母ちゃんとオレ

ヨッシー

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母ちゃんとオレ

8話

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「母ちゃん」
「なあに?」
「オレにも料理教えて?」
「どしたの?w」
「へへw…いつも作ってもらってばっかだからさ///」
「別にいいのにw…でも、一緒にやろっかw」
「うんw」

オレは21になった
生活はいつもと変わらない
相変わらずバイトして
母ちゃんも働いて
その後は一緒にモンハンして

でも、この日からオレは
母ちゃんと一緒にごはん作るようになった
料理も楽しいし
母ちゃんが笑うから嬉しい

今日はユウトくんとハルさんが遊びに来たから
オレはご馳走したくて
カレー作った
ナスとほうれん草と鶏肉のカレー
それと、野菜サラダ

「美味いかわからないけど///」
「美味そうだよ~」
「母ちゃんより美味いのよ…」
「はははw…マジ、美味そう」
「へへw…じゃ、じゃあいただきます」

「マジで美味い…」
「おお…美味い…普通に店で出て来たら嬉しいレベルw」
「だよね!」
「うん…アタシ、ナスとほうれん草がこんな美味しいと思ったの初めてかも」
「嬉しい///」
「アタシ、カオくんに料理習おうかなあ」
「そうしろよww」
「マジで考えちゃう」
「ハルちゃんはもし結婚したら、専業主婦になるの?」
「うーん…アタシ、働くの嫌いだからそれがいいかもとか思うけど…かと言って家事もバッチリやれるか自信ない」
「お前の旦那になるやつ大変だなw」
「言えてるwww」
「ハルさん、うちに来て花嫁修行する」
「おお、カオくん、みっちりやってやってくれw」
「うん、やる」
「マジでえ?」
「ハルちゃん、来なよw…母ちゃんも嬉しいから」
「じゃあ…よろしく」
「うんw…いつでも来れる時来て」
「カオくん、頼んだw」
「うん…頑張ってランポスくらいにする」
「クッソー、アタシ頑張ってもランポスかよ!w」
「ブフw…なんてかわいいランポスなんでしょうねw」
「まだハリマグロだよ」
「ゲラゲラww」
「クッソww」

それからは本当に週に1、2回ハルさんが修行しにくるようになって
オレもハルさんになるべく美味しい料理を作れるように
ネットや本で見たレシピを作って
自分なりに研究したりして
母ちゃんも
ハルさんがいろいろ手伝ってくれるから
すごく楽だし、娘が出来たみたいにかわいいって
ハルさんも『自分ちより手伝ってる』とか言いながら
なんだか楽しそうにしてて
もちろん、モンハンもする
モンハンしながら、ユウトくんのカッコ良さを語り合ったりした

そんな楽しい毎日を、オレはとっても嬉しく思ってて
でも、それは突然壊れてしまった

バイトの休憩時間、スマホを見たら
母ちゃんからたくさん着信があって
オレはなんだろうと、かけ直した
そうしたら
知らない男の人が出た

「もしもし」
「あ、もしもし…カオルくんですか?」
「…はい…あなたは?」
「私は〇〇工事現場の責任者なのですが…先程、カオルくんのお母さんが…」
「はい…」
「車の誘導中、車に突っ込まれて…さっき救急車で…今は〇〇病院で手術をしてて…カオルくんも来てほしい」
「は、はい!!…すぐに行きます!」

オレはパパン店長に、母ちゃんの事を言って
すぐに病院に向かった

病院で聞いたら、手術室の前に案内してくれて
その前のベンチで、ずっと座って
『手術中』っていう赤いランプを
ずっと見てた
工事現場の人がなにか言ってたけど
オレはなんにも耳に入ってこなくて
ずっと座ってランプ見て固まってた
しばらくそうしてたら
オレは肩を掴まれて、揺らされた

「カオくん!」
「カオくん!!」
「あ…ユウトくん…ハルさん…どうして」
「アタシ、パパンから聞いてね…そんでユウトに言ったの」
「そんですっ飛んできた」
「ユウトくん…母ちゃん…」
「しっかりしろ…つっても無理か…」
「オレ…オレ…どうしたらいい…」
「わからない…こんな時どうすればいいかわからない…こうするしか出来ない」

ユウトくんはそう言って
オレの隣に座って
ギュッと肩を抱いてくれた
反対の隣にハルさんが座って
オレの震える手を
ギュッと握ってくれた
オレは少しだけ安心して
ベソかきながら
ずっとランプを見てた
二人はその間、ずっと隣に居てくれた

