。再び思考を巡らせる。
と、その時。
水揚げされた魚が跳ねるような、びたびたっという音が背後から聞こえてきた。
何だろうと振り返ってみると、ぎょろりとした丸い碧い目と目が合った。
青魚の頭の上半身から人の脚が生えた、言わば半魚人。
「うわっ、気持ち悪っ!」
飛び退る私に向かって、その化け物はあろうことか全力で駆け出した。
「ちょっ、こっち来んなって……!」
陸上選手並みのスピードでどんどんと迫ってくるので、叫びながら咄嗟に右手を突き出す。
刹那、伸ばした右手の平に妙な温かさを感じた。全身のエネルギーがそこに集まっていくような不思議な感覚。
見てみれば、掌に光の球が形成されているではないか。
もしやと思い私はある言葉を唱えてみる。
「魔法目録一条、魔法弾」
言い終えると同時に光球をぶん投げると、それを喰らった半魚人は蛍光緑の血を撒き散らして爆散した。
「つまりここは、あのゲームの世界ってこと……?」
テスターとしてプレイしていた、海に沈みゆく世界が舞台のRPG。
そのゲームに出てくる魔法が使えて。しかもさっきの半魚人、あんなモンスターも出てきた気がする。
だけどまだ確証が持てない。もう一つ決定的な何かが欲しい。
辺りを見回していると一艘の舟がこちらに近づいてきて、何者かが砂浜に上陸した。
真っ黒なローブに身を包みフードを被った怪しげな人物に、右手を向けつつ警戒心を強める。
「アンタ誰?」
声を掛けると、黒ずくめの人はおもむろにフードを脱いでから答えた。女性だった。
「ナーカはね、通りすがりの運び屋だよ」
この紫色の髪と黄色い瞳は、カイビトス衛士団親衛隊七番の魔導士オンコリュンクス=ナーカ。彼女もゲームに出てきたキャラクターだ。
ということは、やはり。
私はどうやら本当にゲームの世界に転生したらしい。
「ああウザい! どいつもこいつも、何で私に都合よく動いてくれないんだッ!」
カイビトス公国ではこんなこと一度も無かったのに。リューグ王国に来てからどうも調子がおかしい。
「はぁ……」
少し落ち着いたアカリは大きなため息を吐いた。
水霊の窓を開いてアイテムストレージを表示。床に転がったヘアゴム二つを収納し、続けて装備リストの魔法少女衣装一式とストレージに入っている部屋着を選択。〈装備変更〉をタップすると身体が光に包まれ、一瞬にして着替えが完了する。
綿素材のゆったりとした白いTシャツとキュロットショートパンツのセットアップの上に髪と同じピンク色のパーカーを羽織ったラフな恰好になったアカリは、改めて用意された部屋を見回す。
テレビで見る高級ホテルのスイートルームのような一室は、家具や装飾も豪華絢爛で床のカーペットなんて足を取られそうなほどにふかふかだ。そんな部屋の中央に置かれているのは、一際存在感を放つキングサイズのベッド。
「何かすっごい寝心地良さそう」
とりあえず一回仰向けに寝転がってみる。
すると、まるで身体が優しく包み込まれているみたいな今まで味わったことのない感覚を覚えた。マットレスは柔らかいのに沈み込みすぎず、程よく背中を支えてくれる。
「あ~、これ楽だ……」
あっちの世界の家で使っていた、ぺたんこになった煎餅布団とはまるで違う。
もう動きたくない。寝支度どころか荷物の整理すらしていないというのに、完全に起き上がる気力を無くしてしまった。
今日は長旅で疲れたし、どうせ明日もやることないし。まあいっか。
頭の中で言い訳をしているうちにも段々瞼が重くなってきて、いつしかアカリは深い眠りに落ちていた。
