背徳の海に舞うナリラ

菜種K

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第一章

5.親友(とも)の痴態

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 そして、収穫祭の日がやってきた。
 
 神殿の中庭で女神への舞いの奉納を終えたナリラは、祭りで祈祷をあげる神官の伴として島の本村に向かった。
 
 広場で神官が収穫祭を祝福する祈祷を終えると、ドラムの音が鳴り響き、祭りは一気に解放的な雰囲気に包まれた。

 燃え盛る炎を囲み、人々が楽しげに踊りや歌に興じ始める。
 
 槍を振り上げ、足を踏み鳴らす戦士たち。
 炎のついた棒を巧みに振り回しながら踊る男たち。
 豊かな体を大きく揺らし、太ももを惜しげもなくさらしながら舞う娘たち──

 神官トルリルがナリラに告げた。
「私は、酋長の宴に呼ばれている。今夜は戻らないから、神殿の留守を頼むぞ」
 
 トルリルと別れたナリラはノルシラに会えないかと広場を探したが、どこにもいなかった。

 ドッドッドッドッ……ドッドッドッドッ……
 
 ドラムの音は、ナリラの心を煽るように強く震えた。
 やがて日が傾き、祭りの雰囲気に飲み込まれないうちにと、巫女は神殿への帰路についた。
 
 夕闇迫る神殿への道は祭りの喧騒とは打って変わって寂しかった。
 
 祭りの踊りはまだ続いていて、ドラムの音が波音に混じりながら響いてくる。

 ドッドッドッドッ……ドッドッドッドッ……
 
 浜辺に沿ったその道すがら──
 ナリラはふと、入江の岩陰に動くものを見つけた。
 
 砂浜に横たわって蠢く、数人の人影。

 若い女の嬌声が響き渡り、ナリラは何を目にしているのかを悟った。
 何組かの若い男女が裸になり、激しく情を交わし合っているのだ。

「──!」

 だめ……だめ……見てはだめ……!
 巫女は首を振りながらその場を離れようとしたが、どうにも足が動かない。

 ドッドッドッドッ……ドッドッドッドッ……

 くんずほつれつしながら絡み合う褐色の体。
 そのうちの一人の女が、笑いながら体を起こし、四つん這いの姿勢を取った。
 長い黒髪とたわわな乳房が大きく揺れる。

「ノルシラ……」
 
 その娘はナリラの親友だった。
 一人の若者がその背後から覆い被さり、娘の胸を揉みしだきながら勢いよく腰を尻に打ちつけた。

「はぁあうあああぁああ!」

 ノルシラは絶叫し、恍惚の表情を浮かべながら、激しく自分を責め立てる若者の名を呼び「もっと! もっと!」と求め続けた。

 ナリラは聞いていた話を実際に見せられた衝撃に立ちすくんだ。
 抱いてもらうと言ってはいたが……あんな風に、獣のようにまぐわうなんて!
 
 ノルシラの頭が激しい律動に合わせて上下し、髪が汗に濡れた顔に張り付く。

 その髪の隙間から、黒い瞳がナリラを見た。
 自分が見ていることに気づいた──

 ノルシラは笑った。
 悦びの叫びを挙げながら。

 ナリラにはその叫びがはっきりとした言葉に聞こえるようだった。

 見て! 見て! 愛されている私を見て!
 可愛がられている私を見て!
 素敵でしょう!
 男に愛されるって素敵でしょう!

 あなたも……!
 
 やがて若者が獣のような咆哮をあげて、娘の腰を抱えてのけぞった。
 ノルシラの叫びが咆哮に呼応する。

「ああぁぁああぁっ!」

 ナリラの友は「ふうぅぅうぅ」と大きく息をつき、褐色の尻を高々と突き上げたまま砂浜に突っ伏した。
 若者はその尻を撫でながら体を離し、立ち上がった。
 その時、彼の腰蓑を割って──
 恐ろしく大きなものがいきり立っているのをナリラは見た。

 大きい。
 本当に大きい。
 想像していたよりもはるかに──

 若者はかたわらに置いてあった竹筒から酒を一口含むと、ノルシラの体をひっくり返し、正面を向かせた。
 自分の腰蓑をはぎ取り、燃えたぎるそれをむき出しにして娘の腹の上に覆い被さっていく。

「あぁああぁふうぅうう!」

 ナルラはよろよろと振り返り、神殿へつづく坂道を一目散に駆け上がった。

 ドッドッドッドッ……ドッドッドッドッ……

 なんてこと!
 巫女の分際であんなものにじっくり見入ってしまうとは……!

 だめだめだめ!
 忘れなければ!

 しかし、いくら忘れようとしても最後に見たあの恐ろしいものの姿が脳裏から消えなかった。
 無理だ……!
 あんなものを体の中に、自分の未熟な体に迎え入れることなんてできない。
 引き裂かれるような感覚を想像しただけで体が震えだす。

 一生、処女おとめでいよう。
 巫女として、一生女神様にお仕えしよう。

 清めなければ。
 神殿へ帰って神官様に清めの儀式をしてもらい、女神ムロシャラの赦しを得なければ。

 だが神官は今夜帰らない。
 
 仕方がない。
 明日、神官様がお帰りになったら、すぐ儀式をお願いしよう。
 もしかしたら、その後罰を受けるかも……謹慎くらいで済めばいいのだが……。
 
 しかし、すでに手遅れだった。
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