母の全てを送るまで

くろすけ

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東京の実家。居場所は誰も何処にもない

母とM

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私がMと付き合い出したのは、母が具合が悪くなる前だった。
付き合って間もない頃、初めて母とMを会わせた時に、何となく今までに感じた事のない違和感を私は感じた。
タイプが違うからかなー?でもなんかおかしいなー?と思いながら過ごしていた。

私の膀胱が破裂する寸前までトイレに立たなかったのだが、もうこれは生理現象で仕方ないと思っている。
私がトイレにいる間に母はMに対して
「生半可な気持ちで付き合ってるなら別れて欲しい。あの子は大阪の子の件で凄く傷ついてる。」
と言ってしまったらしい。
Mは
「別れる別れないは2人の問題で、あなたに言われる筋合いはない」
と言ってしまったらしく…。

私の膀胱がもっともっともーーーっと強靭であれば、初対面なのにこんな修羅場にはならなかったと思う。

母の病気が発覚した際に、Mにその話をし母の余命が少ないからこそ、余計な心配をかけたくないから嘘でもいいから母に謝って欲しいとお願いした事がある。
母は病気だけでも大変なのに、余計な心配をかけさせたくなかったのだ。

当時の父の借り上げ社宅はオートロック先にロビーと言うか、お話が出来るソファーがあったので、Mと合流したのが夜22時頃なのもあり、鍵は勿論持っていたがインターフォンで母を呼び出す事にした。
「ゴメンだけど、何も言わずにロビーまで降りてきてくれない?」
と言い、ロビーで2人で待っていた。

数分後、母はなんと!
果物ナイフを胸に認めてロビーに登場した。
どうやら俺が変な事に巻き込まれて、変な奴らと共に乗り込んできたと勘違いをしていたようだ。

当然だがそんな事ではなく、Mが謝りたいから連れてきた旨を伝えると、認めていた果物ナイフをロビーの机に置いた。

俺がお願いした事でMの本心では全くないが、「言い過ぎました。お母さんの気持ちを考えずに失礼な事を言ってしまいごめんなさい。」と謝って貰う事で母も少し安心してくれたと、本当にエゴだと思うが思っている。

母や祖母の病気が発覚する前までは、1週間くらいかけて下道でひたすら走って私が育った所に連れて行ったり、本当に好きな相手だったので休みやお金の全てをMに捧げていた。
その頃はとっても上手く行っていたが、祖母や母の病気が見つかり動ける人間が私しか居なかったので、Mと会う時間も一緒に母のお見舞いだったりMには随分我慢をさせていたと思う。

ある日、仕事帰りに母の面会を終えて帰路に帰る時に1通のメールが来た。
それは当時カップル同士で仲良くしていたFTMの連れからであり、そこには「あんまり家族ばっかだとお前Mに捨てられるぞ」と書いてあった。

ちょっと意味がわからないので、家族事情を話してあるMにストレートに聞いてみた。
すると「母については可哀想だが、私と母、どっちが大事なの?!」と言われ
当時の私は何も言い返せなかった。

母や祖母が元気なら、間違いなく
「Mが大事に決まってるやん!!」
と言えるが、病気、更に余命宣告されていたらそんな事は言えなかった。

それに我慢させて申し訳ない気持ちは今もあるが、まさか事情を話しているのにそんな事を言われるとは思ってもいなかった。

思い返してみて、母とMは考え方そのものが合わなかったし最初に何となく感じた違和感はそう言う事なのかなと。
その後に何度か会わせてもその溝が埋まる事は決してなかった。

あの時にMではなく、母を優先した事を今でも私は後悔していない。
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