二〇二一年八月五日、香川県三豊市。
カーテンを閉め切っているために昼間なのに薄暗い部屋の中。私、兎田御影はパソコンの前に座っていた。海に沈みゆく世界を舞台にしたRPGゲームのテスターに選ばれ、ここ最近はずっとこうして遊んでいる。
私には親がいない。正確に言えば母親はいるけれど、半年近く帰ってきていない。
だから徹夜でゲームをしていようが、パパ活で小遣い稼ぎをしていようが誰に怒られることもない。
『無観客の静かな会場に今、日本期待の金メダル候補、亀有凪沙選手が姿を現しました。地元は香川県。家族や友人に生の演技を見てもらうことは叶いませんでしたが、きっと画面の向こうから熱い声援を送ってくれていることでしょう』
雑音が欲しくて適当に点けていたテレビが、音量も上げていないのに急にうるさくなる。
何事かと視線を向けると、いつの間にか変なスポーツ中継になっていた。
「あぁ、オリンピックか……」
世界中が熱狂しているとされる自称平和の祭典。だけどそんなものに、私は興味も関心も無い。
このアナウンサーさっきから声大きくて嫌だから別のチャンネルに変えよう。
そう思って部屋のどこかに置いたはずのリモコンを探しながら、ふと気付く。
『一本目、亀有選手見事にノースプラッシュを決めて見せました!』
亀有ってどこかで聞いた名前だな……?
プールから上がってきた顔を見て、ようやくピンと来る。
ああそうだ、隣のクラスの生徒だ。運動も勉強も出来て、友達も多くて先生からも信頼されていて。
私が一番嫌いな人。
二年生になってすぐくらいからは高校にも行かなくなってしまった。だからこんな奴の存在をすっかり忘れていた。本当は思い出したくもなかったのだが。
「高い所から水に飛び込むだけで日本中から褒め称えられて、お金まで貰えるんでしょ? 馬っ鹿みたいだよね」
テレビに向かって毒突きながらも、私は結局チャンネルを変えるのをやめた。
こいつがダサい失敗をして大恥をかくところを見たいと思ったから。
でも、結果は期待外れのものだった。
『さあ得点が出ます。優勝は……亀有凪沙選手! 日本の期待の星、見事金メダル獲得です!』
一つもミスらないのかよ。しかも金メダルだし。
やっぱりアンタなんて大嫌い。
私は舌打ちをしてテレビを消した。
「はぁ、コンビニでも行こ……」
最悪なものを見てしまった気晴らしに飲み物でも買ってくるかと、部屋着の上にピンク色のパーカーを羽織って玄関を出る。
最も近所にあるコンビニは、川の狭間みたいな何か変なところにある。パーカーのポケットに両手を突っ込んだままのんびりと歩いて行き、短い橋を渡ってコンビニの前へ。
いざ店内に入ろうとして、ぴたりと足が止まる。
コンビニの向こう側、丁字路の信号の奥には長い橋が見える。
「あそこから飛び込んだら、私も金色のメダル貰えるかな……」
無意識のうちに、吸い寄せられるように長い橋の方へと歩みを進める。
そして橋の真ん中あたりで立ち止まると、自然と欄干の上に登っていた。
通行人はおろか車の一台も通らない。だから今この場に、私の邪魔をする者は誰もいない。
「……あははっ、あははははッ!」
これでやっと、陰から出られる。輝くメダルが照らす、明るい世界に行けるんだ。
そう思うと笑いが止まらなくなった。
焦点の定まらない燻んだ灰色の瞳で川を見下ろした私は、一切の躊躇いなく橋からぴょんと飛び降りた。
意識が戻った時、私は見知らぬ砂浜で横になっていた。
まさか瀬戸内海の無人島に生きたまま流れ着いてしまったのだろうか?
