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中学生編
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あっという間に夏が過ぎ。
秋も深まるこの頃。
文化祭の季節である。
第二の関門となる文化祭としては、選ぶ場所ととセリフの選択肢をどれにするかによって、各キャラへのルートが確定していく。
場所の選択肢としては。
蓮琉くんは教室。二葉くんは校庭。三田くんは音楽室。四楓院先輩は廊下だったように思う。
例えば教室を選択すると、主人公であるお兄ちゃんが教室にいき、そこには蓮琉くんがいて、蓮琉くんとの文化祭ストーリーが進んでいくのだ。
今回は、2人の関係が恋愛へと発展していく布石となるということで、少し胸キュンな話が盛り込まれていたように思う。
部屋で宿題をしていると、お兄ちゃんが私の部屋にいきなり入ってきた。そして、いきなりベッドにダイブして、しばらく無言でいたが、やがて小さな声で話しかけてきた。
「花奈。明日は文化祭来るのか?」
「うん。お母さんと行くよ?」
「あ~ほら、お前の友達は来ないんだよな。……侑心とか」
「二葉くんはその日剣道の試合が入ったんだって。行けないから、残念がってたよ?」
お兄ちゃんは、あからさまにほっとした顔をしたが、すぐに、苛立ったように声をあげた。
「そっか。来ないか。あの姿を見られなくてすむな。……あ~っ!ちくしょうっ!何でなんだよ?!」
「お兄ちゃん?どうしたの?」
イライラした声に、私は宿題をしていた手を止めてお兄ちゃんを見た。
あれ。お兄ちゃんがベッドにいない。
先程まで不貞腐れたように私のベッドに寝転んでいたお兄ちゃんは何故か今、毛布にくるまって部屋の隅にまるまっていた。
毛布の隙間から目がギョロリとのぞいていて、少し怖い。
「俺明日休むから。」
「明日は文化祭だよね。休んで大丈夫なの?」
「…………。」
兄がここまで憂鬱になっているのには理由がある。
明日、兄は女装するのだ。
兄のクラスは文化祭のプラネタリウムをするらしいのだが、その呼び込みとして、アイドルのような衣装を着るらしい。衣装を見せてもらったが、レースがふんだんに使用されたかなり可愛らしい服だった。お兄ちゃんはそれを憎々しげに見つめていたが。
兄はそれが嫌でたまらないのだろう。
数日前から家でも鬱々としており、今日に至っては毛布の中にまるまってしまっている。
「なんで、俺なんだよ。柴崎がすればいいじゃねえか。あいつの方がやりたがってたのに。」
私は兄の口からでてきた名前にピクリと反応した。
柴崎蓮。
確か、先輩ルートにでてくる妨害キャラのはずだ。
どちらかというと、女性的な容姿。
四楓院先輩のことが大好きで、先輩に気に入られているお兄ちゃんのことを敵視している。
確か文化祭ルートでは、兄を妨害するためにいろいろと画策していたはずだ。
彼の名前が兄の口からでるということは、いま彼が兄の人生にすでに関与しているということで。
(え……っ?もしかしてお兄ちゃんは今、先輩ルートなの?)
私はその場で立ち上がってお兄ちゃんを見た。
いきなり動いた私にはお兄ちゃんはビクリと体を震わせた。
前世の私がしていたこのBLゲームにはバッドエンドというものが存在した。
各ルートにそれぞれ用意されていたが、先輩ルートでは文化祭の時から分岐していたように思う。お兄ちゃんに嫉妬した柴崎が文化祭で女装しているお兄ちゃんを仲間に襲わせる輪姦エンドとかあったような気がするのだ。このゲームの中でもワーストワンに入るくらいの最悪エンドだったと思う。
(ええっ。どう動いたらバッドエンドのルートに入るんだっけ?お兄ちゃんが危ない?)