そして、すごくゆっくりと流れる時間が過ぎて
ランプが消えて、お医者さんが出てきた
お医者さんはオレにこう言った
『残念です…』
オレはどういう意味かわからなかった
いや、わかってたけど
わかりたくなくて
『残念ですってどういう意味!』って
お医者さんはなんにも悪くないのに
一生懸命母ちゃんを救おうとしたのに
オレはお医者さんにすごい勢いで
お医者さんの胸を掴んで
壁にドンって押し付けた

「カオくん…グイ…ギュゥ」
「カオく~ん…グス」

ユウトくんはオレをお医者さんから引き離して
黙ってギュッと抱いてくれた
オレもユウトくんに抱きついて
『母ちゃんは…死んだの?』って
そしたらユウトくんは
静かにうなづいて、さらに力を込めて抱きしめた
オレはめちゃくちゃ声を上げて泣いた
ハルさんもすごい泣いてた
ユウトくんはそんなオレをずっと
抱きしめて撫でていた

それから
少し落ち着いてから
母ちゃんに会った
身体中痛々しいけど
顔だけはキレイで
オレは何度も母ちゃんを呼んで
でもなんにも言わなくて
今まではどんなに寝てても
呼べばすぐ起きてくれたのに
触っても揺さぶっても何の反応もなくて

信じられなかった…

昨日の夜はいつもと同じにモンハンして笑ってたのに…

楽しかったのに…

オレは母ちゃんの顔に、おでこを擦り付けて
ずっと泣いてた
ユウトくんが呼んでくれるまでずっと…
こんな状態でもユウトくんの声だけは
オレに聞こえた
不思議だな
ユウトくんが居てくれて良かった…

その後、ユウトくんに家に送ってもらって
母ちゃんの遺体が運ばれて
オレは情けないけど
葬儀の事なんにもわからないから
パパン店長が面倒見てくれた

そして今に至ってる
後からユウトくんに聞いたんだけど
母ちゃんの葬儀費用は、父が出してくれたんだって…
母ちゃんが送った300万はまるまる使わずにいたみたいで
葬儀費用と残りはオレにくれた

そしてオレが家でふさぎこんでたら
呼び鈴が鳴った
オレは出なかった
動く気力もなかった
そしたらドンドンドンドンて
扉が鳴って…その次に
『カオル!カオル!』って
オレを呼ぶ声が聞こえた
その声は聞き覚えがあった
そりゃそうだ
父だから

オレは扉を開けた

「カオル…久しぶりだな」
「父さん…どうして…」
「オレは…カオルの事ね、時々見てたんだよ」
「どうして…」
「オレのたった一人の息子だから」
「父さん…」
「こっそりね、母ちゃんの母ちゃんに連絡とっててね」
「し、知らなかった…」
「うん…ごめんな…オレは…だから…母ちゃんが一生懸命カオルを育てて…一生懸命オレに忠義立てしてくれてたのも知ってた」
「そうなの…」
「うん…カオルが幸せそうだったから…オレは…カオルを母ちゃんから取り戻す事はしなかった…ただ、ずっと見守ってあげようとね…ずっと見てたんだよ」
「父さん…グス…父さんは母ちゃんを…守ってた?」
「うん…そりゃ最初は憎かったけどw…でも、一生懸命に生きてたからさ…ずっと見てた…カオルが笑ってたから…母ちゃんは良い母ちゃんをちゃんとやれてるんだってわかった」
「うん、最高の母ちゃんだよ…グス」
「カオル…どうだ?…オレのとこに来るか?」
「父さんのとこ…」
「うん…オレはさ、カオルとの思い出は少ないけど…それでも不思議なほどカオルを愛してるんだ…不思議だな、親子って」
「父さん…オレもね…どんなに母ちゃんが苦労してても…父さんを恨む気にはならなかったよ…」
「カオル…ありがとう」
「でもね…父さん…オレは…」
「来ないか?…好きにしたらいいよ…オレはいつまでも勝手に見守ってるから」
「父さん…グス…母ちゃんはね」
「うん」
「母ちゃんに父さんの事聞いたら…『立派な人』って言ってたよ…」
「そっか…ウル…」
「オレもそう思うけど…」
「いいんだ、カオル…お前の決める事だ…お前にはユウトくんやハルさんという、強い味方もいるしな」
「知ってるの?」
「うん…話した事はないけどねw」
「そっか…」
「ストーカーみたいでごめんな?w」
「ううん…嬉しかった…オレ…」
「うん」
「もう少し、時間欲しい…考える…父さんの電話番号教えて?」
「うん…カオルのも…LINEもしよう」
「うん…」

そうして、お互いの連絡先を教えあって
父さんは帰っていった
父さんが見守ってくれてると思うと
少しだけ勇気が出た

オレは
こんなにバカで、なんの取り柄もないのに
たくさんの人が守ってくれてた
オレは
その人たちに何が出来るんだろ

だけど
一番恩を返したかった人は
もういない…
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