むくりと起き上がると、視界にピンク色の何かがちらついた。
「? ゴミでも付いてんのかな……?」
指で摘まんでみる。するとなぜか髪の毛に触れている時のような感覚が頭に伝わってきた。
全然取れないし、意味が分からない。何だこれは。
目で見た方が早いとスマホを取り出して、インカメラで自分の顔を映す。だが、画面に映し出された顔を見て、私は余計に混乱してしまった。
「…………は?」
スマホには眉を顰める自分の姿が映し出されるはずなのに、そこで眉を顰めているのは全くの別人で。
ピンク色のサラサラのロングヘアーとキラキラ輝く赤い瞳が特徴的な童顔巨乳の少女が、私と同じ表情で同じ服装をして同じ座り方をしていた。
これが自分の身体だと理解するまでには結構な時間を要した。
でも理解さえしたら驚くほどすんなりと受け入れられた。
体を慣らすようにふらふらと歩き回りながら、状況を整理する。
「私、死んだのかな? にしては生きてる感すごいんだけど」
太陽の日差しの熱、頬を撫でる潮風の心地よさ、寄せては返す波の音。五感に伝わってくる情報がどれもリアルで、ここが死後の世界とはどうも信じられない。
「だとしたら異世界転生、とか……? って、そんなの現実にある訳ないもんね」
アニメやラノベではよく見かける展開だが、あれは架空の話だ。もっと真面目に考えよう。再び思考を巡らせる。
と、その時。
水揚げされた魚が跳ねるような、びたびたっという音が背後から聞こえてきた。
何だろうと振り返ってみると、ぎょろりとした丸い碧い目と目が合った。
青魚の頭の上半身から人の脚が生えた、言わば半魚人。
「うわっ、気持ち悪っ!」
飛び退る私に向かって、その化け物はあろうことか全力で駆け出した。
「ちょっ、こっち来んなって……!」
陸上選手並みのスピードでどんどんと迫ってくるので、叫びながら咄嗟に右手を突き出す。
刹那、伸ばした右手の平に妙な温かさを感じた。全身のエネルギーがそこに集まっていくような不思議な感覚。
見てみれば、掌に光の球が形成されているではないか。
もしやと思い私はある言葉を唱えてみる。
「魔法目録一条、魔法弾」
言い終えると同時に光球をぶん投げると、それを喰らった半魚人は蛍光緑の血を撒き散らして爆散した。
「つまりここは、あのゲームの世界ってこと……?」
テスターとしてプレイしていた、海に沈みゆく世界が舞台のRPG。
そのゲームに出てくる魔法が使えて。しかもさっきの半魚人、あんなモンスターも出てきた気がする。
だけどまだ確証が持てない。もう一つ決定的な何かが欲しい。
辺りを見回していると一艘の舟がこちらに近づいてきて、何者かが砂浜に上陸した。
真っ黒なローブに身を包みフードを被った怪しげな人物に、右手を向けつつ警戒心を強める。
「アンタ誰?」
声を掛けると、黒ずくめの人はおもむろにフードを脱いでから答えた。女性だった。
「ナーカはね、通りすがりの運び屋だよ」
この紫色の髪と黄色い瞳は、カイビトス衛士団親衛隊七番の魔導士オンコリュンクス=ナーカ。彼女もゲームに出てきたキャラクターだ。
ということは、やはり。
私はどうやら本当にゲームの世界に転生したらしい。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
俺だけ“使えないスキル”を大量に入手できる世界
小林一咲
ファンタジー
戦う気なし。出世欲なし。
あるのは「まぁいっか」とゴミスキルだけ。
過労死した社畜ゲーマー・晴日 條(はるひ しょう)は、異世界でとんでもないユニークスキルを授かる。
――使えないスキルしか出ないガチャ。
誰も欲しがらない。
単体では意味不明。
説明文を読んだだけで溜め息が出る。
だが、條は集める。
強くなりたいからじゃない。
ゴミを眺めるのが、ちょっと楽しいから。
逃げ回るうちに勘違いされ、過剰に評価され、なぜか世界は救われていく。
これは――
「役に立たなかった人生」を否定しない物語。
ゴミスキル万歳。
俺は今日も、何もしない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる