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終章
別れと始まり
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桃太郎は3年程の月日をオニールで過ごし、オニール人に光を与えたのち、人々から惜しまれつつも、地球へと帰ることになった
帰るのは桃太郎、シータ、或右衛門と妻子、臣九郎とおよし…それからヒドラもだ
もちろん、ボロンゴ、プックル、チロルも一緒で、3体ともメンテナンスされ、バッテリーも交換してもらえた
桃太郎が地球を出た年齢は26歳
それから600日でオニールに渡り、3年滞在し、また600日かけて帰る
帰る頃には32歳になっていた
とは言え、ルーチェを持った桃太郎と、そのパートナーであるシータは外見が全く変わらない
だが、お雪と吾郎はさすがにもう若々しいとは言えない
お雪も吾郎も、この江戸の頃の平均寿命を迎えるような年齢であった
桃太郎は、2人が生きていてくれた事を泣いて喜んだ
お雪「ゲレちゃん…おママ寂しかったよぉ…グス…」
桃太郎「ごめんよ、おママ…ギュ…こんな痩せちまって…」
お雪「ゲレちゃん…スリスリ」
吾郎「ゲレちゃんもシータも変わらないなあ…」
シータ「パパスも細くなったね…」
吾郎「さすがになw」
桃太郎「ごめんな…一緒に居れなくてさ…でも、生きててくれて良かった…居ない間に死んでたらって…オイラはその事ばっかり気になってた」
お雪「おママだってゲレちゃんとシータに会えないまま死ぬのやだもん」
吾郎「だから健康には気をつけてたよ」
桃太郎「ありがと…ギュ」
シータ「ありがとう…グス…ギュ…」
桃太郎「これからはオイラもうどこにも行かないから…」
お雪「うんw…本当に生まれた時からずっと優しいねえw」
桃太郎「お互いさまだw…おママとパパスが優しいからオイラもそうなれたんだ…だからね、オイラは今回オニールの連中を助けられた…それはつまり、おママとパパスが助けたのも同じ事だ」
吾郎「全く…おめえって奴は…グス…自分の手柄くらい自分で誇ればいいものを」
お雪「本当よ~」
桃太郎「オイラにはそんなもんどうだっていい…おママとパパスとシータと、ボロンゴ、プックル、チロル…オイラに関わる奴らの笑顔の方がずっと嬉しい」
シータ「うん…ねw」
お雪「ほんと…ずっとずっとかわいい…グス」
或右衛門と臣九郎も米問屋に帰った
2人が居なかった期間に新しく用心棒が雇われていた
或右衛門「だんな…ただいま戻りました」
臣九郎「長いことすいませんでした…」
主人「おお…よくぞ無事で…グス」
或右衛門「…グス」
臣九郎「…グス…あの方は?」
見ると、見知らぬ浪人が2人働いていた
主人「ああ…2人が居ない間に雇った用心棒だよw」
或右衛門「そうでしたか…」
臣九郎「では我々はもう必要ありませんね…残念ですけど、また新しい口を探します」
或右衛門「でも、だんなやこの店への恩返しは必ずします」
主人「おいおい…早まっちゃいけないw…ずっと首を長くして待ってた私たちにそれは酷いではないか…」
或右衛門「で、では…」
主人「おかえりなさい、或さん、臣さん…やっぱりこのおたなには…目黒にはあんたらが居てくれないとねw」
臣九郎「…だんな…クゥ…グス…」
或右衛門「…うっ…うっ…グス…」
主人「これからも目黒の守り神でいてくれるだろう?」
或右衛門「はい!…グス」
臣九郎「もちろんです!…グス」
主人「良かった…グス…おみつやおよしも、働きたいのなら連れておいで?」
或右衛門「はい…本当に…何もかもいつもいつも…グス」
臣九郎「だんな、優しすぎるよ…グス」
主人「それは違うよw…或さんや臣さんほど優しくて頼りになる侍はどこ探したって居ないからさw」
2人は本当に江戸に帰れた事を幸せに思った
この国の人間たちが心から好きだった
新しい用心棒とも仲良く付き合いながら、2人は妻子と共に、幸せに暮らした
ヒドラは桃太郎の口利きで、長谷川平蔵の密偵となって働く事になった
その際、平蔵は『日ノ助』と名付けた
日ノ助となったヒドラは、平蔵の懐の深さにすぐに心酔し、元々高度に訓練された日ノ助は十二分な働きを見せた
平蔵「日ノ助よ」
日ノ助「へい」
平蔵「最近、粂八が足腰が弱くなったみてえでな…どうだ?…粂八の舟宿をおめえも手伝ってやっちゃくれねえか?」
日ノ助「へい!」
日ノ助は、同じく桃太郎に助けられた粂八とは特に仲が良かった
粂八も日ノ助も、たくさんの人を傷つけて生きてきたし、生い立ちも悲惨であった為、気心が知れたのだ
桃太郎を肴に酒を飲んだり、密偵としての仕事のコツを仕込んでもらっていた
そうしてしばらくは幸せに暮らしていたが、数年すると吾郎が亡くなり、平蔵も役目を解かれ、隠居暮らしを始めた
平蔵配下の密偵たちも、そのまま火付盗賊改として働いた
お雪は吾郎が居なくなってからは口数も減り、それに比例するように老いていった
桃太郎はそんなお雪にいつも寄り添って、シータやボロンゴたちと一緒に世話をしていた
お雪「ゲレちゃん…ごめんね、わたしいつもゲレちゃんを縛りつけてるね…」
桃太郎「なあに言ってるんだよw…オイラが好きでやってる事だ…気にするなよおママ」
シータ「そうだよw」
お雪「でも…」
ボロンゴ「おママ…そんな顔しないでくれ」
プックル「ゲレちゃんは笑顔が好きなんだ…だからおママも笑ってくれよ」
チロル「そうだよ…我々だっておママがそんな顔してると調子が出ないよ」
お雪「う、うんw」
桃太郎「そういうこったw…聞き分けの悪いおママだなあ…ナデナデ」
お雪「もうねw…年寄りになるとすぐに泣いちゃうのよ…ウル…だからこんなしぼんじゃうのかねw」
シータ「それでもおママはキレイだよw」
