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「ドンピシャだな…」
あれからほどなくして、俺は小さな山小屋を見つけた。あたりを警戒してみるも、人の気配はない。
誰かが使っている山小屋なのか、放棄されたのかわからないが、最近人の出入りがあったような形跡はある。古い小屋だが誰かが今も使っているようだ。
(中の様子が見られればいいんだけど…)
俺は周囲に警戒したまま、ゆっくりと山小屋へ近づき、入り口の部分を見てみると、扉には南京錠がくっついていた。どうにか取れない物か引っ張ったりしてみるも、びくともしない。
小屋の周りを1周すると、子供の身長からすると少し高いところに窓を見つけた。入口の所にあった木箱を持ってくれば小屋の中が見られそうだ。
俺は木箱を持ってきて小屋の中に視線を送ると、気を失って倒れているフェリシアを見つけた。
窓を手でコンコン、と叩くもフェリシアは起きない。
「フェリシア…おい!フェリシア起きろ!!」
小声で呼びかけるも、フェリシアは起きなかった。そうこうしているうちに、遠くから草をかき分けて歩いてくる人の音が聞こえた。俺は慌てて近くの茂みに身を隠して、小屋の様子を見ることにした。
(この小屋の持ち主か?…そうだとしたら、事情を説明してフェリシアを返してもらう?でもなんて言えばいい?同級生が転移魔法陣でここに転移された。とでもいうのか?7歳の子供が?怪しすぎるだろ)
結論、少し様子を見ることにした。少なくとも、来た人がまともな人であれば何かしらの方法でフェリシアを学校関係者に引き渡すだろう。この森でフィールドワークしていることは領内の人ならほとんど知っているだろうし。
「へへっ、親分。ちょいと“いい話”があるんですよ。ガキが2人、あいつには娘が一人いましてねぇ?そいつらをまとめて“かっぱらっちまえば”、あいつもビビっておとなしく言うこと聞くと思うんスよ。いやぁ、親分の計画にぴったりじゃないかと思いましてねぇ……へへっ。」
おいおい、聞こえてくる会話が物騒すぎるぞ。善良な村人Aが管理している小屋ってわけじゃなさそうだな。これは。
「……パッチョ。俺はな、この先“魔法”がもっと使いやすくなる時代が来ると思ってるんだよ。そのためには――ルシアンの知識が絶対に必要だ。あいつを無理やりでも机に縛りつけて研究させなきゃ、“魔法の量産化”なんて夢のまた夢だ。俺が教えたあの転移魔法……まだ試作品で、一個作るのに時間はかかる。だが――どうだ? 便利だろう?あれを量産できりゃ、俺たちはこの国の誰よりも先を走れる。だから……あいつの娘だろうがなんだろうが、手段は選ばねぇよ。利用できるもんはなんでも使え!」
「へへっ、そりゃもう親分!あの“転移の魔法陣”ってやつ、マジでとんでもねぇ代物ですよ。追っ手に囲まれようが、衛兵に捕まろうが、足元にちょいちょいっと描くだけで――ほいっと、この小屋まで帰って来られるんすからね!いやぁ、あんなスゲぇ魔法を作れるなんて、やっぱ親分の頭は別格っスよ!世の中の魔法使い全部まとめても、親分には勝てませんって!!」
「っ!!」
(こんなやつらが転移魔法陣を使える?)