私は頭が真っ白になった。
もし、すでに先輩ルートに入ってたらどうしよう。
蓮琉くんに……相談するわけにもいかないよね。
この世界がBLゲームの世界で、お兄ちゃんが危ないなんて、いくら蓮琉くんでも信じられないと思う。
私に何ができるのかな。
どうしたらいいのかな。
「おい、花奈?どうした?」
いつの間にか泣いていたらしい私のところに、お兄ちゃんが毛布を投げ捨てて慌ててとんできた。
「お兄ちゃんが、危ないめにあったらどうしよう。花奈、なにもできないよ。」
「……?」
私は意味不明のことを言っていたと思う。
お兄ちゃんは泣きじゃくっている私をぎゅっと抱きしめると、そのままぐずっている幼い子供をあやすように膝に抱き上げてベッドの端に座った。
「花奈、俺ってけっこう強いんだぞ?」
「相手がもし集団で襲ってきたら?屈強な人たちに押さえつけられて体育館倉庫に連れていかれたりしたら、お兄ちゃん1人だったらやりかえせないじゃない。」
「う……。なんだその具体的な想定は。花奈、いきなりそんなこと言うなんて変な小説でも読んだのか?もう忘れろよ、そんなの。大丈夫だって。そんな奴いたら、俺がぶっ飛ばしてやるから。こんな外見でも意外に強いんだぞ?」
それはゲームの中の話で、もしかしたら私たちの現実になるかもしれないんだよ、なんて言えるはずもなく。
私はお兄ちゃんにぎゅっとしがみついた。
華奢そうに見えて、実はしなやかに鍛えあげられた身体の兄は、私を抱えていてもゆるがない。やっぱり兄も男のひとなんだなあ、と思う。
でもやっぱり心配だ。
そうだ。明日の文化祭は出来る限りお兄ちゃんを守ろう。
危なくなりそうだったら、誰かに助けを求めに走ればいいよね?
そう心に決めた私は、お兄ちゃんにぎゅっと抱きついた。
(お兄ちゃん、絶対に守るからね?)
優しく頭を撫でてくれるお兄ちゃんの手に、私は意識がぼんやりと遠のいていくのを感じてゆっくりと目を閉じた。
「もしそんな奴がいたら、ボコボコにして返り討ちにしてやるしな。花奈もなんかあったら言えよ?……花奈?寝たのか?泣きつかれて寝るなんて、小さい子供みたいだな。」
そんな話をしていたのがつい昨日だった。
はずなのに。
どうしてこうなった?
「あのさあ、君、四楓院様とどういう関係なの?」
お兄ちゃんの高校の文化祭。
お兄ちゃんを守る!と心に決め、今日に臨んだ私は今、階段の踊り場で何故か壁に押し付けられている。
目の前にいるのは柴崎蓮。
もう1度言おう。
どうしてこうなった?
秋も深まるこの頃。
文化祭の季節である。
第二の関門となる文化祭としては、選ぶ場所ととセリフの選択肢をどれにするかによって、各キャラへのルートが確定していく。
場所の選択肢としては。
蓮琉くんは教室。二葉くんは校庭。三田くんは音楽室。四楓院先輩は廊下だったように思う。
例えば教室を選択すると、主人公であるお兄ちゃんが教室にいき、そこには蓮琉くんがいて、蓮琉くんとの文化祭ストーリーが進んでいくのだ。
今回は、2人の関係が恋愛へと発展していく布石となるということで、少し胸キュンな話が盛り込まれていたように思う。
部屋で宿題をしていると、お兄ちゃんが私の部屋にいきなり入ってきた。そして、いきなりベッドにダイブして、しばらく無言でいたが、やがて小さな声で話しかけてきた。
「花奈。明日は文化祭来るのか?」
「うん。お母さんと行くよ?」
「あ~ほら、お前の友達は来ないんだよな。……侑心とか」
「二葉くんはその日剣道の試合が入ったんだって。行けないから、残念がってたよ?」
お兄ちゃんは、あからさまにほっとした顔をしたが、すぐに、苛立ったように声をあげた。
「そっか。来ないか。あの姿を見られなくてすむな。……あ~っ!ちくしょうっ!何でなんだよ?!」
「お兄ちゃん?どうしたの?」
イライラした声に、私は宿題をしていた手を止めてお兄ちゃんを見た。
あれ。お兄ちゃんがベッドにいない。
先程まで不貞腐れたように私のベッドに寝転んでいたお兄ちゃんは何故か今、毛布にくるまって部屋の隅にまるまっていた。
毛布の隙間から目がギョロリとのぞいていて、少し怖い。
「俺明日休むから。」
「明日は文化祭だよね。休んで大丈夫なの?」
「…………。」
兄がここまで憂鬱になっているのには理由がある。
明日、兄は女装するのだ。
兄のクラスは文化祭のプラネタリウムをするらしいのだが、その呼び込みとして、アイドルのような衣装を着るらしい。衣装を見せてもらったが、レースがふんだんに使用されたかなり可愛らしい服だった。お兄ちゃんはそれを憎々しげに見つめていたが。
兄はそれが嫌でたまらないのだろう。
数日前から家でも鬱々としており、今日に至っては毛布の中にまるまってしまっている。
「なんで、俺なんだよ。柴崎がすればいいじゃねえか。あいつの方がやりたがってたのに。」
私は兄の口からでてきた名前にピクリと反応した。
柴崎蓮。
確か、先輩ルートにでてくる妨害キャラのはずだ。
どちらかというと、女性的な容姿。
四楓院先輩のことが大好きで、先輩に気に入られているお兄ちゃんのことを敵視している。
確か文化祭ルートでは、兄を妨害するためにいろいろと画策していたはずだ。
彼の名前が兄の口からでるということは、いま彼が兄の人生にすでに関与しているということで。
(え……っ?もしかしてお兄ちゃんは今、先輩ルートなの?)