お雪「ありがとうw」
それでもやはり、お別れは来る
この日、お雪は朝からボーっとして、桃太郎がいくら話しかけても『うん』としか言わなかった
目も白く濁り、耳ももうほとんど聞こえていない
お雪は昔の事を思い出していた
吾郎の事、桃太郎が生まれた事、シータやボロンゴ、プックル、チロルが家族になった事…そのどれもが大事で、記憶力の薄れた今でも、思い出だけは忘れない
しかし、もうそれも限界だった
お雪「ゲレちゃん…」キョロキョロ
桃太郎「なに?!…ここにいるよ!」
お雪「ゲレちゃん…ギュッとしておくれ…」
桃太郎「うん!…ギュゥ…ナデナデ」
お雪「わたしね…もうお別れみたい…」
桃太郎「おママぁ…グス…」
シータ「おママ…うっ…うっ…」
お雪「ゲレちゃん…シータ…ボロンゴ、プックル、チロル…ほんとにありがとう…わたしは…幸せだった…よ…ガク」
桃太郎「わああああぁぁぁ!!!」
シータ「おママああぁぁ!!」
桃太郎もシータも、この時ほど心が痛み、動いた事はなかった
無駄とわかってはいても、桃太郎は何度も『光』を当てた
目を閉じると、いつも明るくて元気で優しいお雪の顔がすぐにいくつも浮かんできて、涙が止まらなかった
ボロンゴもプックルもチロルも、お雪の亡骸に顔を擦り付け、抱きしめていた
ボロンゴ「こんな時…泣けたらな」
プックル「ああ…」
チロル「おママ…」
それからしばらく2人と3体は、抱きしめ合って心を落ち着かせ、後日葬儀を済ませて、元の山小屋に住居を移した
ボロンゴ「ゲレちゃん」
桃太郎「ん?」
ボロンゴ「宇宙船なんだけど…」
シータ「うん」
ボロンゴ「本来ここにあってはいけないものだ」
桃太郎「ああ…そうだな」
プックル「今ならまだみんな宇宙船に興味はないけどよ…そのうち『なんだコレ』ってなると思う」
チロル「でも、あの宇宙船は地球の文明よりはるかに高度なものだから、なくさなきゃだ…そうだろ?」
桃太郎「ああ…けど、どうやって?」
プックル「オレたちが地球に帰った時のやつはオニールに向けて飛ばしてしまえばいいと思う」
シータ「ああ…そうだね」
ボロンゴ「私たちが初めて来た時の宇宙船は、日ノ助なら直せるだろうか?」
チロル「動力だけでも戻して、宇宙に飛ばそうよ」
桃太郎「おーし…そうするかw…シータは未練はないか?」
シータ「大丈夫w…エアコンのない生活もすっかり慣れたよw」
桃太郎「けどよ…あれないとお前たちの充電も大変じゃねえか?」
ボロンゴ「その事なんだが…」
プックル「オレらはソーラーパネルで充電も出来るからしばらくは大丈夫なんだけどね」
チロル「それでももう長くはもたないと思う…」
桃太郎「そうか…」
チロル「けどさ…死ぬわけじゃないよ…あと何年かしたらさ…ゲレちゃん、オレたちの『命』を預かってておくれよ」
桃太郎「わかった」
プックル「まあ、まだ先の事w」
ボロンゴ「では日ノ助に会いに行こう」
桃太郎たちは日ノ助と合流し、或右衛門と臣九郎も呼び出すと、鬼ヶ島に向かった
桃太郎「日ノ助…直せそうかい?」
日ノ助「ああ…こっちの宇宙船から少し部品を貰えば直せる」
臣九郎「おお…すげえなおめえw」
日ノ助「オレはあの頃は誰も信用してなかったからなw…宇宙船のメンテナンスも覚えたんだよ」
或右衛門「それはそれで役に立つもんだなあw」
日ノ助「はははw…ちげぇねえw」
シータ「ヒドラもすっかり江戸っ子だなw」
日ノ助「ヒドラじゃねえ、日ノ助だ」
シータ「お、おう」
臣九郎「しっかし、ゲレちゃんもおしたも…ほんと変わらねえなw」
或右衛門「臣と並ぶと親子ほど違って見えるぜw」
桃太郎「パパ!…ギュ」
臣九郎「…('A`)」
シータ「ブファww」
日ノ助「ゲラゲラww…はええとこ直しちまおうぜ」
それから2日ほどで宇宙船は2機とも運行可能になり、自動操縦でオニールへと飛ばした
或右衛門「これでもう帰りたくても帰れねえなあ」
臣九郎「一片の悔いなし」
日ノ助「オレはエアコンだけ恋しいわw」
シータ「あはははw」
そして更に年月は進む
桃太郎はボロンゴ、プックル、チロルのメモリーを預かり、身体は厳重に布で巻き、保管した
平蔵も死に、久栄も死に、仲の良かった同心、密偵も死に、或右衛門も臣九郎も日ノ助も死んだ
いくつもの『さよなら』を桃太郎とシータは体験した
桃太郎「師匠はさ…『失った分だけ得るもんがある』って教えてくれたけど…」
シータ「なにか得たのかね…悲しさだけだよ」
桃太郎「な…師匠もさ…たくさんこういう思いしたんだろうな…」
シータ「うん…わたしたちはルーチェのせいかわからないけど、心も老いないもんね…辛い思いにも慣れない」
桃太郎「不老不死ってつれえな…」
シータ「ね…」
桃太郎「シータがいなかったらオイラは生きてられねえ」
シータ「わたしもだよ」
桃太郎「愛してるぞ…シータ」
シータ「わたしも愛してる…チュ」
どんどんどんどん年月は進む
その間、桃太郎とシータは最小限にしか人と関わらなくなった
世の中はめまぐるしく変わっていく
いくつかの戦争もあった
桃太郎たちはそれでも2人静かに暮らしていた
やがて戦争が終わり、平和な世の中になってくると、桃太郎たちは田舎の村に住居を移した
そこでもあまり他人とは関わらなかったが、時代が進むにつれ近代化し、発電所の建造、上下水道の完備、道路、鉄道といったインフラも整っていった
シータにはむしろ、それでも時代遅れな感覚だが、桃太郎はいちいちその文化の発展に驚いたり喜んだりしていた
そして西暦1985年
桃太郎とシータは近所の農家を手伝い、細々とつつましく暮らしていた
桃太郎「なあ…師匠たち、オイラのところに来てくれるのかな…」
シータ「江戸じゃないもんね…」
桃太郎「来てもわからなかったらどうしよう…」
