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ユウトくんとオレ
1話
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オレはその日もまだ家にいて
ふさぎこんでた
一人でモンハンしてみたけど
一人だと全然進まなくて
面白くなくて
それはもしかしたら、オレがこの先一人で生きることが出来ないような
そんな事を暗示してるような
そんな気がして
3DSのフタ閉じて
母ちゃんのベッドに潜り込んだ
今は母ちゃんの写真を見るのも辛いけど
母ちゃんのベッドから
母ちゃんの匂いがだんだんなくなってく事がもっと辛い
母ちゃんの枕を抱きしめて泣いてると
呼び鈴が鳴った
父さんかな…
オレは誰かに会いたいと思ったから
ドアを開けた
ユウトくんだった
すごく嬉しい
「よおw…まだ悲しいんだ?w」
「う、うんw」
「オレがもっとさ…カオくんより10歳上だったら…もしかしたら母ちゃん救えたかもしれないな…ごめんな」
「ううん!…ユウトくんが謝ることないのにw…それに、ユウトくんが10歳上だったら…きっとオレたちは会ってないよ」
「まあな…」
「ユウトくん…ほんといつもありがとう」
「そんな事よりカオくん…ちゃんとメシ食ってねえだろ?…元々痩せてたのに、もっと細いじゃねえか」
「う、うん…そう…だね」
「…なあ…」
「うん?」
「またあのカレー作ってくれよ…ほうれん草とナスのやつ…ほら、材料は買ってきたからさ」
「…うん」
立ち上がって台所に行こうとすると、オレは自分で思うよりもヘロヘロだった
フラっとしたら、ユウトくんがすかさず支えてくれた
オレが料理を始めても、流しに寄りかかって、ずっとオレを見守ってくれた
「ユウトくん、せっかく買ってくれたルウだけど、いつものと違うから…いつものでいい?」
「いいよw…むしろそうして?w」
「うん…なんかさ…なんか」
「うん?」
「オレ…なんにもやる気なくなってたけど…ユウトくんが来たら料理してるw」
「はははw」
「ありがとね///」
「いつもの事よ」
カレーが出来ると、すごくいい匂いがして
オレも急に腹が減って
久しぶりにまともにごはん食べた
ユウトくんも美味いって言って
おかわりしてた
そんで食い終わって後片付けして
壁に寄りかかるように座ったら
ユウトくんも隣に来て
不思議な事を話し始めた
「カオくんさ…これからどうする?」
「ん…やっぱりオレ…情けないけどね…一人で生きていく自信ないんだ」
「うん…情けなくはねえよ」
「だからオレ…父さんに頼ると思う」
「そっか…けどな」
「うん」
「カオくんがもしさ」
「うん」
「時を戻してやり直せるって…そのやり方をオレが教えたら…どうする?」
「え?」
「時を戻せるとしたら」
「それって…タイムマシンみたいな?」
「んー…それとはちょい違う」
「どういう事?」
「カオくんはさ…オレが今から突拍子もねえこと言い出しても…オレを信じるか?」
「もちろんだよw…疑うはずないよ」
「かわいいなw…カオくんは…ナデナデ」
「ええ?///」
「じゃあ話すけど…ここからな…たぶんあんまり知ってる奴は居ないと思うけど、高速乗ってさ…トンネルの中に分岐があって…そこを行くと『ある場所』があるのね」
「うん」
「その分岐は他の高速に行くのでも、高速の出口でもなくて、なんの案内表示もなくて…むしろ、道さえ見えない…一見するとただの壁なんだ」
「…うん…ハリーポッターの駅みたいな?」
「ああ、近いなw…で、そこを通ると不思議なことに、トンネルはすぐに終わってさ…トンネル抜けて道なりに走るとさ…『異界館』って建物があるんだ」
「…うん」
「その『異界館』ってのは一体なんだっていうとさ」
「うん」
「簡単に言うと、人生をやり直す事が出来る施設なんだ…今の記憶を持ったままな」
「え…」
「ただし、代償があってさ…」
「うん」
「それは戻る年数の倍の時間、寿命がなくなるってこと…」
「…んん?」
「つまり、カオくんがもし本来なら80まで生きれたとするよ?」
「うん」
「で、カオくんが10年前に戻してくれって頼んだとする」
「うん」
「すると、その10年前に戻ったカオくんは、60歳までしか生きられなくなるって事」
「ああ…けど、それでさ」
