母の全てを送るまで

くろすけ

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祖父の死

猫のキリちゃん

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キリちゃんは、本当女子っっって感じの気高い猫だった。

弟がまだ小学校に上がる前に、近所にいた野良ちゃんをそのまま弟が家に連れて来た。

既出かもしれないが、それからは私と母がメインで面倒を見る事になるのだが、私は進学等で先に家を出る事になる。

父の転勤が決まり、転勤先はペット不可との事で母は保健所にキリちゃんを連れて行こうとする。
その場で止めてくれたのは祖母だった。

当時母と祖父母は一緒に住んでいて、父の転勤を機に離れて暮らす祖父母の家もペット不可だったが、祖母がキリちゃんを守ってくれた。
「なんて酷い事をするの!!この子は何も悪い事してないんだから、そんな理不尽な事はしちゃ絶対ダメ!!」

…多分こんな事を話してくれたと思うんだが、実際立ち会っていないから詳細はわからない。
でもやはりペットを飼うのは家族と同じだし、自分に不都合があったら保健所とかではなく、まずは里親募集をするなり色々な方法はあったと思う。

今私は嫁と共に地域の里親募集のお手伝いをさせて頂いていて、だからこそ母は当時知らなくてどうしようもないから保健所に連れて行こうと思ったのかな?と思うようにしたい。

祖母に引き取られたキリちゃんは祖母に凄く懐き、特に大きな病気もなく、祖父が亡くなってからも祖母を見守ってくれて17歳の天寿を全うした。

キリちゃんと一緒に寝たり、一緒に遊んだのは私だがもう妙齢のキリちゃんは覚えていないようで私に対してはいつも「フーーーーーーっっっ、シャァァァァ」だった。

そんなキリちゃんだったが、キリちゃんが居なかったら祖母はもっと生き甲斐がなかったと思うし、本当に感謝している。
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