シータ「不安だね…」
元々欲のない桃太郎とシータは、貧しくてもお互い2人で居られればそれで幸せだが、その事だけは心配だった
しかしそれは杞憂に終わった
狭い部屋の中、2人で仲良く夕食を食べ、小さなテレビを見ながら、いつものようにイチャついていた時だった
ドアをノックする音が聞こえてきた
トントントン
桃太郎「…ん?…おばちゃんかな?」
桃太郎は普段世話になっている農家の人だと思い、扉を開けた
レイ「よ!…久しぶりだなw」
桃太郎「し、師匠!!」
シータ「ええー!!…バタバタ」
桃太郎「師匠~!!…ギュゥ…グス」
レイ「よしよしw…ナデナデ…元気だったかい?シータもw」
シータ「はい!…グス」
イズ「お久しぶりです~♪」
桃太郎「イズさん…ギュゥ」
イズ「うぶぅ…ギブ!ギブ!」
桃太郎「あ、へへ///…でもよくわかったね、オイラ江戸に居ないから、わかるか不安だったんだ」
レイ「オレたちはゲレちゃんの場所はわからなくても、ルーチェの在処はわかるからな」
桃太郎「そうだったんだ…言ってよぉ!」
レイ「わりいわりいw…ごめんごめんw」
桃太郎「でもまた会えたからいいやw」
レイ「で、どうする?…来るかい?」
桃太郎「もちろん!」
シータ「はい!」
イズ「良かったあw」
レイ「よし…じゃあこれから荷物を宇宙船に積むぞ」
桃太郎「うん…もう、すぐに行くの?」
レイ「ううん…1ヶ月は先だな…その間、ゲレちゃんたちは宇宙船で暮らせよ」
桃太郎「あ、うん…その前におばちゃんたちに挨拶してもいい?…何も言わずに居なくなったら心配かけるし」
レイ「ああ…いいよ…それが済んだらまたこの笛で呼びな?」
桃太郎「あ!…懐かしい」
シータ「あの…ミランダ師匠は?」
レイ「宇宙船にいるよ…シータに会いたがってるよ」
シータ「良かった…」
レイ「ガーデン(ガーディアンたちの基地)に着いたら、みっちり鍛えるって意気込んでるw」
シータ「うふふふw」
レイ「持っていきたい荷物はまとめておきな?」
桃太郎「うん!」
レイ「それから…ボロンゴたちは?」
桃太郎「あ…これ!」
桃太郎は肌身離さず首に下げている御守り袋を、レイに渡した
レイ「この中にメモリが入ってるんだな?」
桃太郎「うん!…さすが師匠、説明いらずだw」
レイ「身体はどうした?」
桃太郎「もちろん保管してある」
レイ「全部出してくれ…」
桃太郎「うん!…シータ手伝って!」
シータ「うん!」
桃太郎とシータは布に包まれている、ボロンゴとプックルとチロルのボディーを持ってきた
レイ「これで全部?」
桃太郎「うん」
レイ「じゃあこいつらは先に宇宙船に持っていくな」
桃太郎「わかった!」
シータ「イズさん!…このお皿にフレフィを作ってください///」
イズ「うふふw…はあい」
桃太郎「何回見てもすげえ」
シータ「やったあ…フレフィがまた食べれるよ!」
イズ「うふふw」
レイ「そうだ…オレたちの宇宙船な…『ピザ丸ちゃん』って名前なんだが…」
シータ「かわいい///」
桃太郎「うん///」
レイ「だろ?w…ピザ丸ちゃんのパイロットはドラゴンなんだ…わかる?ドラゴン」
桃太郎「ドラゴン?!…竜の事だよね?」
シータ「ええ?!」
レイ「そう…2人いる…オレの大切な家族さ」
桃太郎「へ、へぇぇ…それは前に来た時も?」
レイ「そう…ピザ丸ちゃんはその2人の船なのさ…はるか遠い昔にその2人はこの地球に来て…さらに長い年月を経てオレに会って…それからずっと一緒にいる…ゲレちゃんもシータもすぐに好きになるよ」
イズ「間違いない!」
桃太郎「へぇぇ!…楽しみだなあw」
シータ「うん!」
レイ「準備出来次第呼べよ?…ただし夜にな…そのおばちゃんたちにオレらは見られたくない」
桃太郎「わかった!」
レイ「じゃあこのボロンゴたちは持っていく…またな」
桃太郎「はい!」
シータ「はい!」
レイとイズはスピーダーを出して、スピーダーにボロンゴたちを括り付けて、宇宙船へと帰っていった
ピザ丸ちゃん
ミランダ「おかえり、レイ…どうだった?」
レイ「相変わらずだったw…シータはミランダ師匠に会いたがってたよ」
ミランダ「へへw」
レイ「エウロパん、3Dプリンタの準備して?」
エウロパ「オッケー」
レイ「ウラちゃん、このボロンゴのメモリの収納部品だけ解体して抜き出してくれ」
ウラヌス「了解」
アリエル「ああ…新しい出会い…ドキドキ」
イズ「うふふw…大丈夫よ、ママ…ゲレちゃんもシータちゃんもとっても良い子です」
レイ「な…シータたちの宇宙船はどうしたんだろ」
イズ「鬼ヶ島にはなかったですね~」
しばらくしてウラヌスはボロンゴからメモリーの収納部品を取り出し、レイと共に配線の確認をする
それが済むとその部品をさらに分解して、3Dプリンタで複製した
その新たに作った部品を、あらかじめ用意してあった動物のロボットに取り付けた
レイ「よし…これでとりあえずいいな」
ウラヌス「うむ…チェックしたが異常も問題もない」
イズ「かぁわいい///…早くボロンゴちゃんたち入れたいなあ…」
レイ「そうしたいとこだけど、まずはボロンゴたちもゲレちゃんに会いたいだろう」
アリエル「楽しみだねえw」
ウラヌス「この部品はまたボロンゴに戻す?」
レイ「とりあえずそうしてくれ…ちゃんと付けなくていいよ…ガーデンに着いたら、また改良するから」
ウラヌス「わかった」
翌日、桃太郎たちは手伝いをしている農家の人たちに、お別れを告げた
しかし、収穫の作業がまだ途中だったため、それらは最後までやる事にした
農家の人たちに泣きながらお別れをして、たくさんの野菜を貰った
それから桃太郎は夜中に笛を吹き、レイを呼び出した
レイ「よお…準備は出来た?」
ガンマ「久しぶりだな」
ミュー「覚えてる?わたしの事」
シータ「忘れられない美人です///」