「うん」
「もしオレが10年前に戻ったとしたら、今ここに居るオレはどうなるの?」
「それはオレも確かじゃないけど、異界館の人が言うには、今のカオくんは今のまま、異界館の事をキレイに忘れて生きるんだってさ…それがもしウソなら…オレは二度とカオくんに会えなくなるけど…」
「…そのオレは、偽物なの?…それとも戻ったオレが偽物なの?」
「いや、どっちも本物って言ってた…なんつうかさ…パラレルワールドってわかるか?」
「なにそれ?」
「『並行世界』っつってさ、全く同じに見えるけど、何かが少しだけ違う世界の事よ…それはささいな違いですげえたくさんあるらしい…なぜなら、それは人や他の生き物、自然現象とかも含めて、無数に選択があるだろ?」
「…わからないw…ごめん///」
「えっとね…カオくんがさ、モンハンやるって選択をしたらその世界があるのと同時に、やっぱやらないって選択をした、その世界もあるって事…」
「それはさ…3DSを買った日の辺りの事?」
「いいや、違う…今この時ですら、そう…今モンハンやる?ってオレが聞いたら、カオくんはやるかやらないかの選択が出来る…そのほんのささいな違いの世界があるってこと」
「ええっ!…そ、それじゃあ…しかもそれってオレだけじゃなくて、ユウトくんの選択とか、ハルさんの選択でも出来るんだよね?」
「うんw…出来るっていうか『ある』んだってよw」
「う、うわぁ…途方もないねえ…」
「で、もちろん、今のそのモンハンのやるやらないの選択くらいの違いなら、すごく近い世界なんだけどね」
「あ、うん」
「10年前の選択の世界と今の選択の世界はだいぶ遠くの違う世界になるわけ」
「ああ…なんとなくわかる」
「でも、どれをカオくんが選んでも、その世界のカオくんはどれもが本物だろ?」
「…たしかに」
「異界館はそのカオくんが戻りたいと思う、別の世界に連れてってくれるって事よ」
「…へぇぇ!…けど…それでオレが異界館に行く事にして、行くとするよね?」
「うん」
「それでもオレは、この世界に居続けるよね」
「うん」
「でも、ユウトくんはオレが異界館に行った事は知ってるんだよね?…それってユウトくんは、そのオレと付き合っていけるの?…このカオルは偽物とか思わないの?」
「なんか思わないらしいよw…だって、カオくんが行くって言っても、オレから見たカオくんは『やっぱりやめるよ』って言うカオくんしか見れないから」
「…それはもし、ユウトくんがそのトンネルの分岐まで送ってくれたとしても?」
「だと思うよw…そこまではオレだって詳しくはねえよw」
「ああ、そっか…でも…」
「ん?」
「ユウトくんはなんでその事を知ってるの?」
「…なんでだと思う?」
「…誰かに教わったから?」
「そう…教わってさ、オレがこうしてある程度説明出来てるのはなんでだと思う?」
「…もしかして…ユウトくんにとってこの世界はやり直した世界…ってこと?」
「そういう事w…オレは元居た世界ではヤンキーだった…DQNだったんだ」
「ええ!!…ウソだあw」
「本当なんだよww…めっちゃグレてたし、そのオレならきっとカオくんと会ったらいじめてるw」
「ウソだよぉ」
「マジでw…ケンカするのがかっけぇし、反抗するのがかっけぇし、悪い事するのがかっけぇって思ってたからなw」
「それがどうして?…誰に教わったの?」
「カオくんだよ」
「ええ?!…ウソ」
「ウソじゃないんだよw…本当にそうなんだよ」
「オレ、じゃあもしかして、今のオレはすでにやり直して寿命縮まってるって事?」
「違う違うw…遠い過去の今のカオくんとは無関係のカオくんさ」
「わけがわからない…」
「オレも理解するの時間かかったw」
「その時のオレはどんなオレだったの?」
「すんげえワルだったよw…すっげえワルw…麻薬も売ってたし、詐欺グループも持ってた…殺し以外はなんでもやるくらいのワルだったw…けど、そのくせ変に仲間には優しくて、カオくんに憧れてたオレをカオくんは気に入ってくれてたんだなw」
「ええ?…オレがそんなワル…」
「ああ…たぶんいつだか前に話した命の価値の話…あんときのカオくんは『二つ名のディアブロス』くらいすごかったけど、今のファンゴのカオくんより全然価値なんかないだろうなw」
「うわぁ…」
「で、オレが戻ったのはハタチの時さ…」