魔法陣は魔道の知識がない者には使えないはずなのに、どうしてこんな奴が…。それにルシアン?という名前も、どこかで聞いたような気がする…。魔法の量産化というのも気になる。それがもし魔道具の事であれば、なぜアイツはそんなことを知っている?いろいろと聞きたいことがあるが、そもそも俺じゃあ返り討ちにあっておしまいだし、どうすればいい?父上や、せめて学校の先生がいてくれたら…。
「おいッ!!なんだこのガキは……誰かいるぞ!!こっちに来い!こいつは何者だ!!」
いろいろと考え事をしていた間に、2人組は小屋の鍵を開けて中に入っていくと、親分と呼ばれた人間が声をあげる。当然、中にいたフェリシアも見つかる。付き添いの男が慌てて中に入っていく。俺は窓の外に置いた木箱のところにそっと近づいて中の様子を見ることにした。
「……は、はぁ!?ちょ、ちょっと待ってくだせぇ親分……!さ、さっき俺が“かっぱらっちまえばいい”って話してたガキ……そいつが……もうここに転がってるじゃねぇっすか!!こ、こいつ……まさかのステラ・ブランシュ!な、なんだよこれ……運が向いてるってレベルじゃねぇっすよ、親分!!へ、へへ……こりゃあマジで天が味方してますぜ……!」
「こいつが件のガキ……ふん。だが理解できねぇな。どうして俺らしか出入りしてねぇこの小屋に無断で入れたっつーんだ??」
ギラついた鋭い目でパッチョと呼ばれた下っ端を睨みつける親分。その眼光に委縮したのか、震える声で言った。
「ひ、ひぃっ、ちょ、ちょっと待ってください親分!ほ、ほらオレたちがこの前、転移魔法陣の練習したとき、そのまま放置してたじゃないっスか!で、で、それにガキが触っちまって~~~ポンッてここに飛んだんじゃねぇっスか!?きょ、今日は町のガキどもが森で遊ぶ日とか聞いたし、親分だって来る途中に見たでしょ!? ちょろちょろ歩いてたの!!あ、あれっスよ絶対!」
「はぁ~ん…」
下っ端の説明を聞きながら親分と呼ばれる男はフェリシアの体、顔をジロジロと舐めるように見続けた。縛ってあった髪ゴムを小さなナイフで切ると、ポニーテールだった長い髪が床に広がり、銀色に輝いた。不謹慎ながらも、俺はそれを見て、キレイだと思ってしまった。
それにしてもガキの片割れ…フェリシア(アイツらはステラだと思い込んでるみたいだが)をさらって言う事を聞かせる…。ミアが言っていた人さらいか!!
そうすると、ステラかフェリシアを誘拐して、言う事を聞かせる人物…。少し思い出したぞ。ルシアン・ブランシュ。直接話したことはないが2人の父親で、王立魔術研究院の上級研究員の人だ。貴族などの階級はなくても、王国有数の魔術学者一族という事で特別階級を持っていたんだ。未来の魔道具発明にも大きく貢献しているに違いない。前世では話したことすらないから覚えていなかったけど、言われてみるとあの量産型転移魔法の開発者にルシアンって書いてあったような気がする!!
「なんだよこのガキ、ガキのクセにキレイじゃねぇか。こいつを手込めにするってなれば、ルシアン様も無視できねぇだろ。
転移魔法の件も“ご協力いただける”んじゃねぇの~?ふひひ……これで俺も一気に出世街道ってわけだ!ブランシュ家の敷居ぐらい、またげるかもしれねぇしなぁ!」
「さ、さすが親分!!ブランシュ家に近づくなんて、普通じゃ絶対できねぇ芸当っす!!もし親分がそこの席に就いたら……貴族と同じ身分じゃないっすか!!そしたらこの国も……いや、大陸ぜんぶ親分のもんも同然!!!やっぱり俺らの親分は器が違ぇ!!」
なんかとんでもないことをこいつら言ってやがる。だが、ここでこいつらの野望を打ち砕かないと、フェリシアは帰ってこない。どうしたらいい?ミアにこのことを話して、信用して助けになってくれるかもしれないが、ミアのところに戻っている間にこいつらがアジトというところにフェリシアを連れていったらその時点で二度とフェリシアとは会えなくなる。このまま突撃しても、子供の俺なんて瞬殺される。大声を出して叫び回って誰かが来るのを期待するか…。どうしたらこの場を切り抜けることができるんだ?
