母の全てを送るまで

くろすけ

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東京の実家。居場所は誰も何処にもない

転移と坊主と断食と

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大変な手術をしたが、母は術後少しずつ経口摂取も増えて、徐々に元気を取り戻していた。
退院後にも何度も病院に通い、検査をしても特に転移などなく、暫くは経過観察だった。

忘れてしまったが3ヶ月か6ヶ月検診だったかな。
その経過観察の際になんだか怪しいものが見つかって、また検査入院になってしまった。

検査の結果、ガンの転移が発覚し、また母と私の闘病生活が始まる。

転移した場所が手術が難しい、かつ大きな手術をした後なので抗がん剤でガンを叩くと言う治療だった。

抗がん剤を使用すると髪が抜ける。
そして食事制限も出てくる。

母は事前にハゲても大丈夫なように、抗がん剤治療で入院する前にウィッグを用意していた。
私は母の髪が抜けてしまう前に、いや寧ろ母の入院日に先に頭を丸めた。
「あれ?俺の方が早く抜けちゃったなーあはは!」
と言い病室に入ると、母は目を丸くして「あんたはそんな事しなくていいの。でも坊主も似合うのね」
と言ってくれた。

母が治療の為にご飯を食べられない時は、私も食べなかった。
痩せ細っていく私に対して母は
「私の治療に付き合ってたら健康なあんたまで身体壊すでしょ!食べなさい!!」と怒った。
母の気持ちもわかるが、私はそんな気になれず、治療中の母の前では一切物を口にしなかった。

その後も色んな抗がん剤を使用したり、ガンに効くと言う色んなラジウム温泉に行ってみたり、当時知りうる医療だけではなくあらゆる民間療法も試してみて、余命半年宣言を受けていた母は2年も長く、元気に過ごしてくれた。

当時父や弟に対する家庭内や、付き合っていたMとは色々あったが、私としては産んでくれた母が第一優先で、出来る限りの時間を母に費やした。

し、それが当たり前だと思っていたし、自由な生き方を尊重してくれた母に対する最大限の親孝行だと思っていた。
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