「う、うん…なんで戻ったの?」
「ああ、オレな、そん時はハルと結婚してたんだよなw…デキ婚てやつ」
「子供いたの?」
「いや…子供出来たから…ハルの事好きだし結婚したんだけど…ハルは麻薬やってたからさ…子供は産まれる前に死んじゃって…18ん時結婚して、ハタチにハルも麻薬で死んだ…子供が死んだのがショックだったんだろうな…そのせいで余計に麻薬に溺れて死んだのさ…オレもすげえ悲しかった…なんてクソみてえな人生をって悔やんだ」
「…その麻薬はオレが?」
「まあ、そうだ」
「…なんてこと…」
「今のカオくんが罪悪感感じる事じゃねえってw」
「…うん…じゃあユウトくんは、オレの事嫌いだった?」
「いや…全然…カオくんはさ、グレて親と縁切ってたオレの面倒見てくれてたから…そのカオくんはきっとさ、元々の世界でも、オレと関わりがあったんじゃねえかな…」
「…頭がこんがらがってきた」
「うん…だよなw…オレもいまだになんて説明したらいいか…でさ、オレはそん時そのとんでもないワルのカオくんに、異界館の事聞いて、やり直しのこの世界に来たわけ…オレはもうワルは嫌だったし、ハルを死なせたくなかったから…勉強頑張った…ハルを見つけて、ワルの道に行かせなかった…ギャルにはなったけどw」
「…そうだったの…」
「でも、正直言って、カオくんの事はどうでも良かった…ただ、関わらなければ良いと思ってた」
「う、うん」
「けど、カオくんと出会ったんだ…オレに履歴書が読めなくて、聞いてきたんだ…最初オレは全然わからなかった…カオくんがカオくんだってね…ワルのカオくんと全然違うからさ…暗くて、地味なカオくんだったから…カオくんには悪いけど」
「ああ…」
「でも、やり直したオレは、出来るだけ困ってる奴は助けてみようって思ってたからさ…オレは助けたのさ…履歴書をカオくんに手渡しただけだけどな」
「うん…すごく助かったよ…」
「カオルって名前聞いた時、内心すごいビックリしたw…そんで悟った…コイツはオレの試練なんだってな…オレはきっとカオくんも助けるんだって」
「そうだったの…だからいつも…」
「最初はなw…でも、付き合ってくうちにカオくんが大好きになってさw…もう助けずにはいられないのよw…かわいくてさ…なんせオレは今22でも、本当は32のオッサンだからなw」
「…だから…ユウトくんは…大人っぽかったのか」
「だな…大人っぽいかはわかんねえけど…人生経験はカオくんよりあるからな」
「そっかあ」
「麻薬売ってたカオくんが、すげえ美味いカレー作って無邪気に笑ってるんだ…面白いよ、世の中はw」
「うん…だね…」
「カオくん…この話は本当の事だ…オレはウソは言ってねえ」
「信じるよ…いつだって…ユウトくんだもん」
「ははw…ギュ…かわいいなあw」
「ユウトくん///」
「カオくんよ…オレまた近いうちに来るから、それまでにこの話の事考えてくれ…行くか行かないか…何年戻るか…次の世界でどう生きるか…な?」
「うん…わかった」
「そんでな?…たぶんさ、カオくんが戻った世界のオレはワルなんじゃねえかと思う」
「ど、どうして?」
「この今のオレはこの世界になってから出来たオレだからさ…世界をやり直さないオレならワルになってるか、なりかけてるはずだよ」
「あ、ああ、そっか…」
「オレがこの世界で会ったカオくんは、きっとワルになる前のカオくんさ…もしかしたらきっと…あん時カオくんが履歴書の読み方聞いて…そん時聞いた奴がカオくんをいじめてたりしたら…ワルのカオくんになっちまってたのかもしんねえな」
「…そうなのかも…オレはあの時ユウトくんの優しさで救われたんだ」
「それはどうかわからないけどねw…カオくんはでも、もしやり直した世界に行って、そこにオレが居たとしても、オレはワルだから…関わるなよ?…今のカオくんが好きって言うこのユウトじゃないからさ」
「…でも…ユウトくんいないと寂しいよ…」
「…寂しがりめw…ギュ…ナデナデ…でもやり直した世界には母ちゃんがいるんだから…我慢しろw」
「…うん…」
「じゃあさ…また来るね…ちゃんとメシ食うんだぞ?」
「うん!…またね…グス」
「ああw…ナデナデ」
そうしてその日はユウトくんは帰っていった
オレはそのとんでもなく非常識な話を、不思議なほど疑ってなかった
オレの心は決まっていた
ふさぎこんでた