ガンマ「だろ?w…オレは?」
シータ「…誰だっけ」
ガンマ「ええ…」
シータ「冗談ですw…覚えてます…師匠のお手伝いさんですよね!」
ガンマ「ええ…」
レイ「ゲラゲラww」
イズ「ブフゥww」
シータ「冗談ですよw」
ガンマ「ははw…けど、そのくらいの度胸があれば安心だな」
ミュー「うんw」
ガンマ「持ってく荷物は…」
桃太郎「これです」
レイ「さすがルーチェの資格者なだけあって、物が少ないな…」
桃太郎「そうなの?」
レイ「基本的に物欲があまりないんだ」
ガンマ「そりゃ野菜か?」
桃太郎「うん…おばちゃんたちからお別れに貰った」
ミュー「うーん…」
桃太郎「ダメなの?」
ガンマ「ああ…無機物ならいいんだが、有機物は持ち込めない…」
レイ「それならまだここに滞在するんだから、その間に全部食えばいいんだ…さよならの餞別を捨てたら、おばちゃんたちがかわいそうだろ」
桃太郎「やっぱり師匠さすがだなあ」
ガンマ「その代わり全部残さず食えよ?」
レイ「大丈夫、残ったらエウロパんに詰め込むからw」
イズ「ブファww」
桃太郎「エウロパん?」
レイ「そう、これから会うドラゴンさ…エウロパとアリエルって言うんだ」
シータ「素敵な名前」
レイ「会えばもっと素敵な2人だよ」
ガンマ「とりあえず荷物はオレとミューのスピーダーに積むから、2人はレイとイズちゃんのスピーダーに乗ってくれ…あまり長居して見られたくない」
桃太郎「わかった!」
そうして、桃太郎とシータは今まで住んでいた住居に感謝とお別れの言葉を言うと、レイの後ろに桃太郎を、イズの後ろにシータを乗せて、ピザ丸ちゃんに乗り込んだ
桃太郎「おお…空にこんなのが」
シータ「機体は完全なステルスですか?」
レイ「ああ…そこがお前たちの部屋な」
桃太郎「あ、はい!」
レイ「後でもっと詳しく案内してやるが…ちょっとこっち来な」
ピザ丸ちゃん、操縦室
操縦室に入った桃太郎とシータは、ドラゴンの存在を前もって教わっていたとはいえ、驚きを隠せなかった
レイ「こっちの銀のがエウロパ…エウロパんて呼んでくれ…で、この白と青のキレイで優しそうなのがアリエル…エルちゃんて呼んであげて?」
エウロパ「オレとエルちゃんの紹介、差があるんですけどw」
イズ「うふふふw」
桃太郎「うわぁ…キレイだなあ…」
シータ「はじめまして…シータです」
桃太郎「まるで神様の使いのようだよ」
シータ「うん…」
エウロパ「やっぱそう見えるかw」
アリエル「よ、よろしく///…ドキドキ」
桃太郎「よろしくです…ドラゴン…竜ってオイラ、長くて緑かと思ってたけど…違うんだな…」
エウロパ「やっぱそう思ってたのかw」
アリエル「そ、その方が良かった?」
桃太郎「ううん…オイラ、エウロパんとエルちゃんが好きだ」
エウロパ「もう?w」
アリエル「はや!」
レイ「あはははw…そんなもんだってw」
ミランダ「シータ…ゲレちゃん」
桃太郎「ミランダ師匠~!!…ギュゥ!」
シータ「師匠~!!…ギュゥ!…グス」
ミランダ「えへへw…また会えたw…グス…ギュ」
レイ「2人とも、あとこのイケメンがウラヌス…ミランダの夫だよ」
ウラヌス「よろしくな」
桃太郎「よろしくです!…おお…イケメン…」
シータ「うん…師匠たちみんなイケメン…」
ガンマ「お前らも負けてないさw」
レイ「挨拶は一通りこれで済んだな?…よし、2人ともこれを見ろ」
レイはかぶせてあった布をとった
出てきたのは、ハスキー犬の仔犬、三毛猫、白いウサギだった
桃太郎「うわ!…かぁわいい!」
シータ「かわいい~!!」
レイ「だろ?w…ボロンゴ、プックル、チロルは、これからはこの身体で活動してもらう」
桃太郎「え?」
シータ「元々のは?」
レイ「それはちゃんとある…ガーデンでまた改良して使えるようにする…だけど、普段はボロンゴはまだいいとして、猿とキジは連れて歩いたらおかしいからな…」
桃太郎「そっか…」
レイ「ボロンゴもちょっとでかすぎるしな」
シータ「そうですね…」
レイ「かまわないか?」
桃太郎「はい!…姿は違っても、みんなはみんなだ!」
シータ「わたしはこっちの方が良かったりして///」
レイ「だろう?…ほら…ここにメモリを挿してやれよ」
桃太郎はレイからメモリーを受け取った
桃太郎とシータは、それぞれにメモリーを挿し入れた
そして、2分程経つと起動し、喋った
ボロンゴ「ゲレちゃん…」
プックル「ゲレちゃん、シータ!」
チロル「ゲレちゃん…イズさん!!」
桃太郎「ボロンゴ…プックル、チロル!…ギュ」
シータ「…グス…久しぶりw」
ボロンゴ「また会えた…良かった」
プックル「つってもオレたちは久しぶりな感じじゃねえけどw」
チロル「うん…イズさん…」
イズ「おお~よしよし…ダッコ」
ボロンゴ「しかし…この身体は?」
プックル「オレもだいぶ小さい…」
ボロンゴ「お前は猫だよ…」
チロル「オレは?」
プックル「お前はウサギだ…」
チロル「やった!…これならみんなかまってくれるかな?」
イズ「間違いないですw…かぁわいい///」
シータ「わたしもプックル抱っこしたい///」
プックル「おう」
桃太郎「オイラはボロンゴ…かわいい~///」
ボロンゴ「そ、そうか///」
イズ「うふふw…チロルちゃんのモデルは昔わたしたちの仲間だったウサギの魔物なのですよ」
チロル「魔物?…動物とは違うの?」
イズ「ちょっと違いますw」
チロル「でも…怖くない?」
イズ「かわいいですw…スリスリ」
チロル「良かった…」
レイ「ただし、その身体だと出来るのは録画機能だけだ…身体は頑丈だけど、無茶はするなよ?」
ボロンゴ「り」
プックル「り」
チロル「り」
シータ「その『り』も懐かしいw」
桃太郎「うんw…また会えた…グス…」