私はその場で立ち上がってお兄ちゃんを見た。
いきなり動いた私にはお兄ちゃんはビクリと体を震わせた。
前世の私がしていたこのBLゲームにはバッドエンドというものが存在した。
各ルートにそれぞれ用意されていたが、先輩ルートでは文化祭の時から分岐していたように思う。お兄ちゃんに嫉妬した柴崎が文化祭で女装しているお兄ちゃんを仲間に襲わせる輪姦エンドとかあったような気がするのだ。このゲームの中でもワーストワンに入るくらいの最悪エンドだったと思う。
(ええっ。どう動いたらバッドエンドのルートに入るんだっけ?お兄ちゃんが危ない?)
私は頭が真っ白になった。
もし、すでに先輩ルートに入ってたらどうしよう。
蓮琉くんに……相談するわけにもいかないよね。
この世界がBLゲームの世界で、お兄ちゃんが危ないなんて、いくら蓮琉くんでも信じられないと思う。
私に何ができるのかな。
どうしたらいいのかな。
「おい、花奈?どうした?」
いつの間にか泣いていたらしい私のところに、お兄ちゃんが毛布を投げ捨てて慌ててとんできた。
「お兄ちゃんが、危ないめにあったらどうしよう。花奈、なにもできないよ。」
「……?」
私は意味不明のことを言っていたと思う。
お兄ちゃんは泣きじゃくっている私をぎゅっと抱きしめると、そのままぐずっている幼い子供をあやすように膝に抱き上げてベッドの端に座った。
「花奈、俺ってけっこう強いんだぞ?」
「相手がもし集団で襲ってきたら?屈強な人たちに押さえつけられて体育館倉庫に連れていかれたりしたら、お兄ちゃん1人だったらやりかえせないじゃない。」
「う……。なんだその具体的な想定は。花奈、いきなりそんなこと言うなんて変な小説でも読んだのか?もう忘れろよ、そんなの。大丈夫だって。そんな奴いたら、俺がぶっ飛ばしてやるから。こんな外見でも意外に強いんだぞ?」
それはゲームの中の話で、もしかしたら私たちの現実になるかもしれないんだよ、なんて言えるはずもなく。
私はお兄ちゃんにぎゅっとしがみついた。
華奢そうに見えて、実はしなやかに鍛えあげられた身体の兄は、私を抱えていてもゆるがない。やっぱり兄も男のひとなんだなあ、と思う。
でもやっぱり心配だ。
そうだ。明日の文化祭は出来る限りお兄ちゃんを守ろう。
危なくなりそうだったら、誰かに助けを求めに走ればいいよね?
そう心に決めた私は、お兄ちゃんにぎゅっと抱きついた。
(お兄ちゃん、絶対に守るからね?)
優しく頭を撫でてくれるお兄ちゃんの手に、私は意識がぼんやりと遠のいていくのを感じてゆっくりと目を閉じた。
「もしそんな奴がいたら、ボコボコにして返り討ちにしてやるしな。花奈もなんかあったら言えよ?……花奈?寝たのか?泣きつかれて寝るなんて、小さい子供みたいだな。」
そんな話をしていたのがつい昨日だった。
はずなのに。
どうしてこうなった?
「あのさあ、君、四楓院様とどういう関係なの?」
お兄ちゃんの高校の文化祭。
お兄ちゃんを守る!と心に決め、今日に臨んだ私は今、階段の踊り場で何故か壁に押し付けられている。
目の前にいるのは柴崎蓮。
もう1度言おう。
どうしてこうなった?
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