一人でモンハンしてみたけど
一人だと全然進まなくて
面白くなくて
それはもしかしたら、オレがこの先一人で生きることが出来ないような
そんな事を暗示してるような
そんな気がして
3DSのフタ閉じて
母ちゃんのベッドに潜り込んだ
今は母ちゃんの写真を見るのも辛いけど
母ちゃんのベッドから
母ちゃんの匂いがだんだんなくなってく事がもっと辛い
母ちゃんの枕を抱きしめて泣いてると
呼び鈴が鳴った
父さんかな…
オレは誰かに会いたいと思ったから
ドアを開けた
ユウトくんだった
すごく嬉しい
「よおw…まだ悲しいんだ?w」
「う、うんw」
「オレがもっとさ…カオくんより10歳上だったら…もしかしたら母ちゃん救えたかもしれないな…ごめんな」
「ううん!…ユウトくんが謝ることないのにw…それに、ユウトくんが10歳上だったら…きっとオレたちは会ってないよ」
「まあな…」
「ユウトくん…ほんといつもありがとう」
「そんな事よりカオくん…ちゃんとメシ食ってねえだろ?…元々痩せてたのに、もっと細いじゃねえか」
「う、うん…そう…だね」
「…なあ…」
「うん?」
「またあのカレー作ってくれよ…ほうれん草とナスのやつ…ほら、材料は買ってきたからさ」
「…うん」
立ち上がって台所に行こうとすると、オレは自分で思うよりもヘロヘロだった
フラっとしたら、ユウトくんがすかさず支えてくれた
オレが料理を始めても、流しに寄りかかって、ずっとオレを見守ってくれた
「ユウトくん、せっかく買ってくれたルウだけど、いつものと違うから…いつものでいい?」
「いいよw…むしろそうして?w」
「うん…なんかさ…なんか」
「うん?」
「オレ…なんにもやる気なくなってたけど…ユウトくんが来たら料理してるw」
「はははw」
「ありがとね///」
「いつもの事よ」
カレーが出来ると、すごくいい匂いがして
オレも急に腹が減って
久しぶりにまともにごはん食べた
ユウトくんも美味いって言って
おかわりしてた
そんで食い終わって後片付けして
壁に寄りかかるように座ったら
ユウトくんも隣に来て
不思議な事を話し始めた
「カオくんさ…これからどうする?」
「ん…やっぱりオレ…情けないけどね…一人で生きていく自信ないんだ」
「うん…情けなくはねえよ」
「だからオレ…父さんに頼ると思う」
「そっか…けどな」
「うん」
「カオくんがもしさ」
「うん」
「時を戻してやり直せるって…そのやり方をオレが教えたら…どうする?」
「え?」
「時を戻せるとしたら」
「それって…タイムマシンみたいな?」
「んー…それとはちょい違う」
「どういう事?」
「カオくんはさ…オレが今から突拍子もねえこと言い出しても…オレを信じるか?」
「もちろんだよw…疑うはずないよ」
「かわいいなw…カオくんは…ナデナデ」
「ええ?///」
「じゃあ話すけど…ここからな…たぶんあんまり知ってる奴は居ないと思うけど、高速乗ってさ…トンネルの中に分岐があって…そこを行くと『ある場所』があるのね」
「うん」
「その分岐は他の高速に行くのでも、高速の出口でもなくて、なんの案内表示もなくて…むしろ、道さえ見えない…一見するとただの壁なんだ」
「…うん…ハリーポッターの駅みたいな?」
「ああ、近いなw…で、そこを通ると不思議なことに、トンネルはすぐに終わってさ…トンネル抜けて道なりに走るとさ…『異界館』って建物があるんだ」
「…うん」
「その『異界館』ってのは一体なんだっていうとさ」
「うん」
「簡単に言うと、人生をやり直す事が出来る施設なんだ…今の記憶を持ったままな」
「え…」
「ただし、代償があってさ…」
「うん」
「それは戻る年数の倍の時間、寿命がなくなるってこと…」
「…んん?」
「つまり、カオくんがもし本来なら80まで生きれたとするよ?」
「うん」
「で、カオくんが10年前に戻してくれって頼んだとする」
「うん」
「すると、その10年前に戻ったカオくんは、60歳までしか生きられなくなるって事」
「ああ…けど、それでさ」
「うん」
「もしオレが10年前に戻ったとしたら、今ここに居るオレはどうなるの?」
「それはオレも確かじゃないけど、異界館の人が言うには、今のカオくんは今のまま、異界館の事をキレイに忘れて生きるんだってさ…それがもしウソなら…オレは二度とカオくんに会えなくなるけど…」