そうして桃太郎とシータもガーディアンとなり、ボロンゴ、プックル、チロルと共に、また新たな人生が始まる
今度は『星』の守護者として…
ー完ー
帰るのは桃太郎、シータ、或右衛門と妻子、臣九郎とおよし…それからヒドラもだ
もちろん、ボロンゴ、プックル、チロルも一緒で、3体ともメンテナンスされ、バッテリーも交換してもらえた
桃太郎が地球を出た年齢は26歳
それから600日でオニールに渡り、3年滞在し、また600日かけて帰る
帰る頃には32歳になっていた
とは言え、ルーチェを持った桃太郎と、そのパートナーであるシータは外見が全く変わらない
だが、お雪と吾郎はさすがにもう若々しいとは言えない
お雪も吾郎も、この江戸の頃の平均寿命を迎えるような年齢であった
桃太郎は、2人が生きていてくれた事を泣いて喜んだ
お雪「ゲレちゃん…おママ寂しかったよぉ…グス…」
桃太郎「ごめんよ、おママ…ギュ…こんな痩せちまって…」
お雪「ゲレちゃん…スリスリ」
吾郎「ゲレちゃんもシータも変わらないなあ…」
シータ「パパスも細くなったね…」
吾郎「さすがになw」
桃太郎「ごめんな…一緒に居れなくてさ…でも、生きててくれて良かった…居ない間に死んでたらって…オイラはその事ばっかり気になってた」
お雪「おママだってゲレちゃんとシータに会えないまま死ぬのやだもん」
吾郎「だから健康には気をつけてたよ」
桃太郎「ありがと…ギュ」
シータ「ありがとう…グス…ギュ…」
桃太郎「これからはオイラもうどこにも行かないから…」
お雪「うんw…本当に生まれた時からずっと優しいねえw」
桃太郎「お互いさまだw…おママとパパスが優しいからオイラもそうなれたんだ…だからね、オイラは今回オニールの連中を助けられた…それはつまり、おママとパパスが助けたのも同じ事だ」
吾郎「全く…おめえって奴は…グス…自分の手柄くらい自分で誇ればいいものを」
お雪「本当よ~」
桃太郎「オイラにはそんなもんどうだっていい…おママとパパスとシータと、ボロンゴ、プックル、チロル…オイラに関わる奴らの笑顔の方がずっと嬉しい」
シータ「うん…ねw」
お雪「ほんと…ずっとずっとかわいい…グス」
或右衛門と臣九郎も米問屋に帰った
2人が居なかった期間に新しく用心棒が雇われていた
或右衛門「だんな…ただいま戻りました」
臣九郎「長いことすいませんでした…」
主人「おお…よくぞ無事で…グス」
或右衛門「…グス」
臣九郎「…グス…あの方は?」
見ると、見知らぬ浪人が2人働いていた
主人「ああ…2人が居ない間に雇った用心棒だよw」
或右衛門「そうでしたか…」
臣九郎「では我々はもう必要ありませんね…残念ですけど、また新しい口を探します」
或右衛門「でも、だんなやこの店への恩返しは必ずします」
主人「おいおい…早まっちゃいけないw…ずっと首を長くして待ってた私たちにそれは酷いではないか…」
或右衛門「で、では…」
主人「おかえりなさい、或さん、臣さん…やっぱりこのおたなには…目黒にはあんたらが居てくれないとねw」
臣九郎「…だんな…クゥ…グス…」
或右衛門「…うっ…うっ…グス…」
主人「これからも目黒の守り神でいてくれるだろう?」
或右衛門「はい!…グス」
臣九郎「もちろんです!…グス」
主人「良かった…グス…おみつやおよしも、働きたいのなら連れておいで?」
或右衛門「はい…本当に…何もかもいつもいつも…グス」
臣九郎「だんな、優しすぎるよ…グス」
主人「それは違うよw…或さんや臣さんほど優しくて頼りになる侍はどこ探したって居ないからさw」
2人は本当に江戸に帰れた事を幸せに思った
この国の人間たちが心から好きだった
新しい用心棒とも仲良く付き合いながら、2人は妻子と共に、幸せに暮らした
ヒドラは桃太郎の口利きで、長谷川平蔵の密偵となって働く事になった
その際、平蔵は『日ノ助』と名付けた
日ノ助となったヒドラは、平蔵の懐の深さにすぐに心酔し、元々高度に訓練された日ノ助は十二分な働きを見せた
平蔵「日ノ助よ」
日ノ助「へい」
平蔵「最近、粂八が足腰が弱くなったみてえでな…どうだ?…粂八の舟宿をおめえも手伝ってやっちゃくれねえか?」
日ノ助「へい!」
日ノ助は、同じく桃太郎に助けられた粂八とは特に仲が良かった
粂八も日ノ助も、たくさんの人を傷つけて生きてきたし、生い立ちも悲惨であった為、気心が知れたのだ
桃太郎を肴に酒を飲んだり、密偵としての仕事のコツを仕込んでもらっていた
そうしてしばらくは幸せに暮らしていたが、数年すると吾郎が亡くなり、平蔵も役目を解かれ、隠居暮らしを始めた
平蔵配下の密偵たちも、そのまま火付盗賊改として働いた
お雪は吾郎が居なくなってからは口数も減り、それに比例するように老いていった
桃太郎はそんなお雪にいつも寄り添って、シータやボロンゴたちと一緒に世話をしていた
お雪「ゲレちゃん…ごめんね、わたしいつもゲレちゃんを縛りつけてるね…」
桃太郎「なあに言ってるんだよw…オイラが好きでやってる事だ…気にするなよおママ」
シータ「そうだよw」
お雪「でも…」
ボロンゴ「おママ…そんな顔しないでくれ」
プックル「ゲレちゃんは笑顔が好きなんだ…だからおママも笑ってくれよ」
チロル「そうだよ…我々だっておママがそんな顔してると調子が出ないよ」
お雪「う、うんw」
桃太郎「そういうこったw…聞き分けの悪いおママだなあ…ナデナデ」
お雪「もうねw…年寄りになるとすぐに泣いちゃうのよ…ウル…だからこんなしぼんじゃうのかねw」
シータ「それでもおママはキレイだよw」
お雪「ありがとうw」
それでもやはり、お別れは来る
この日、お雪は朝からボーっとして、桃太郎がいくら話しかけても『うん』としか言わなかった
目も白く濁り、耳ももうほとんど聞こえていない
お雪は昔の事を思い出していた
