母の全てを送るまで

くろすけ

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東京の実家。居場所は誰も何処にもない

Sやんとの出会い

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ある夜、いつものようにアルバイト先におはよーございまーす!と出勤すると、レジにモヤシが立っていた。
そのモヤシはお客様を面倒そうにあしらい、接客の「せ」の字もわかっていないただの若モヤシだった。

個人的なら全然良い。
ただ、全国展開しているチェーン店でその接客はマズイ!!と急いでタイムカードを押し、レジのヘルプに向かった事を覚えている。

お客様にはこう接するんだよーとか、品出しは後入れ先出しだよーとか教えても、「あ、そっすか」くらいの反応でスカしていて当時の私はイライラした。
彼は当時高校卒業ホヤホヤの18歳、私まだ血気盛んな22歳の春の出会いだったと思う。
仕事に対してギャアギャア言ってくる私の事を彼も苦手だったと思う。

夜勤の人数は限られていたので、どうしたもんかな?と考えあぐねていた。

ある日Sやんが休みの日にちょっとした事件で、勤務先の店に来る事になる。

たまたま仲の良い派遣の人と私だけのシフトだったので、派遣の人にお店を任せて裏に入ってお話を聞いた。

話を聴くにつれて、あれ?この子めっちゃ芯があるじゃん?
へにゃモヤシじゃなくて芯モヤシやん!!!
と思った。

人を見かけで判断される事が大嫌いだった私が、寧ろ人の事を見た目で判断してしまい凄く反省した。

Sやんはその後アルバイトを先に辞めたが、その後に勤める事になるパチンコ店でも系列で働いていたり。
何なら「僕2丁目で働こうと思ってるんです」といきなりメールが来て、「悪い事は言わないから辞めておきな。酒飲めないでしょ?それに身体壊すだけだよ」と私の事は全然カミングアウトしてないのだが、何故かその後も職場が被る事が多く。

なんだかんだと腐れ縁が続き、ちょっとした私の節目でカミングアウトした時のあのビックリした顔は忘れられない。
Sやんなら最初から話してもわかってくれただろうに、黙ってて本当ゴメンね。

私はシゲの件から名前を変えて、今の名前になってからずっとアルバイト先で自分の事は明かさなかった。
ただの頑固者だと思われそうだが、男として生きていくスキルを実践で身につけたかったのだ。
お陰様でバレる事もなかったし、勘付かれる事もなかった。

他のネタバレだが、ここ5年くらいかな?
Sやんはもう1人の友人も含め正月の挨拶も兼ねて、祖母も交えて一緒にすき焼きを食べたり、カラオケに一緒に行ったりしてくれた。

亡き祖母にも線香をあげに来てくれて本当にありがとう。
これからもずっと宜しくな!!
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