「…そのオレは、偽物なの?…それとも戻ったオレが偽物なの?」
「いや、どっちも本物って言ってた…なんつうかさ…パラレルワールドってわかるか?」
「なにそれ?」
「『並行世界』っつってさ、全く同じに見えるけど、何かが少しだけ違う世界の事よ…それはささいな違いですげえたくさんあるらしい…なぜなら、それは人や他の生き物、自然現象とかも含めて、無数に選択があるだろ?」
「…わからないw…ごめん///」
「えっとね…カオくんがさ、モンハンやるって選択をしたらその世界があるのと同時に、やっぱやらないって選択をした、その世界もあるって事…」
「それはさ…3DSを買った日の辺りの事?」
「いいや、違う…今この時ですら、そう…今モンハンやる?ってオレが聞いたら、カオくんはやるかやらないかの選択が出来る…そのほんのささいな違いの世界があるってこと」
「ええっ!…そ、それじゃあ…しかもそれってオレだけじゃなくて、ユウトくんの選択とか、ハルさんの選択でも出来るんだよね?」
「うんw…出来るっていうか『ある』んだってよw」
「う、うわぁ…途方もないねえ…」
「で、もちろん、今のそのモンハンのやるやらないの選択くらいの違いなら、すごく近い世界なんだけどね」
「あ、うん」
「10年前の選択の世界と今の選択の世界はだいぶ遠くの違う世界になるわけ」
「ああ…なんとなくわかる」
「でも、どれをカオくんが選んでも、その世界のカオくんはどれもが本物だろ?」
「…たしかに」
「異界館はそのカオくんが戻りたいと思う、別の世界に連れてってくれるって事よ」
「…へぇぇ!…けど…それでオレが異界館に行く事にして、行くとするよね?」
「うん」
「それでもオレは、この世界に居続けるよね」
「うん」
「でも、ユウトくんはオレが異界館に行った事は知ってるんだよね?…それってユウトくんは、そのオレと付き合っていけるの?…このカオルは偽物とか思わないの?」
「なんか思わないらしいよw…だって、カオくんが行くって言っても、オレから見たカオくんは『やっぱりやめるよ』って言うカオくんしか見れないから」
「…それはもし、ユウトくんがそのトンネルの分岐まで送ってくれたとしても?」
「だと思うよw…そこまではオレだって詳しくはねえよw」
「ああ、そっか…でも…」
「ん?」
「ユウトくんはなんでその事を知ってるの?」
「…なんでだと思う?」
「…誰かに教わったから?」
「そう…教わってさ、オレがこうしてある程度説明出来てるのはなんでだと思う?」
「…もしかして…ユウトくんにとってこの世界はやり直した世界…ってこと?」
「そういう事w…オレは元居た世界ではヤンキーだった…DQNだったんだ」
「ええ!!…ウソだあw」
「本当なんだよww…めっちゃグレてたし、そのオレならきっとカオくんと会ったらいじめてるw」
「ウソだよぉ」
「マジでw…ケンカするのがかっけぇし、反抗するのがかっけぇし、悪い事するのがかっけぇって思ってたからなw」
「それがどうして?…誰に教わったの?」
「カオくんだよ」
「ええ?!…ウソ」
「ウソじゃないんだよw…本当にそうなんだよ」
「オレ、じゃあもしかして、今のオレはすでにやり直して寿命縮まってるって事?」
「違う違うw…遠い過去の今のカオくんとは無関係のカオくんさ」
「わけがわからない…」
「オレも理解するの時間かかったw」
「その時のオレはどんなオレだったの?」
「すんげえワルだったよw…すっげえワルw…麻薬も売ってたし、詐欺グループも持ってた…殺し以外はなんでもやるくらいのワルだったw…けど、そのくせ変に仲間には優しくて、カオくんに憧れてたオレをカオくんは気に入ってくれてたんだなw」
「ええ?…オレがそんなワル…」
「ああ…たぶんいつだか前に話した命の価値の話…あんときのカオくんは『二つ名のディアブロス』くらいすごかったけど、今のファンゴのカオくんより全然価値なんかないだろうなw」
「うわぁ…」
「で、オレが戻ったのはハタチの時さ…」
「う、うん…なんで戻ったの?」
「ああ、オレな、そん時はハルと結婚してたんだよなw…デキ婚てやつ」
「子供いたの?」
「いや…子供出来たから…ハルの事好きだし結婚したんだけど…ハルは麻薬やってたからさ…子供は産まれる前に死んじゃって…18ん時結婚して、ハタチにハルも麻薬で死んだ…子供が死んだのがショックだったんだろうな…そのせいで余計に麻薬に溺れて死んだのさ…オレもすげえ悲しかった…なんてクソみてえな人生をって悔やんだ」