あれからほどなくして、俺は小さな山小屋を見つけた。あたりを警戒してみるも、人の気配はない。
誰かが使っている山小屋なのか、放棄されたのかわからないが、最近人の出入りがあったような形跡はある。古い小屋だが誰かが今も使っているようだ。
(中の様子が見られればいいんだけど…)
俺は周囲に警戒したまま、ゆっくりと山小屋へ近づき、入り口の部分を見てみると、扉には南京錠がくっついていた。どうにか取れない物か引っ張ったりしてみるも、びくともしない。
小屋の周りを1周すると、子供の身長からすると少し高いところに窓を見つけた。入口の所にあった木箱を持ってくれば小屋の中が見られそうだ。
俺は木箱を持ってきて小屋の中に視線を送ると、気を失って倒れているフェリシアを見つけた。
窓を手でコンコン、と叩くもフェリシアは起きない。
「フェリシア…おい!フェリシア起きろ!!」
小声で呼びかけるも、フェリシアは起きなかった。そうこうしているうちに、遠くから草をかき分けて歩いてくる人の音が聞こえた。俺は慌てて近くの茂みに身を隠して、小屋の様子を見ることにした。
(この小屋の持ち主か?…そうだとしたら、事情を説明してフェリシアを返してもらう?でもなんて言えばいい?同級生が転移魔法陣でここに転移された。とでもいうのか?7歳の子供が?怪しすぎるだろ)
結論、少し様子を見ることにした。少なくとも、来た人がまともな人であれば何かしらの方法でフェリシアを学校関係者に引き渡すだろう。この森でフィールドワークしていることは領内の人ならほとんど知っているだろうし。
「へへっ、親分。ちょいと“いい話”があるんですよ。ガキが2人、あいつには娘が一人いましてねぇ?そいつらをまとめて“かっぱらっちまえば”、あいつもビビっておとなしく言うこと聞くと思うんスよ。いやぁ、親分の計画にぴったりじゃないかと思いましてねぇ……へへっ。」
おいおい、聞こえてくる会話が物騒すぎるぞ。善良な村人Aが管理している小屋ってわけじゃなさそうだな。これは。
「……パッチョ。俺はな、この先“魔法”がもっと使いやすくなる時代が来ると思ってるんだよ。そのためには――ルシアンの知識が絶対に必要だ。あいつを無理やりでも机に縛りつけて研究させなきゃ、“魔法の量産化”なんて夢のまた夢だ。俺が教えたあの転移魔法……まだ試作品で、一個作るのに時間はかかる。だが――どうだ? 便利だろう?あれを量産できりゃ、俺たちはこの国の誰よりも先を走れる。だから……あいつの娘だろうがなんだろうが、手段は選ばねぇよ。利用できるもんはなんでも使え!」
「へへっ、そりゃもう親分!あの“転移の魔法陣”ってやつ、マジでとんでもねぇ代物ですよ。追っ手に囲まれようが、衛兵に捕まろうが、足元にちょいちょいっと描くだけで――ほいっと、この小屋まで帰って来られるんすからね!いやぁ、あんなスゲぇ魔法を作れるなんて、やっぱ親分の頭は別格っスよ!世の中の魔法使い全部まとめても、親分には勝てませんって!!」
「っ!!」
(こんなやつらが転移魔法陣を使える?)