吾郎の事、桃太郎が生まれた事、シータやボロンゴ、プックル、チロルが家族になった事…そのどれもが大事で、記憶力の薄れた今でも、思い出だけは忘れない
しかし、もうそれも限界だった
お雪「ゲレちゃん…」キョロキョロ
桃太郎「なに?!…ここにいるよ!」
お雪「ゲレちゃん…ギュッとしておくれ…」
桃太郎「うん!…ギュゥ…ナデナデ」
お雪「わたしね…もうお別れみたい…」
桃太郎「おママぁ…グス…」
シータ「おママ…うっ…うっ…」
お雪「ゲレちゃん…シータ…ボロンゴ、プックル、チロル…ほんとにありがとう…わたしは…幸せだった…よ…ガク」
桃太郎「わああああぁぁぁ!!!」
シータ「おママああぁぁ!!」
桃太郎もシータも、この時ほど心が痛み、動いた事はなかった
無駄とわかってはいても、桃太郎は何度も『光』を当てた
目を閉じると、いつも明るくて元気で優しいお雪の顔がすぐにいくつも浮かんできて、涙が止まらなかった
ボロンゴもプックルもチロルも、お雪の亡骸に顔を擦り付け、抱きしめていた
ボロンゴ「こんな時…泣けたらな」
プックル「ああ…」
チロル「おママ…」
それからしばらく2人と3体は、抱きしめ合って心を落ち着かせ、後日葬儀を済ませて、元の山小屋に住居を移した
ボロンゴ「ゲレちゃん」
桃太郎「ん?」
ボロンゴ「宇宙船なんだけど…」
シータ「うん」
ボロンゴ「本来ここにあってはいけないものだ」
桃太郎「ああ…そうだな」
プックル「今ならまだみんな宇宙船に興味はないけどよ…そのうち『なんだコレ』ってなると思う」
チロル「でも、あの宇宙船は地球の文明よりはるかに高度なものだから、なくさなきゃだ…そうだろ?」
桃太郎「ああ…けど、どうやって?」
プックル「オレたちが地球に帰った時のやつはオニールに向けて飛ばしてしまえばいいと思う」
シータ「ああ…そうだね」
ボロンゴ「私たちが初めて来た時の宇宙船は、日ノ助なら直せるだろうか?」
チロル「動力だけでも戻して、宇宙に飛ばそうよ」
桃太郎「おーし…そうするかw…シータは未練はないか?」
シータ「大丈夫w…エアコンのない生活もすっかり慣れたよw」
桃太郎「けどよ…あれないとお前たちの充電も大変じゃねえか?」
ボロンゴ「その事なんだが…」
プックル「オレらはソーラーパネルで充電も出来るからしばらくは大丈夫なんだけどね」
チロル「それでももう長くはもたないと思う…」
桃太郎「そうか…」
チロル「けどさ…死ぬわけじゃないよ…あと何年かしたらさ…ゲレちゃん、オレたちの『命』を預かってておくれよ」
桃太郎「わかった」
プックル「まあ、まだ先の事w」
ボロンゴ「では日ノ助に会いに行こう」
桃太郎たちは日ノ助と合流し、或右衛門と臣九郎も呼び出すと、鬼ヶ島に向かった
桃太郎「日ノ助…直せそうかい?」
日ノ助「ああ…こっちの宇宙船から少し部品を貰えば直せる」
臣九郎「おお…すげえなおめえw」
日ノ助「オレはあの頃は誰も信用してなかったからなw…宇宙船のメンテナンスも覚えたんだよ」
或右衛門「それはそれで役に立つもんだなあw」
日ノ助「はははw…ちげぇねえw」
シータ「ヒドラもすっかり江戸っ子だなw」
日ノ助「ヒドラじゃねえ、日ノ助だ」
シータ「お、おう」
臣九郎「しっかし、ゲレちゃんもおしたも…ほんと変わらねえなw」
或右衛門「臣と並ぶと親子ほど違って見えるぜw」
桃太郎「パパ!…ギュ」
臣九郎「…('A`)」
シータ「ブファww」
日ノ助「ゲラゲラww…はええとこ直しちまおうぜ」
それから2日ほどで宇宙船は2機とも運行可能になり、自動操縦でオニールへと飛ばした
或右衛門「これでもう帰りたくても帰れねえなあ」
臣九郎「一片の悔いなし」
日ノ助「オレはエアコンだけ恋しいわw」
シータ「あはははw」
そして更に年月は進む
桃太郎はボロンゴ、プックル、チロルのメモリーを預かり、身体は厳重に布で巻き、保管した
平蔵も死に、久栄も死に、仲の良かった同心、密偵も死に、或右衛門も臣九郎も日ノ助も死んだ
いくつもの『さよなら』を桃太郎とシータは体験した
桃太郎「師匠はさ…『失った分だけ得るもんがある』って教えてくれたけど…」
シータ「なにか得たのかね…悲しさだけだよ」
桃太郎「な…師匠もさ…たくさんこういう思いしたんだろうな…」
シータ「うん…わたしたちはルーチェのせいかわからないけど、心も老いないもんね…辛い思いにも慣れない」
桃太郎「不老不死ってつれえな…」
シータ「ね…」
桃太郎「シータがいなかったらオイラは生きてられねえ」
シータ「わたしもだよ」
桃太郎「愛してるぞ…シータ」
シータ「わたしも愛してる…チュ」
どんどんどんどん年月は進む
その間、桃太郎とシータは最小限にしか人と関わらなくなった
世の中はめまぐるしく変わっていく
いくつかの戦争もあった
桃太郎たちはそれでも2人静かに暮らしていた
やがて戦争が終わり、平和な世の中になってくると、桃太郎たちは田舎の村に住居を移した
そこでもあまり他人とは関わらなかったが、時代が進むにつれ近代化し、発電所の建造、上下水道の完備、道路、鉄道といったインフラも整っていった
シータにはむしろ、それでも時代遅れな感覚だが、桃太郎はいちいちその文化の発展に驚いたり喜んだりしていた
そして西暦1985年
桃太郎とシータは近所の農家を手伝い、細々とつつましく暮らしていた
桃太郎「なあ…師匠たち、オイラのところに来てくれるのかな…」
シータ「江戸じゃないもんね…」
桃太郎「来てもわからなかったらどうしよう…」
シータ「不安だね…」
元々欲のない桃太郎とシータは、貧しくてもお互い2人で居られればそれで幸せだが、その事だけは心配だった
しかしそれは杞憂に終わった
狭い部屋の中、2人で仲良く夕食を食べ、小さなテレビを見ながら、いつものようにイチャついていた時だった
