まったり異世界観光 ~観光チートで異世界を楽しみつくす~

にしん

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◆◆◆

「ナツメ、サイトさんがなんて言っているか、解る?」
「解るわけないでしょ、おそらくあれは上級魔法言語のいずれかです」

多少魔法の勉強をしているナツメは、かろうじて神秘を伴った言語ということは解るがそこまで。

「上級って、アカデミーの学者とかしか使えないやつだよね? 」
「えぇ」
「モトキって言ってたけど、少なくとも食いつめて冒険者やってるような庶子じゃないよね」

モトキとは元貴族の略語。成人して、貴族籍を抜かれたものをさす。
モトキの質はピンキリで、ある程度の武芸や教養を身に付けて独立するものもいれば、貴族とは名ばかりで読み書きのあやしいものもいる。
貴族の子の教育は、それぞれの家の裁量に任されているため、跡継ぎにのみ注力して他は何もしないなんて家もあるのだ。

「魔法だって、宮廷魔導師って言われても疑われないくらいの腕前ですよ」

ナツメの声には、どこか畏怖のような感情が含まれていた。

「ははっ、すげーひかってる」
「私でも解るくらい、精霊の気配も、濃くなっていますね」

霊地と共鳴したサイトの身体が、神々しい光を放つ。こんな現象はほぼほぼあり得ないレアな現象だ。

「何言ってるかはわからないけど、何となく会話出来てる感じしない?」
「まさか。そんなことできる人なんて、聞いたことありません」

でも、この光景を見てると、そんな気がしてくる。

「……サイトさんって、もしかしてヤバい?」
「少なくとも、私たちのような若手と仕事するようなレベルではないですね」
「でも、やさしいよ?」
「えぇ。それもひっくるめて、私たち、すごい幸運でしたね」
「ミク姉に感謝だね」

「てかさー、ミク姉は絶対サイトさんのこと、ねらってるよね?」
「それな」
「昨日のサイトさんを見る眼が、狩人の顔でしたわ」
「ミク姉もけっこういいトシだからねー」
「カリン、ひどっw ミク姉に言っちゃおうかな~」
「ちょっ、それはなしでしょ? マリーもナツメもわらってるじゃん」
「別に笑ってないって~」
「そうですわ。ただ少し心配していただけです」

女三人寄れば姦しい。怖い地元の先輩を肴に話は盛り上がる。

「でも、確かにサイトさんは優良物件だよね」
「王都暮らしで貴族の出、身なりもキチッとしてるし、顔もイケメン」
「おかねももってそう」
「魔法使いとしての実力も確かです」
「もう、優良物件通り越して、城じゃん」
「でも、どくしんだってー」
「30前だっけ? あれだけのスペックで結婚してないってことは、結婚する気ないか、酒飲んで殴るかでしょ」
「確かに」
「かくしごぐらいは、いるかも」

この世界の結婚は早い。学校卒業したらだいたい結婚だし、25歳前にはみんな子持ちだったりする。

「まぁ好きで冒険者みたいな暮らししてるって時点で、けっこう……」
「ミクねぇはうまくいったら、ついてくのかな?」
「いや、それはないんじゃないです? あの人、地元が大好きですし」
「そしたら、遠距離恋愛?」
「というか、……げんちづま?」

世界中を巡る冒険者が、その土地土地で女をつくるのは、まぁよくあること。

「まぁ、サイトさんぐらい稼げるなら、それもひとつの選択肢、ですが」

三人が生まれ育ったケーラルは田舎なため、片方が一年の大半をマゴットあたりで出稼ぎする家庭も珍しくない。

「というか、スゴいよね。ウチらの1月分の稼ぎぐらいをさらっと稼いじゃうし。上級冒険者並でしょ?」
「その上、安定的な本業もありますしね」
「わたしらも、ねらう?」
「「……」」



「ていうか、すでにマリーはあやしい」
「ちょっ、なんでよ!」
「だって完全にタイプじゃん」
「確かにマリーは、都会的で大人な男性に惹かれる傾向がありますね」
「 別にそんなことないってば」
「……あやしい」

「というかナツメだって、サイトさんに魔法教わってるとき、だいぶ目の色違ってたじゃん」
「っ!!そっ、そんなことありませんよ。ただ、先達に敬意をはらっていただけです」
「これは……、どうなの、カリン?」
「うーん、あやしい」
「あ、や、し、く、ない、ですっ!!」

「こうなったら、さんにんそろっていく?」
「何いってんのさ、カリン」
「そうですよ」
「でも、いっしょのほうがたのしそうじゃない?」
「そーいう問題じゃなくて」
「そもそもサイトさんに迷惑でしょ」
「わたしら、まだわかいし、けっこーかわいいよ?」
「というか、カリンはいいんですか? サイトさんとそーゆー関係になるの」
「ん? すきだよ。おかしもくれるし」
「もう、餌付けされちゃってた!?」
「みんなで、なかよくしよう?」

いつの間にやら話がとんでもない方向までいってるが、すぐそばでは話のネタにされている当の本人が、祈祷をしている真っ最中である。

「もう、この話ヤメヤメ。とりあえず今回はちゃんと依頼をこなすのに集中する」
「そうですね。サイトさんにも失礼ですし・・・」

「あっ、ひからなくなった!」
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