「…その麻薬はオレが?」
「まあ、そうだ」
「…なんてこと…」
「今のカオくんが罪悪感感じる事じゃねえってw」
「…うん…じゃあユウトくんは、オレの事嫌いだった?」
「いや…全然…カオくんはさ、グレて親と縁切ってたオレの面倒見てくれてたから…そのカオくんはきっとさ、元々の世界でも、オレと関わりがあったんじゃねえかな…」
「…頭がこんがらがってきた」
「うん…だよなw…オレもいまだになんて説明したらいいか…でさ、オレはそん時そのとんでもないワルのカオくんに、異界館の事聞いて、やり直しのこの世界に来たわけ…オレはもうワルは嫌だったし、ハルを死なせたくなかったから…勉強頑張った…ハルを見つけて、ワルの道に行かせなかった…ギャルにはなったけどw」
「…そうだったの…」
「でも、正直言って、カオくんの事はどうでも良かった…ただ、関わらなければ良いと思ってた」
「う、うん」
「けど、カオくんと出会ったんだ…オレに履歴書が読めなくて、聞いてきたんだ…最初オレは全然わからなかった…カオくんがカオくんだってね…ワルのカオくんと全然違うからさ…暗くて、地味なカオくんだったから…カオくんには悪いけど」
「ああ…」
「でも、やり直したオレは、出来るだけ困ってる奴は助けてみようって思ってたからさ…オレは助けたのさ…履歴書をカオくんに手渡しただけだけどな」
「うん…すごく助かったよ…」
「カオルって名前聞いた時、内心すごいビックリしたw…そんで悟った…コイツはオレの試練なんだってな…オレはきっとカオくんも助けるんだって」
「そうだったの…だからいつも…」
「最初はなw…でも、付き合ってくうちにカオくんが大好きになってさw…もう助けずにはいられないのよw…かわいくてさ…なんせオレは今22でも、本当は32のオッサンだからなw」
「…だから…ユウトくんは…大人っぽかったのか」
「だな…大人っぽいかはわかんねえけど…人生経験はカオくんよりあるからな」
「そっかあ」
「麻薬売ってたカオくんが、すげえ美味いカレー作って無邪気に笑ってるんだ…面白いよ、世の中はw」
「うん…だね…」
「カオくん…この話は本当の事だ…オレはウソは言ってねえ」
「信じるよ…いつだって…ユウトくんだもん」
「ははw…ギュ…かわいいなあw」
「ユウトくん///」
「カオくんよ…オレまた近いうちに来るから、それまでにこの話の事考えてくれ…行くか行かないか…何年戻るか…次の世界でどう生きるか…な?」
「うん…わかった」
「そんでな?…たぶんさ、カオくんが戻った世界のオレはワルなんじゃねえかと思う」
「ど、どうして?」
「この今のオレはこの世界になってから出来たオレだからさ…世界をやり直さないオレならワルになってるか、なりかけてるはずだよ」
「あ、ああ、そっか…」
「オレがこの世界で会ったカオくんは、きっとワルになる前のカオくんさ…もしかしたらきっと…あん時カオくんが履歴書の読み方聞いて…そん時聞いた奴がカオくんをいじめてたりしたら…ワルのカオくんになっちまってたのかもしんねえな」
「…そうなのかも…オレはあの時ユウトくんの優しさで救われたんだ」
「それはどうかわからないけどねw…カオくんはでも、もしやり直した世界に行って、そこにオレが居たとしても、オレはワルだから…関わるなよ?…今のカオくんが好きって言うこのユウトじゃないからさ」
「…でも…ユウトくんいないと寂しいよ…」
「…寂しがりめw…ギュ…ナデナデ…でもやり直した世界には母ちゃんがいるんだから…我慢しろw」
「…うん…」
「じゃあさ…また来るね…ちゃんとメシ食うんだぞ?」
「うん!…またね…グス」
「ああw…ナデナデ」
そうしてその日はユウトくんは帰っていった
オレはそのとんでもなく非常識な話を、不思議なほど疑ってなかった
オレの心は決まっていた
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BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
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