ドアをノックする音が聞こえてきた
トントントン
桃太郎「…ん?…おばちゃんかな?」
桃太郎は普段世話になっている農家の人だと思い、扉を開けた
レイ「よ!…久しぶりだなw」
桃太郎「し、師匠!!」
シータ「ええー!!…バタバタ」
桃太郎「師匠~!!…ギュゥ…グス」
レイ「よしよしw…ナデナデ…元気だったかい?シータもw」
シータ「はい!…グス」
イズ「お久しぶりです~♪」
桃太郎「イズさん…ギュゥ」
イズ「うぶぅ…ギブ!ギブ!」
桃太郎「あ、へへ///…でもよくわかったね、オイラ江戸に居ないから、わかるか不安だったんだ」
レイ「オレたちはゲレちゃんの場所はわからなくても、ルーチェの在処はわかるからな」
桃太郎「そうだったんだ…言ってよぉ!」
レイ「わりいわりいw…ごめんごめんw」
桃太郎「でもまた会えたからいいやw」
レイ「で、どうする?…来るかい?」
桃太郎「もちろん!」
シータ「はい!」
イズ「良かったあw」
レイ「よし…じゃあこれから荷物を宇宙船に積むぞ」
桃太郎「うん…もう、すぐに行くの?」
レイ「ううん…1ヶ月は先だな…その間、ゲレちゃんたちは宇宙船で暮らせよ」
桃太郎「あ、うん…その前におばちゃんたちに挨拶してもいい?…何も言わずに居なくなったら心配かけるし」
レイ「ああ…いいよ…それが済んだらまたこの笛で呼びな?」
桃太郎「あ!…懐かしい」
シータ「あの…ミランダ師匠は?」
レイ「宇宙船にいるよ…シータに会いたがってるよ」
シータ「良かった…」
レイ「ガーデン(ガーディアンたちの基地)に着いたら、みっちり鍛えるって意気込んでるw」
シータ「うふふふw」
レイ「持っていきたい荷物はまとめておきな?」
桃太郎「うん!」
レイ「それから…ボロンゴたちは?」
桃太郎「あ…これ!」
桃太郎は肌身離さず首に下げている御守り袋を、レイに渡した
レイ「この中にメモリが入ってるんだな?」
桃太郎「うん!…さすが師匠、説明いらずだw」
レイ「身体はどうした?」
桃太郎「もちろん保管してある」
レイ「全部出してくれ…」
桃太郎「うん!…シータ手伝って!」
シータ「うん!」
桃太郎とシータは布に包まれている、ボロンゴとプックルとチロルのボディーを持ってきた
レイ「これで全部?」
桃太郎「うん」
レイ「じゃあこいつらは先に宇宙船に持っていくな」
桃太郎「わかった!」
シータ「イズさん!…このお皿にフレフィを作ってください///」
イズ「うふふw…はあい」
桃太郎「何回見てもすげえ」
シータ「やったあ…フレフィがまた食べれるよ!」
イズ「うふふw」
レイ「そうだ…オレたちの宇宙船な…『ピザ丸ちゃん』って名前なんだが…」
シータ「かわいい///」
桃太郎「うん///」
レイ「だろ?w…ピザ丸ちゃんのパイロットはドラゴンなんだ…わかる?ドラゴン」
桃太郎「ドラゴン?!…竜の事だよね?」
シータ「ええ?!」
レイ「そう…2人いる…オレの大切な家族さ」
桃太郎「へ、へぇぇ…それは前に来た時も?」
レイ「そう…ピザ丸ちゃんはその2人の船なのさ…はるか遠い昔にその2人はこの地球に来て…さらに長い年月を経てオレに会って…それからずっと一緒にいる…ゲレちゃんもシータもすぐに好きになるよ」
イズ「間違いない!」
桃太郎「へぇぇ!…楽しみだなあw」
シータ「うん!」
レイ「準備出来次第呼べよ?…ただし夜にな…そのおばちゃんたちにオレらは見られたくない」
桃太郎「わかった!」
レイ「じゃあこのボロンゴたちは持っていく…またな」
桃太郎「はい!」
シータ「はい!」
レイとイズはスピーダーを出して、スピーダーにボロンゴたちを括り付けて、宇宙船へと帰っていった
ピザ丸ちゃん
ミランダ「おかえり、レイ…どうだった?」
レイ「相変わらずだったw…シータはミランダ師匠に会いたがってたよ」
ミランダ「へへw」
レイ「エウロパん、3Dプリンタの準備して?」
エウロパ「オッケー」
レイ「ウラちゃん、このボロンゴのメモリの収納部品だけ解体して抜き出してくれ」
ウラヌス「了解」
アリエル「ああ…新しい出会い…ドキドキ」
イズ「うふふw…大丈夫よ、ママ…ゲレちゃんもシータちゃんもとっても良い子です」
レイ「な…シータたちの宇宙船はどうしたんだろ」
イズ「鬼ヶ島にはなかったですね~」
しばらくしてウラヌスはボロンゴからメモリーの収納部品を取り出し、レイと共に配線の確認をする
それが済むとその部品をさらに分解して、3Dプリンタで複製した
その新たに作った部品を、あらかじめ用意してあった動物のロボットに取り付けた
レイ「よし…これでとりあえずいいな」
ウラヌス「うむ…チェックしたが異常も問題もない」
イズ「かぁわいい///…早くボロンゴちゃんたち入れたいなあ…」
レイ「そうしたいとこだけど、まずはボロンゴたちもゲレちゃんに会いたいだろう」
アリエル「楽しみだねえw」
ウラヌス「この部品はまたボロンゴに戻す?」
レイ「とりあえずそうしてくれ…ちゃんと付けなくていいよ…ガーデンに着いたら、また改良するから」
ウラヌス「わかった」
翌日、桃太郎たちは手伝いをしている農家の人たちに、お別れを告げた
しかし、収穫の作業がまだ途中だったため、それらは最後までやる事にした
農家の人たちに泣きながらお別れをして、たくさんの野菜を貰った
それから桃太郎は夜中に笛を吹き、レイを呼び出した
レイ「よお…準備は出来た?」
ガンマ「久しぶりだな」
ミュー「覚えてる?わたしの事」
シータ「忘れられない美人です///」
ガンマ「だろ?w…オレは?」
シータ「…誰だっけ」
ガンマ「ええ…」
シータ「冗談ですw…覚えてます…師匠のお手伝いさんですよね!」
ガンマ「ええ…」
レイ「ゲラゲラww」
イズ「ブフゥww」
シータ「冗談ですよw」
