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第1部:新婚編 ~王子様は詐欺師?~
運命の人は平安貴族 ~求婚~
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「姫様、また文が届いておりますよ」
「きゃっ! 今度はどんなことが書いてあるの?」
平安時代に転生(?)してから数日。私の生活は、まさにバラ色だった。
転生先の体である「藤原道綱母」――長いからこれからは「私」でいいや――は、実家もそこそこ裕福な受領階級。何不自由ない生活の中で、私は今、人生最大のモテ期を享受していた。
相手は、藤原兼家。
右大臣の息子で、将来有望なエリート貴公子。
彼からのアプローチは、それはもう凄まじかった。現代で言えば、LINE爆撃なんて目じゃない。一日に何通もの和歌が届くのだ。
『私の心は燃え盛る炎のようです。あなたという水でなければ消せません』
『夢にあなたが出てきました。覚めないでほしいと泣きました』
くぅ~っ! 歯の浮くようなセリフも、達筆な筆文字と和歌のリズムに乗せられると、極上の愛の言葉に聞こえるから不思議だ。
現代の男子高校生に見習わせたい。スタンプ一個で済ませるな、和歌を詠め、和歌を!
「姫様、お返事はどうなさいますか?」
侍女がニヤニヤしながら筆を渡してくる。
「もちろん、書くわよ!」
私はサラサラと筆を走らせる。
不思議なことに、私の意識は「倉橋あかね」なんだけど、体にはこの時代の教養が染みついているらしく、勝手に風流な和歌がスラスラと出てくるのだ。チート能力最高。
『そんなにおっしゃるなら、私の心の扉も少しだけ開いてしまいそうです……』
みたいな、思わせぶりな返歌を送る。これを「焦らしプレイ」という。
平安時代の恋愛は、姿を見せずに和歌や手紙のやり取りだけで愛を育む。なんてロマンチックで、プラトニックなんだろう。
私が求めていたのは、まさにこれよ!
体目当てとか、とりあえず付き合うとか、そういう軽いノリじゃない。魂と魂の会話。
数日間の文のやり取りを経て、私は確信した。
この人(兼家)こそ、私が待ち焦がれていた白馬の王子様だと。
「結婚、お受けします」
私がそう伝えると、屋敷中がお祭り騒ぎになった。
そりゃそうだ。相手は大貴族の御曹司。玉の輿なんてレベルじゃない。
父上(藤原倫寧)も「よくやった!」と大喜びだ。
私も鼻高々だった。見てなさい、由佳里先生。先生は『蜻蛉日記』を「満たされない女の悲劇」なんて言ってたけど、私がその歴史を書き換えてやる。
世界一幸せな、ラブラブ平安ライフを送ってみせるわ!
……と、この時の私は、まだ知らなかったのだ。
平安時代の結婚が、そんなに甘いものじゃないってことを。
「きゃっ! 今度はどんなことが書いてあるの?」
平安時代に転生(?)してから数日。私の生活は、まさにバラ色だった。
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相手は、藤原兼家。
右大臣の息子で、将来有望なエリート貴公子。
彼からのアプローチは、それはもう凄まじかった。現代で言えば、LINE爆撃なんて目じゃない。一日に何通もの和歌が届くのだ。
『私の心は燃え盛る炎のようです。あなたという水でなければ消せません』
『夢にあなたが出てきました。覚めないでほしいと泣きました』
くぅ~っ! 歯の浮くようなセリフも、達筆な筆文字と和歌のリズムに乗せられると、極上の愛の言葉に聞こえるから不思議だ。
現代の男子高校生に見習わせたい。スタンプ一個で済ませるな、和歌を詠め、和歌を!
「姫様、お返事はどうなさいますか?」
侍女がニヤニヤしながら筆を渡してくる。
「もちろん、書くわよ!」
私はサラサラと筆を走らせる。
不思議なことに、私の意識は「倉橋あかね」なんだけど、体にはこの時代の教養が染みついているらしく、勝手に風流な和歌がスラスラと出てくるのだ。チート能力最高。
『そんなにおっしゃるなら、私の心の扉も少しだけ開いてしまいそうです……』
みたいな、思わせぶりな返歌を送る。これを「焦らしプレイ」という。
平安時代の恋愛は、姿を見せずに和歌や手紙のやり取りだけで愛を育む。なんてロマンチックで、プラトニックなんだろう。
私が求めていたのは、まさにこれよ!
体目当てとか、とりあえず付き合うとか、そういう軽いノリじゃない。魂と魂の会話。
数日間の文のやり取りを経て、私は確信した。
この人(兼家)こそ、私が待ち焦がれていた白馬の王子様だと。
「結婚、お受けします」
私がそう伝えると、屋敷中がお祭り騒ぎになった。
そりゃそうだ。相手は大貴族の御曹司。玉の輿なんてレベルじゃない。
父上(藤原倫寧)も「よくやった!」と大喜びだ。
私も鼻高々だった。見てなさい、由佳里先生。先生は『蜻蛉日記』を「満たされない女の悲劇」なんて言ってたけど、私がその歴史を書き換えてやる。
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……と、この時の私は、まだ知らなかったのだ。
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