魔法陣は魔道の知識がない者には使えないはずなのに、どうしてこんな奴が…。それにルシアン?という名前も、どこかで聞いたような気がする…。魔法の量産化というのも気になる。それがもし魔道具の事であれば、なぜアイツはそんなことを知っている?いろいろと聞きたいことがあるが、そもそも俺じゃあ返り討ちにあっておしまいだし、どうすればいい?父上や、せめて学校の先生がいてくれたら…。
「おいッ!!なんだこのガキは……誰かいるぞ!!こっちに来い!こいつは何者だ!!」
いろいろと考え事をしていた間に、2人組は小屋の鍵を開けて中に入っていくと、親分と呼ばれた人間が声をあげる。当然、中にいたフェリシアも見つかる。付き添いの男が慌てて中に入っていく。俺は窓の外に置いた木箱のところにそっと近づいて中の様子を見ることにした。
「……は、はぁ!?ちょ、ちょっと待ってくだせぇ親分……!さ、さっき俺が“かっぱらっちまえばいい”って話してたガキ……そいつが……もうここに転がってるじゃねぇっすか!!こ、こいつ……まさかのステラ・ブランシュ!な、なんだよこれ……運が向いてるってレベルじゃねぇっすよ、親分!!へ、へへ……こりゃあマジで天が味方してますぜ……!」
「こいつが件のガキ……ふん。だが理解できねぇな。どうして俺らしか出入りしてねぇこの小屋に無断で入れたっつーんだ??」
ギラついた鋭い目でパッチョと呼ばれた下っ端を睨みつける親分。その眼光に委縮したのか、震える声で言った。
「ひ、ひぃっ、ちょ、ちょっと待ってください親分!ほ、ほらオレたちがこの前、転移魔法陣の練習したとき、そのまま放置してたじゃないっスか!で、で、それにガキが触っちまって~~~ポンッてここに飛んだんじゃねぇっスか!?きょ、今日は町のガキどもが森で遊ぶ日とか聞いたし、親分だって来る途中に見たでしょ!? ちょろちょろ歩いてたの!!あ、あれっスよ絶対!」
「はぁ~ん…」
下っ端の説明を聞きながら親分と呼ばれる男はフェリシアの体、顔をジロジロと舐めるように見続けた。縛ってあった髪ゴムを小さなナイフで切ると、ポニーテールだった長い髪が床に広がり、銀色に輝いた。不謹慎ながらも、俺はそれを見て、キレイだと思ってしまった。
それにしてもガキの片割れ…フェリシア(アイツらはステラだと思い込んでるみたいだが)をさらって言う事を聞かせる…。ミアが言っていた人さらいか!!
そうすると、ステラかフェリシアを誘拐して、言う事を聞かせる人物…。少し思い出したぞ。ルシアン・ブランシュ。直接話したことはないが2人の父親で、王立魔術研究院の上級研究員の人だ。貴族などの階級はなくても、王国有数の魔術学者一族という事で特別階級を持っていたんだ。未来の魔道具発明にも大きく貢献しているに違いない。前世では話したことすらないから覚えていなかったけど、言われてみるとあの量産型転移魔法の開発者にルシアンって書いてあったような気がする!!
「なんだよこのガキ、ガキのクセにキレイじゃねぇか。こいつを手込めにするってなれば、ルシアン様も無視できねぇだろ。
転移魔法の件も“ご協力いただける”んじゃねぇの~?ふひひ……これで俺も一気に出世街道ってわけだ!ブランシュ家の敷居ぐらい、またげるかもしれねぇしなぁ!」
「さ、さすが親分!!ブランシュ家に近づくなんて、普通じゃ絶対できねぇ芸当っす!!もし親分がそこの席に就いたら……貴族と同じ身分じゃないっすか!!そしたらこの国も……いや、大陸ぜんぶ親分のもんも同然!!!やっぱり俺らの親分は器が違ぇ!!」
なんかとんでもないことをこいつら言ってやがる。だが、ここでこいつらの野望を打ち砕かないと、フェリシアは帰ってこない。どうしたらいい?ミアにこのことを話して、信用して助けになってくれるかもしれないが、ミアのところに戻っている間にこいつらがアジトというところにフェリシアを連れていったらその時点で二度とフェリシアとは会えなくなる。このまま突撃しても、子供の俺なんて瞬殺される。大声を出して叫び回って誰かが来るのを期待するか…。どうしたらこの場を切り抜けることができるんだ?
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