ガンマ「ははw…けど、そのくらいの度胸があれば安心だな」
ミュー「うんw」
ガンマ「持ってく荷物は…」
桃太郎「これです」
レイ「さすがルーチェの資格者なだけあって、物が少ないな…」
桃太郎「そうなの?」
レイ「基本的に物欲があまりないんだ」
ガンマ「そりゃ野菜か?」
桃太郎「うん…おばちゃんたちからお別れに貰った」
ミュー「うーん…」
桃太郎「ダメなの?」
ガンマ「ああ…無機物ならいいんだが、有機物は持ち込めない…」
レイ「それならまだここに滞在するんだから、その間に全部食えばいいんだ…さよならの餞別を捨てたら、おばちゃんたちがかわいそうだろ」
桃太郎「やっぱり師匠さすがだなあ」
ガンマ「その代わり全部残さず食えよ?」
レイ「大丈夫、残ったらエウロパんに詰め込むからw」
イズ「ブファww」
桃太郎「エウロパん?」
レイ「そう、これから会うドラゴンさ…エウロパとアリエルって言うんだ」
シータ「素敵な名前」
レイ「会えばもっと素敵な2人だよ」
ガンマ「とりあえず荷物はオレとミューのスピーダーに積むから、2人はレイとイズちゃんのスピーダーに乗ってくれ…あまり長居して見られたくない」
桃太郎「わかった!」
そうして、桃太郎とシータは今まで住んでいた住居に感謝とお別れの言葉を言うと、レイの後ろに桃太郎を、イズの後ろにシータを乗せて、ピザ丸ちゃんに乗り込んだ
桃太郎「おお…空にこんなのが」
シータ「機体は完全なステルスですか?」
レイ「ああ…そこがお前たちの部屋な」
桃太郎「あ、はい!」
レイ「後でもっと詳しく案内してやるが…ちょっとこっち来な」
ピザ丸ちゃん、操縦室
操縦室に入った桃太郎とシータは、ドラゴンの存在を前もって教わっていたとはいえ、驚きを隠せなかった
レイ「こっちの銀のがエウロパ…エウロパんて呼んでくれ…で、この白と青のキレイで優しそうなのがアリエル…エルちゃんて呼んであげて?」
エウロパ「オレとエルちゃんの紹介、差があるんですけどw」
イズ「うふふふw」
桃太郎「うわぁ…キレイだなあ…」
シータ「はじめまして…シータです」
桃太郎「まるで神様の使いのようだよ」
シータ「うん…」
エウロパ「やっぱそう見えるかw」
アリエル「よ、よろしく///…ドキドキ」
桃太郎「よろしくです…ドラゴン…竜ってオイラ、長くて緑かと思ってたけど…違うんだな…」
エウロパ「やっぱそう思ってたのかw」
アリエル「そ、その方が良かった?」
桃太郎「ううん…オイラ、エウロパんとエルちゃんが好きだ」
エウロパ「もう?w」
アリエル「はや!」
レイ「あはははw…そんなもんだってw」
ミランダ「シータ…ゲレちゃん」
桃太郎「ミランダ師匠~!!…ギュゥ!」
シータ「師匠~!!…ギュゥ!…グス」
ミランダ「えへへw…また会えたw…グス…ギュ」
レイ「2人とも、あとこのイケメンがウラヌス…ミランダの夫だよ」
ウラヌス「よろしくな」
桃太郎「よろしくです!…おお…イケメン…」
シータ「うん…師匠たちみんなイケメン…」
ガンマ「お前らも負けてないさw」
レイ「挨拶は一通りこれで済んだな?…よし、2人ともこれを見ろ」
レイはかぶせてあった布をとった
出てきたのは、ハスキー犬の仔犬、三毛猫、白いウサギだった
桃太郎「うわ!…かぁわいい!」
シータ「かわいい~!!」
レイ「だろ?w…ボロンゴ、プックル、チロルは、これからはこの身体で活動してもらう」
桃太郎「え?」
シータ「元々のは?」
レイ「それはちゃんとある…ガーデンでまた改良して使えるようにする…だけど、普段はボロンゴはまだいいとして、猿とキジは連れて歩いたらおかしいからな…」
桃太郎「そっか…」
レイ「ボロンゴもちょっとでかすぎるしな」
シータ「そうですね…」
レイ「かまわないか?」
桃太郎「はい!…姿は違っても、みんなはみんなだ!」
シータ「わたしはこっちの方が良かったりして///」
レイ「だろう?…ほら…ここにメモリを挿してやれよ」
桃太郎はレイからメモリーを受け取った
桃太郎とシータは、それぞれにメモリーを挿し入れた
そして、2分程経つと起動し、喋った
ボロンゴ「ゲレちゃん…」
プックル「ゲレちゃん、シータ!」
チロル「ゲレちゃん…イズさん!!」
桃太郎「ボロンゴ…プックル、チロル!…ギュ」
シータ「…グス…久しぶりw」
ボロンゴ「また会えた…良かった」
プックル「つってもオレたちは久しぶりな感じじゃねえけどw」
チロル「うん…イズさん…」
イズ「おお~よしよし…ダッコ」
ボロンゴ「しかし…この身体は?」
プックル「オレもだいぶ小さい…」
ボロンゴ「お前は猫だよ…」
チロル「オレは?」
プックル「お前はウサギだ…」
チロル「やった!…これならみんなかまってくれるかな?」
イズ「間違いないですw…かぁわいい///」
シータ「わたしもプックル抱っこしたい///」
プックル「おう」
桃太郎「オイラはボロンゴ…かわいい~///」
ボロンゴ「そ、そうか///」
イズ「うふふw…チロルちゃんのモデルは昔わたしたちの仲間だったウサギの魔物なのですよ」
チロル「魔物?…動物とは違うの?」
イズ「ちょっと違いますw」
チロル「でも…怖くない?」
イズ「かわいいですw…スリスリ」
チロル「良かった…」
レイ「ただし、その身体だと出来るのは録画機能だけだ…身体は頑丈だけど、無茶はするなよ?」
ボロンゴ「り」
プックル「り」
チロル「り」
シータ「その『り』も懐かしいw」
桃太郎「うんw…また会えた…グス…」
そうして桃太郎とシータもガーディアンとなり、ボロンゴ、プックル、チロルと共に、また新たな人生が始まる
今度は『星』の守護者として…
ー完ー
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