まったり異世界観光 ~観光チートで異世界を楽しみつくす~

にしん

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「さて、そろそろ作業をはじめようか」
「「「はいっ」」」

食後のティータイムも終わり、午後の作業を開始する。
ここからはお互い真面目モードだ。

「まずは山頂で御神体である精霊岩にお参りから。これはよろしくお願いしますの挨拶みたいなものだね」

山頂にはこの山を守護する精霊の御神体とされる大きな一枚岩がある。この山の上層で活動するなら、挨拶にいくのが、古くからの慣わしである。

「お供え物は持っていきますか?」
「いや、それは清掃したあと、簡易的な儀式をしたうえで祠の方に奉納するから、山頂には何も持ってかなくていいよ」
「了解です」

一応、山頂の御神体はシンボルであって、下界との窓口としての機能は祠とかそういう設備の方が担当するというのが、界隈の公式見解となっている。
なお本来の理由は、かつて神秘と意志疎通が可能なレベルの超越者が、お供え物を消費するのに野晒しよりも保存状態がいい方が望ましいという神秘側の意見を汲んだ決めたのだという。これオフレコね。
奉納したお供え物はちゃんと、いつの間にかどこかに消えているからね。ちゃんと消費されているのだろう。

「じゃあ、登る前にまずは身体を清めるよ。【浄化】は使えるかな?」
「使えます」
「大丈夫です」
「つかえなーい」

【浄化】とは文字通り、対象の汚れや穢れを除き浄化する魔法である。
野外で活動する冒険者にとってあったらうれしい便利な魔法だ。
三人のうち、マリーとナツメは使えて、カリンは使えないようだ。
まぁパーティで一人使えれば十分なので、特に問題はない。

「じゃあちょうどいいね。【浄化】無いときの清め方を教えるから、やってみようか」
「えー、ナツメにかけてもらえばいいんじゃないの?」

手間が増えるのが面倒なのか、カリンが疑問をていする。

「基本的にはそれで構わないけどね。いつか君らが教える立場になったとき、後輩たちが【浄化】使えないときは教えてあげる必要があるでしょ? そのときのためにきちんと作法を身に付けておこう」
「はーい」

納得してくれたようだ。


「まず、清めた水を用意します。ここの場合は霊地で汲んだ水で十分だけど、無い場合は普通の水に教会とかで手に入る聖水を数滴垂らしてね」

ここでは、本当に水質がきれいかどうかよりも「清めた」という過程が重要。
霊地の水は常に穢れを祓って「清めて」いる水という認識。

「手首、足首、首もと、首裏、へその5ヶ所を、水に浸した布で拭いてい
く。布はできるだけきれいなやつ用意してね」

ゴブリンの腰布とかは絶対やめとけよ。ばっちぃから。
なぜ、こういうことをやるのかというと、
人体の中でこの5ヶ所は、空気中の魔力を吸収する器官がある場所であり、魔孔と呼ばれている。
そのため空気中の魔力の中に含まれる微量の穢れがここに残るといわれている。
これをきれいに清めることで、穢れを祓ったということになる。
はるか昔から伝わる伝統的な作法である。
色々研究が進んだ現在では、必ずしも正しい理論とは言えないのだが、神秘側がこのコミュニケーション手段を認識しているので、今さら改めることもできないのである。

「ひゃっ、つめたーい」
「我慢だよ。カリン」

こちらの指示通りに、濡らした布でカリンを清めていくマリー。

「あっ、一応、これは儀礼的なやつだから、本当にきれいにする必要はなくて、直接地肌を拭かなくても大丈夫だよ」
「もー、はやくいってよー。ブーツぬいじゃった」

秋口の高所でちょっと寒いぐらいの気温、その中で無駄に素足になったカリンがブーたれる。

「ごめんごめん、ちょっと言うのが遅かったな。でも直接のほうが実際の正しい作法ではあるから、そのままやって問題ないよ」
「わかりました!」
「うにゃー!? だからつめたいって、マリー」
「あのサイトさん。他に気をつける点はありますか?」

騒ぐ2人を余所に、メモをとっていたナツメが聞いてくる。
うん、勉強熱心なのはいいことだね。
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